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第8話 転換点

俺は巨大魚のスキル「探知」を手に入れ、ルンルンな気分で家に向かっていた。

もうすぐ日が沈む。


「明日も釣れるかな~」


そんな油断しきっているときだった。試しに使っていたスキル「探知」にウサギ以外の反応があった。


「この大きさ、もしかして人か!」


久しぶりの人に会えるかもと、俺は興奮した。

言葉が通じるか分からないので、とりあえず静かに近づくことにした。相手の反応を見て、その後のことは決めよう。


「あの~、言葉通じます?」


俺は木の後ろにいた人に声をかけた。

その瞬間だった。


風の刃が俺の頭をかすり、後ろにあった木を切断した。

切断された木を見て、俺は青ざめた。死の恐怖を感じたからだ。


目の前には老人が落ち着いた様子で立っていた。


「儂が隠れていたことに気づいたか。なかなかやるようじゃな・・・、いや、スキル「探知」を奪ったのか」


俺は何が起きているのか分からず、混乱していた。


「すみません、俺なにかしましたか?悪いことしたなら謝罪しますので・・・」

「謝罪?面白いことを言うな。謝ることに何の価値があるのだ」


そう言うと、老人は再び風の刃を俺に向かって飛ばしてきた。今度は確実に殺しにきていた。

俺はスキル「頭突き」を使って、ギリギリのところで攻撃をかわした。そして、老人に向けてスキル「咆哮」を使った。


「レイジボアのスキルか。雑魚相手には通用するだろうが、儂にとっては鳥のさえずりに等しいぞ」


老人は「咆哮」を食らったが、何もなかったかのように立っていた。

そして、無数の風の刃を俺に向かって放った。


「これで終わりだ」

「クソッ・・・」


俺はこれを避けられないと理解して、無意味と分かっていながらも前足を身体の前で交差させて防御した。

あのとき、「探知」で気づいた時点で逃げておけばよかった。いや、そもそも川に来なければ良かったんだ。ずっと洞穴の周りにいても生きていけたのだから。

俺は自分の愚かさを反省した。

俺は調子に乗っていた。生きることを楽観視していたんだ。

そして、異世界をナメすぎた。


「俺は、本当にバカだな」


もう生き抜くことは不可能だ。

そう思って諦めようとした、その瞬間だった。


バシィーーンッ


風の刃が俺の目の前ではじかれた。まるで、何かが俺を守っているかのように。


「ま、魔王様!?なぜ来られたのですかっ!?」


さっきまで落ち着いていた老人だったが、急に冷静さを失った。


「ゼファルド、無闇に殺傷はしないでと言ったでしょ!」


後ろから声が聞こえたので、俺は振り返った。

そこには、真っ黒な長い髪をした女の子とそれに付き添うように男が立っていた。


「ですが魔王様!この者は危険です!このようなスキルを持った種族は今まで見たことがありません!!」

「それでも、すぐに殺そうとするのはダメ!それに、彼から敵意は感じないわよ?」

「確かに敵意はなさそうですが・・・」


納得していない顔の老人を無視して、彼女は俺のほうに近づいてきた。

恐怖で座り込んでいた俺の顔を見下ろしながら、彼女は言った。


「ねぇ、少しあなたのこと教えてくれる?」


そう尋ねる彼女の顔には、笑顔があった。

今までの話もちょくちょく修正をしています。ストーリーや内容に変更はありませんが、読みやすくなるように色々試しています。


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