表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/46

第7話 はじめての釣り

次の日、俺は昨日と同じように川に向かった。

あらかじめ、家の周りにある植物を使って釣り竿を作っておいた。正直、釣り竿と言えるような代物ではないが、ものは試しだ。釣れないなら、別にそれでもいい。


川に向かう道中、何匹かウサギを見つけた。俺はすでにウサギの血を10匹以上は吸っており、スキル「頭突き」はかなり強化されていた。

そして、スキルを使う中で気づいたことがある。強化されたスキルは意識することでその威力を制限できるのだ。これのおかげで俺はウサギを吹っ飛ばさずに済んでいる。

しかし、イノシシは一度倒して以降、まだ見かけていない。スキル「咆哮」は遠距離からでも使えるので、早く強化をしたいのだが。


「あ~、やっと着いた。1時間歩くのって、けっこう疲れるんだよな」


はじめて川に来たときは冒険をしているようで楽しかったが、ゴールが分かっていると早く着きたい気持ちがあって、あんまり楽しくはない。


「それじゃあ、釣りをするか」


俺はお手製の釣り竿に、そこら辺の土を掘り返して出てきた謎の幼虫を引っかけた。そして、川に向かって投げ入れた。

あまり釣り糸(植物のツル)は長くないので、遠くに飛ばすことはできなかった。

何が釣れるかワクワクしながら俺は待った。


30分後、まだ釣り竿に反応はない。釣りをする人は何時間も釣れるまで待つことがあるらしいが、俺には我慢できない。ブラック企業に勤めていたせいか、のんびりすることに抵抗があるのだ。

立派な社畜だなと、懐かしみながら思った。


さらに30分後。

釣れるのを待つのに疲れてきて、一度散策でもしようかと釣り糸を回収しようとした、そのときだった。

釣り糸が水の中に引き込まれた。


「お!やっと掛かったか!」


俺のテンションが一気に上がった。

俺は急いで釣り糸を手繰り寄せた(もちろん、リールはついていない)。


「これは、思ったより大物だぞっ!!」


俺は釣り糸が切れないように祈りながら、まだ見ぬ獲物に期待を寄せた。


「もう少しだ・・・頑張れ俺の釣り竿っ!」


力いっぱい釣り糸を引っ張ると、巨体が姿を現した。

全身を鱗に覆われ、人間を一口で飲み込めるくらいの大きな口をした魚だった。


ドーンッ


釣り上げた巨大魚が地面に落ちた。

まだまだやる気満々の様子だ。地面の上で暴れまわっている。あの尾が直撃したら、ただでは済まないだろう。

近寄ることができそうにないので、俺はスキル「咆哮」を使った。

しかし、一度使っただけでは動きを止められなかったので、静かになるまで何度も「咆哮」を使った。


「はぁ、はぁ・・・。やっと静まったか。スキルを使うのだって、疲れるんだよ」


巨大魚の動きが止まるまで、かなりの時間がかかってしまった。喉が痛い。

疲れが溜まっているが、新たなスキルを早く手に入れたいので、巨大魚の血を吸うことにした。

それに、このサイズでは家まで持って帰れそうにない。


「早いこと血を吸って、暗くなる前に帰ろう」


俺は急いで血を吸った。もちろん、今回も美味しい血でした。


「一定の血を吸ったため、スキル「探知」を獲得しました」

「お、新しいスキルは「探知」か!」


さっそく、スキルを発動してみた。今回のスキルは頭の中で意識するだけで発動するみたいだ。


「おお!」


このスキルは俺の期待どおり、他の動物の居場所がわかるみたいだ。詳しい動物の種類まではわからないが、大きさだけなら、なんとなく分かる。

自分を中心に半径10m程度しか動物の位置は分からないが、強化をすれば範囲が広がるだろう。

俺は明日からも川に行くことを決めた。

このスキルがあれば、もっと効率よく動物を見つけられるだろう。それに、イノシシのときみたいな危険の回避にもきっと役立つに違いない。

俺は今日の収穫に満足しながら、家に帰った。






「スキル「咆哮」が何度も使われるから様子を確認に来たのだが・・・・、あれは何だ?ホーンラビット 

の「頭突き」に、レイジボアの「咆哮」を持っているじゃないか。それに、スキル「吸血」とは一体

・・・」


長い白髪に、おんぼろのローブ、とがった耳に褐色の肌色をした老人が、空中を飛びながら川のほうを見下ろしている。


「危険因子は早急に排除しなければ・・・、この地の安寧のために」




この日を境に、俺、大村翔の運命は動き始める―。

面白かったら、ブックマークお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ