第6話 はじめての遠出
今日は少し遠くまで足を運んでみようと思う。
この前のような急な大雨は滅多に降らないようなので、急いで帰る羽目にはならないだろう。それに、どうやらこの周辺はウサギが多いみたいなので、他の動物を探すには遠くに行かざるを得ない。
俺は木に目印を付けながら、森の中を進んでいた。とりあえずは川の音がするほうを目指した。
川が見つかれば、魚や水を目当てに集まった動物に出会えるかもしれない。それに、川を下っていけば海に出られる可能性だってある。
俺は慎重に足を進めた。
1時間くらい歩いただろうか。俺は無事に川にたどり着いた。
「けっこう川幅が広いな」
対岸までは50mほどあるだろうか。流れのほとんどない、大きな川だった。川底が見えないから、水深もかなり深そうだ。
釣り竿でもあったらいいのにな、と思う。
最近は森の中にいたせいで空がよく見えなかったが、ここは遮るものがなくて空がよく見える。
この世界にも太陽のような星があって、月もある。ただ、月は地球のものより遥かに大きい。いや、距離が近いのかもしれない。
夜中に木々の間から見える月を見て、ここが俺の知らない世界、異世界なんだと最初は感動した。
今度はこの川で月全体をみたいな。
少しの時間、川の周囲を探索したが特に動物は見つからなかった。遠くのほうに鳥がいるのが見えたが、近づく間もなく去っていった。
ここから家までは1時間ほど歩くので、暗くなる前に帰ることにした。また明日、ここに来ようと思う。そのときは釣り竿を作ってこよう。