第59話 決闘祭
「全員、集合っ!」
いつも通り、鐘の音とともに起床し、朝の鍛練をしていたときだった。
まだ眠たそうに半開きの目をこすりながら走る者や、ぐっすり眠れて元気が溢れ出る者がいる中、マンガスさんとストレッチをしていた俺の耳に、普段は聞かない――でも、どこか懐かしい声が響いた。
声が聞こえた方向――訓練場の中心に目を向けると、そこにはボルスさんが立っていた。
すごい筋肉だ。
何度見ても、そう思う。
一体、どんな鍛錬を積めば、あんな身体になるのだろうか。
ボルスさんの重圧感のある声がラストラドに響き渡ると、皆が一斉に訓練場にいるボルスさんのもとへ動いた。
俺とマンガスさんもストレッチを中断し、急いで訓練場の中心に向かった。
ラストラドに暮らす人々(ほとんど戦士)が訓練場に集まった。
隣の人と肩は触れ合う、それくらいに飽和状態の空間だ。
ボルスさんは台の上に立ち、俺たちを見下ろしている。
みな、ボルスさんが口を開くのを静かに、でも、熱い目線を送りながら、じっと待っている。
そして、全員の集合を確認したのか、ボルスさんは口を大きく開いた。
「今日から10日後、決闘際を開催する!」
ボルスさんの声が訓練場に響き渡ると同時に、いや、それよりも早く、この場にいる全員が雄叫びを上げた。
それは大地を揺らすほどで、俺は耳の生えていない頭をおさえた。
決闘祭、一体なにをするのだろうか。
ボルスさんはその一言だけを残し、台から降りた。
皆が訓練場から離れ、各々の鍛練に戻っていく。
過密状態が緩和されると、俺はマンガスさんと合流した。
最初は一緒にいたのだが、気がつくと姿を見失っていたのだ。
人の流れは恐ろしいものだと思った。
合流したマンガスさんは明らかに疲れた表情をしており、人混みが苦手なのだと分かった。
まぁ、想像通りだが。
ぐったりした様子のマンガスさんに、俺は決闘祭が何なのか質問した。
「そうか、ショウは初めてだったね」
マンガスさんは優しい笑みを浮かべた。
でも、疲労で目が死んでいる。
なんとも頼りない姿だ。
しかし、これこそがマンガスさんだとも思う。
「決闘祭はね、各部隊から代表3名を選んで、戦う、そういう祭りだよ。これが結構盛り上がるんだ」
へぇー、そういった行事がラストラドにもあるのか。
・・・
「マンガスさん」
「ん?」
俺は申し訳ないと思いつつ、現実を知る必要があると思い、重たい唇を一生懸命開いた。
「決闘祭って、カコピオスは――」
俺がすべてを言い終える前に、その答えをマンガスさんの顔が俺に教えた。
なんとも苦労に満ちた表情だろうか。
俺まで心苦しくなる。
「カコピオスは、一回も出場していないよ」
二人の間を、風がサーっと吹き抜けた。
久しぶりの投稿です。
長い間、投稿できず、すみません。
できる限り、投稿していきます。
よろしくお願いします。




