第56話 俺の話
「絶対にドラゴンの討伐に参加できる・・・とは思っていない」
「・・・」
相変わらず、アキは眠そうな顔をしている。
「それじゃあ、何のために頑張るの?」
何のため、か。
それは何度も口にしてきた。
「未来を変えるには、頑張るしかないんだ」
アキは、まるで俺の答えを分かっていたかのように、考える間もなく次の質問をしてきた。
「どうして、ショウはそんなに努力できる?」
アキの瞳は半開きで、朧げだ。
そんな彼女の目を見つめながら、俺は自分の話を少しだけすることにした。
考えてみれば、俺はラストラドの皆に俺の目的を話していない。
カコピオスの部隊長であるマンガスさんは知らされているかもしれないが、ほとんどの人は何も知らないに違いない。
「俺は元々、魔王城にいたんだ(少しだけだが)。そこで、俺は色んな人にお世話になった。だから、その恩返しとして、強くなって皆を守れるようになりたいんだ」
アキは納得していないようだ。
目を細めて、こちらを見ている。
「魔王城には、十大魔将がいるだろ?お前が頑張る必要はないし、守れるほど強くなれるとは思わない」
そうだろう。
普通はそう考える。
だが、普通でない考え方をしたら、それは努力する理由になるだろう。
「確かに、努力する意味はないかもしれない。でも、それでも、俺は強くなって皆を守りたいと思う。だって、それが俺にできる唯一のことだから」
これをアキが答えと納得してくれるかは分からない。
だが、なんとなく、満足そうな目をしている気がする。
「お前がバカみたい頑張れるから、私たちにもできるってか?」
「頑張ることに無意味なことはないと思う」
自分の心に閉まっていた思いを放つことができ、アキは満足したようだ。
口元をゆるゆるに緩め、まるで最高級のふかふかベットで寝ているかのように、雑に積み上げられた硬い城壁の上に転がった。
「はぁ、おぶって宿舎まで運ぶか」
俺は仕方なく、華奢な蚊の背中にアキを背負い、星明かりに照らされる森を後ろにして城壁を下りた。
投稿遅れてすみません。
最近忙しくなり、投稿する回数が減ると思われます。
いつも読んでくださる方には申し訳ないのですが、ぜひこれからもよろしくお願いします。
一つの趣味として、これからも気楽に書いていきたいと思っています。
テンポが悪くなってきたので、早く次の展開に行けるようにします。




