第54話 理由
「お前の目的は何だ?」
アキの目からは、真実を見抜こうとする固い思いを感じる。
だが、同時に、確かな不安や恐怖も伝わってくる。
「俺の目的?」
質問の意図が分からず、俺は質問に質問で返した。
「しらばっくれるな。お前がカコピオスにここまで手を貸すには、何か理由があるんだろ?」
アキは目を鋭くした。
俺が嘘をついたと思ったらしい。
「・・・」
手を貸す理由か。
「早く答えろっ!」
アキの怒声が静寂を切り裂く。
だが、俺の表情が変わることはない。
彼女の思いを真摯に受け止めたい。
そう思う。
彼女が俺の「理由」に納得するかは分からない。
また嘘をついたと思われるかもしれない。
でも、それでも、俺は彼女に正面から向き合いたい。
アキの目を真っすぐに見つめ、一切の躊躇いなく、口を開いた。
「俺はカコピオスを助けたい。その気持ちが理由だ」
助けたいという気持ち
理由としては、あまりにも純粋で、ピュアすぎる。
彼女が望まず――だが、予想しているような、合理的で陰湿、無慈悲な「理由」ではない。
理由というよりも、側だけを綺麗に見せた、非現実――理想的な――フィクションのセリフのように思われたかもしれない。
だが、これが俺の唯一の理由であり、彼女が知りたい真実なのだ。
俺は嘘偽りのない心からの思いを伝えたつもりだ。
あとは、彼女がそれをどう受け止めるかだ。
「・・・」
アキは、俺の心の中を覗くかのように、じーっと俺の目を見つめた。
そして、少しすると、前屈みだった上半身をゆっくりと元の状態に戻した。
その時の彼女の表情は、満足感と安心感に満ちていた。
「お前、バカだな」
どうやら、納得してもらえたようだ。
これで、アキの「用事」が済んだわけだが、せっかく城壁の上に来たので、もう少しばかり会話をすることにした。
投稿が遅れてすみません。
睡魔との聖戦に敗れてしまいました。
まだ戦いは終わっていないので、次は負けないよう頑張ります。




