第48話 頼りになるリーダー?
俺とアキ、二人の間に沈黙が生じる。
おそらく、一瞬の間であったろう、その沈黙は、あまりにも長く感じた。
俺の額から冷や汗が止まらない。
もし、今まで以上にカコピオスの連中と関係が悪化してしまえば、修復は困難なものとなるだろう。
それを恐れている俺にとって、この沈黙は地獄だ。
「あ、あの・・・」
このピリついた空気に耐えることができなくなり、俺は声を出した。
かなり弱弱しい声だが。
すると、アキが俺の声をかき消すかのように力強い声をあげた。
いや、怒りを含んだ重々しい声、というべきだろうか。
どちらにしろ、俺の望んだものでなかったのは確かだった。
「なんで鍛錬を真面目にやってんだよ、マジで目障りだ!」
想像以上にご立腹の様子。
何か弁明をしなければと脳内が慌ただしいが、求める答えは見つからないだろう。
だって、アキが言っている通りだもん。
彼女の怒りを鎮める術を俺は持っていない。
頑張る姿を見せつける計画が彼女の逆鱗に触れたのだ。
こうなったら仕方ない。
我らの頼れるリーダーに事の経緯を説明してもらおう。
「マンガスさ――」
後ろに座っているであろうリーダーの方に振り返ると、
恐怖で全身の力が抜けたのか、だらんとした腕を肩に下げ、ポッカリ開いた口を閉じようともせず、
俺以上に汗を滴らせているマンガスさんの姿があった。
うん、こりゃダメだ。
アキを説得するどころか、余計に苛立たせるだけになりそうだ。
マンガスさんを頼るのはやめて、俺ができる限りの説得を試みよう。
「君を怒らせたことは申し訳ない。次から注意する」
アキの顔色を恐る恐るうかがってみたが、特に変化はなし。
つまり、まだ腹の虫がおさまっていないのだ。
「鍛錬なんか、やるだけ無駄よ。むしろ、騎士団の邪魔になるだけ。それくらい分かれよ」
・・・
アキの怒りは治まっていない。
だが、一つ気づいたことがある。
彼女の怒りには、どこか諦めのようなものを感じる。
本心では鍛練をしたいが、それを理性が止めている。
自分の都合よりも、全体を優先する。
そのための諦め、だ。
そして、それをしようとしない俺に対して、怒りを感じている。
よし、ここが正念場だ。
彼女に鍛錬をすることを間違いじゃないと思ってもらえれば、大きな進歩に繋がる気がする。
ただ怒りを抑えてもらうだけではダメだ。
なんとかして、彼女にやる気になってもらおう。
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