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第39話 使命

「やっぱり・・・ビッグマウスなのかな?」

「違いますよっ!」


俺の宣言の後、一緒に鍛錬をしてくれる奴は現れなかった。

まぁ、そう上手くはいかないだろう。

仕方なく、俺はマンガスさんと鍛錬をすることにした。

今はランニングの最中だ。


「でもねぇ、正直かなり難しいと思うよ」

「そうですよね」


俺が言うのも変だが、あの連中が鍛錬をしている姿をまったく想像できない。

本当に鍛錬をする気になるのだろうか。

俺が弱気になってはいけないのだが・・・う~ん、どうしたものか。

そもそも、なんで鍛錬をするのか。

戦闘に不向きなら別の仕事を探せばいいのに。


「・・・待てよ」


今まで不思議に思っていなかったが、ボルスさんの部下って何のために鍛えているんだ?

魔王城の騎士団的な存在だと勝手に思っていたが、魔王城を守るのにラストラドは遠すぎる。

この距離では魔王城で何か起きても間違いなく間に合わない。

となれば、他に守るべき何かがあるのか?


「マンガスさん、ラストラドの人たちは何のために鍛錬をしているのですか?」

「あれ?聞いてなかったのか」


マンガスさんは目線を下に向けた。

俺に何を話すべきか考えているようだ。


「・・・僕たちはね、ドラゴンを倒すことが使命なんだ」


顔を上げたマンガスさんは、濁りのない瞳で俺を見つめた。

でも、その奥には悲しみが見え隠れしている気がする。

ドラゴン・・・

ここに来る途中でボルスさんが言っていた奴か。

でも、どうしてそれが使命なんだ?


「君はここに向かう途中、城を見なかったか?」

「見ました。ドラゴンの棲む城ですよね」


マンガスさんが軽く微笑んだ。

それは嬉しいわけではなく、むしろ、心の奥底から溢れようとする悲しみを無理やり抑え込むためのように見える。


「ああ。実はね、あの城は僕たちの城なんだよ」

「え!?」


俺は自分の耳を疑った。

マンガスさんたちの城?

あそこがマンガスさんたちの暮らしていた場所なのか?

だとすれば、なんで今はドラゴンが棲んでいるんだ?

・・・・


あの城の近くを通った時のボルスさんの表情、あれは普通ではなかった。

普段のボルスさんからは想像もできないほどに。

それに、ラストラドの人たちの目的はドラゴンの討伐。

ということは・・・


「あのドラゴンに城を奪われたのですか」

「・・・うん」


俺の質問にマンガスさんは優しく答えた。

まるで、自分自身を飲み込もうとする負の感情に抗おうと、優しさの仮面で心を覆うようにして。


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