第36話 副団長ローズ
「初めまして、ショウと申します。702号室に引っ越して(?)来ました。これからよろしくお願いします」
今日は同じ階の人たちに挨拶をして回っている。
朝の鐘は起床の合図で、その約1時間後に鍛錬はスタートする。
それまでの間に7階の人全員に挨拶を終わらせる予定だ。
こんな時間からドアをノックするなど、非常識極まりないわけだが、仕方ない。
夜は鍛錬あとで疲れているだろうから、それを考慮しての判断だ。
まぁ、鍛錬が終わって疲労困憊なのは俺だけかもしれないが。
そんな事を思いつつ、挨拶を続けた。
「ああ、ビッグマウス君ね。これからよろしく」
「君がビッグマウス君か!鍛錬がんばれよっ」
「よろしくお願いします、ビッグマウスさん!」
「ビッグマウス・・・」
「一緒に頑張りましょう!ビッグマウス殿!!」
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いや、俺はビッグマウスじゃねーよっ!
ボルスさんがあんな紹介するから、皆がビッグマウスで俺のこと憶えちゃったよ。
これじゃあ、外を歩くのも恥ずかしい。
どうしてくれるんだ。
俺は顔を真っ赤にした。
だが、ボルスさんに文句を言うことはできない。
俺の命を守るために。
皆にはこれから俺の名前を憶えてもらおう。
うん、それがいい。
そうしよう。
怒ったって無意味なだけだ。
俺は、一人で怒って一人で納得した。
全員に挨拶が終わると、俺は訓練場に移動した。
すでに鍛錬を始めている人が大勢いる。
俺も負けてられないな。
そう思って訓練場に入ろうとした時だった。
「全員集合っ!朝礼を始める」
厳しそうな声が耳に入ってきた。
ボルスさんの声ではない。
誰だろうか?
鍛錬をしていた人もそうでない人も声のする方に動き出した。
俺も流れに従って移動した。
皆が見つめる先には、一人の男が立っていた。
整った顔立ちに長い髪、華奢な身体つきをしている。
「あの人は誰ですか?」
俺は近くにいた人に質問した。
「あんたは新入りのビッグマウスか。あの人はローズさん。ここの副団長だよ」
「え!?」
まさか、あんな弱そうな人が副団長とは。
人は見かけによらないものだな、と実感する。
「皆も知っていると思うが、我らが団長がお戻りになられた。日頃の成果を見せる良い機会だ。いつも以上に気合をいれて鍛錬をしろ!」
オオーッ!
ローズさんか。
一体どんな人なのだろう。
いつか模擬戦でもお願いしてみようかな。
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