第30話 成長
俺たちはラストラドに向かう道中に現れた巨大なトカゲと戦っていた。
スキル『頭突き』ッ!
俺の頭突きが巨大トカゲの脚に命中した。
しかし、思った以上に頑丈らしい。
痛がる素振りをまったく見せない。
俺は頭が痛くて仕方ないのに。このトカゲめ!
「この前、スキルには落とし穴があると教えたのに・・・」
ボルスさんが呆れた表情で俺を見た。
これでは俺の成長を証明することができない。
でも、まだまだ「手」は残っている。
挽回のチャンスはきっとあるはずだ。
「危ないっ!」
ライムの声が聞こえた。
横からは空気を押しつぶすような鈍い音が聞こえる。
巨大トカゲの尻尾が俺を薙ぎ払おうと迫っていた。
スキル『身体硬化』!
アンドっ!『鱗生成』!
バシーンッ
「ショウさんっ!」
巨大トカゲの尻尾が俺に命中した。
だが!
「どうだ、このトカゲ野郎?俺の完璧な防御は!」
俺の身体には鱗がびっしりと生えていた。
そして、実は身体も鋼のようにカッチカチになっている。
これこそが俺の防御だ。
スキル『身体硬化』と『鱗生成』を使うことで、俺の貧相な身体を鉄壁にすることができるのだ!
さすがにトカゲ野郎も驚いただろ。
だが、これで終わりじゃないぞ。
次は俺の番だ。
「さっきの頭突きのお返しだ!」
スキル『高速移動』『眠霧』!
俺は一瞬で巨大トカゲの顔の前まで行くと、眠たくなる霧をお見舞いした。
ドーンッ
どうやら効果は抜群だったようだ。
巨大トカゲは抗うこともできずに、その場に倒れた。
「お疲れ、ビッグマウス君。少しは戦えるようになったな」
やった!
成長したことを証明できたぞ!
「ただ、あれだな。決定打になる攻撃がないな」
「・・・」
俺も薄々思っていた。
攻撃手段が少ないことを。
スキル『頭突き』が主な攻撃方法なわけだが、反動が大きすぎる。
『身体硬化』や『鱗生成』を発動した状態で試そうとしたこともあるが、これらのスキルを使用しているときは身体をほとんど動かせなくなるんだ。
関節が固くなったり鱗が邪魔になったりで、頭突きなんてできやしない。
他のスキルも試してみたが、これといった攻撃手段は見つからなかった。
森の魔物はこんなスキルでどうやって獲物を狩っているんだよっ!
・・・
そもそも森に住む魔物は生身でも十分に強かったな。
「クソッ!この身体(蚊)のせいか!!」
自分の貧弱な身体を呪った。
もっと筋肉のある魔物に生まれていたらなぁ。
「それじゃあ、止めを刺すか」
ボルスさんは巨大トカゲに近づき、首に目掛けて斧を振り下ろした。
斧が首を断ち切る音が森に木霊する。
やっぱりボルスさんの攻撃は恐ろしい。
あの硬い鱗を一発で真っ二つだ。
「これで他のレッサードラゴンも当分は馬車に近寄ってこないだろう」
ああ、なるほど。
トカゲ君たちに圧倒的な差を見せつけるっていうのは、この音を聞かせることだったのか。
確かに、仲間の首が両断される音を聞いたら、近づこうとは思わないわな。
俺は死んだ巨大トカゲの血を吸い、スキル『超再生』を獲得した。
そして、馬車に乗り込み、再びラストラドを目指して進み始めた。
そういえば、「アイツ」って誰のことだったんだ?
それに、レッサードラゴンって言ってたよな?トカゲじゃなかったの?
「ボルスさん、さっき言ってたアイツって・・・」
「ああ、忌々しきドラゴンのことだよ。ここはドラゴンの縄張りなんだ」
ドラゴン!?
さっきのでレッサードラゴンなんだから、ドラゴンはもっと大きいに違いない。
どうか、ドラゴンに会いませんように!(会ってもボルスさんが倒しそうだけど)
評価・ブックマークしていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。




