第29話 大きなトカゲ
魔王城を出発して数時間、馬車は順調に森の中を進んでいた。
森なので整備された道があるわけではない。
岩があったり大木の根っこがあったりと、地面はデコボコしている。
では、なぜ馬車が止まることなく動き続けられるのだろうか?
俺は知らない。
ということで、ボルスさんに聞いてみることにした。
「ボルスさん、地面の凹凸が激しいのにどうして馬車が進めるんですか?」
「ああ、それはライムのスキルだよ」
「え、ライムの?」
ボルスさんによると、ライムはスキル『浮遊』を持っているそうで、物を浮かせられるのだとか。
色々制限はあるそうだが、便利なスキルだ。
俺も欲しいな。
他の魔物に同じようなスキルを持っている奴はいないのだろうか。
そんなことを考えていると、馬車が急に止まった。
「どうした、ライム?」
「ボルスさん、魔物が出ました」
魔物か。
さっきまでも時々姿を見たが、近寄ってくることはなかった。
おそらく、馬車を引いているシャドウホースを恐れていたのだろう。
この馬はそこらの魔物より相当強いらしいから。
ということは、馬車の行く手を阻む魔物はかなり強いということになる。
俺とボルスさんは馬車を降りた。
「・・・でか」
馬車を降りると、目の前には大きなトカゲがいた。
高さは5メートルほどあるだろうか。
今まで見てきた魔物のなかで一番大きかった。
こりゃあ、馬なんかにビビるわけないわ。
ていうか、俺がビビるわ。
上から鋭い視線を向けられ、俺は動くことができなかった。
「もうアイツの縄張りか。今からが大変だな」
ボルスさんがめんどくさそうな顔をしている。
アイツとは誰だろうか。
「お前たち、盛大に暴れるぞ。トカゲ君たちに圧倒的な差を見せつけてやる」
トカゲ君たち?一匹しか見当たらないが。
もしかして、隠れて見てたりするのかな。
まあ、考えたって仕方ない。
あとでボルスさんに直接聞こう。
今はそれよりも・・・
俺は息を大きく吸った。
今から目の前の巨大トカゲと戦うんだ。
ビビってばかりもいられない。
この数日で成長したことを証明してやる。
俺は心を奮い立たせ、目の前の相手に挑んだ。
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