表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/40

第2話 諦めない

「これは最近流行りの異世界転生っていうやつか?」


俺は自分の変わり果てた身体を見ながら言った。確かに、一度くらいは異世界転生してみたいなと思ったことはある。実は目が覚めたときに、もしかしたら!と少し期待もしていた。でも、だ。これじゃないんだ。俺が求めていた異世界転生はこんなんじゃないんだ。


「人外に転生するにしても、もっと色々あっただろ!なんでよりにもよって忌々しい害虫なんかに転生するんだよ!もし人間がいたとしても、すぐに叩かれてゲームオーバーだよ!!」


俺の叫びが響き渡った。


「これからどうしよう」


頭の中を不安が埋め尽くす。このまま山の中で一人寂しく生きていくのは嫌だ。どうにかならないものだろうか。


「ん?」


俺はおかしな点に気が付いた。


「俺の身体、デカくね?蚊なのに体長が1メートルくらいあるぞ」


さすが異世界、スケールが違うな。そんな他人事のように思ってしまう。だって、体長が1メートルの蚊とか、人類の天敵じゃん。見つかった瞬間、殺されるよ。


「俺の第二の人生(?)、詰んだ」


これなら、まだ転生しないほうがよかったかもしれない。そしたら、こんな苦労もしなくてすんだだろう。


「もういっそ、諦め・・・」


諦める。これは、俺が一番嫌いな言葉だ。ブラック企業で働くようになってから、何度も諦めそうになったことがある。

でも、俺は諦めなかった。諦めたところでその先に幸せな未来はないと分かっていたからだ。諦めることは、その瞬間の苦しみから逃げているだけなのだ。今のことを考えるのではなく、未来のことを考えて行動をするべきだ。未来が予測できないなら、今の状況だけで判断してはいけない。これから先、誰も予想できない未来が待っているかもしれない。だから、それまでは諦めずに踏ん張るんだ。


「ここは異世界だ。俺の常識なんか通じるわけない。どうせなら、できることを全力でやろう。悔い

が残らないためにも、諦めるのは無しだ!」


俺は、そう心に誓った。


「そしたら、やるべきことをやっていかないとな」


最優先でやるべきことは食料の確保だろうか。今の俺は蚊なのだから、動物の血を吸えばいいのか?それなら、動物を探さないといけないな。食料の次は、安全な「家」を手に入れたい。こんな大自然の中じゃ、何が起きるか予測できない。常に周囲を警戒するのも大変だ。どこかに洞穴でもないだろうか。食・住ときたら、残すはあと一つ・・・衣だ!


「蚊の俺に服なんかいるかっ!!」


ということで、俺は今から食料と家を探すことにした。



飛ぶときの音で他の動物にバレないよう、周囲を歩いて探索した。俺が最初にいた場所は周囲がすべて平原で動物が見当たらなかったので、森林になっている山のふもとに行くことにした。山を下るにつれて、鳥のような鳴き声や川の流れる音が聞こえるようになった。


「やっと下り終わったぁ」


麓の森に着くまでは、結構な時間がかかった。下から見上げると、俺のいた山は壮大に感じた。


「さっそく、食料を探すぞ」


そう意気込んで探しに行こうとした瞬間、木々の間から物音がした。すぐに身を隠して、音がしたほうをじっと見つめた。

すると、一匹のウサギが姿を現した。いや、ウサギに似ているが違う。頭から一本の角が生えている。


「これが異世界の生物か」


はじめて見た異世界の生き物に感動しつつ、こっそり血を吸おうと様子を伺った。しかし、肝心なことを忘れていた。


「1メートルも体長あったら、バレずに近寄るの無理じゃん!」


蚊としては致命的な大きさであることを俺は思い知った。バレずに血を吸うことは断念して、しばらく様子を伺った。

少しして、もう一匹ウサギらしき生物が現れた。二匹は互いに睨み合ったあと、ケンカを始めた。やはり、頭の角を利用して頭突きをしている。

互いに譲らぬ戦いが繰り広げられ、数分後、片方の角が相手の胸を突き刺した。刺されたほうは倒れてしまい、ピクリとも動かなくなった。もう一匹はこの場を去っていった。


「こいつ、こんなに危ない動物だったんだな」


二匹の戦いを見て、俺には倒せない動物であることを理解した。


「でも、無事に食料が手に入ったぜ」


俺は倒れたウサギに近づき、針のような口を突き刺した。そして、血を吸った。


「う、うまい!」


血の味に期待などしていなかったが、吸ってみると以外に美味かった。蚊の味覚になったからなのだろうか。初めての血は、今まで経験したことのないクセになる味だった。俺はそのまま、ウサギの血がなくなるまで吸い続けた。


「あ~、腹いっぱい。ウサギの倒し方さえ見つかれば、食料問題は解決だな」


そう思って、次は家を探しに行こうとしたとき、頭の中に声が響いた。


「一定以上の血を吸ったため、スキル「頭突き」を獲得しました」

「え?」


突然の音声に、理解が追い付かなかった。

面白かったら、ブックマークお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ