第16話 侍女のお仕事 2
魔王城は広大だ。
高さは高層ビルほどあり、部屋の数は大手のホテルほどだ。言い換えるなら、巨大な集合団地だ。
しかも、部屋には様々な種類がある。
とてつもなく大きな部屋から、物で埋め尽くされた部屋まで、色々だ。
さらに、魔王城には地下室も存在する。
すべてを見て周るには、かなりの時間がかかるだろう。
しかし、侍女たちは魔王城を一日の間ですべて掃除するのだ!
なんて偉大な存在なのだろう。
まさに、魔王城の隠れた大黒柱だ。
「え?給料もらってないんですか?」
窓を拭いていた俺の手が止まる。
サニティアさんによると、侍女たちは賃金をもらって働いているのではないらしい。
「私たちは、魔王様に助けられたのさ。人間に故郷を奪われ、行く当てのない私たちに魔王様は安全な場所を与えてくれた。だから、そのお礼に私たちは侍女をしているのさ」
どうやら侍女たちも俺と同じようにエリーナに助けられたようだ。
「この魔王城にいる魔物は、魔王様に助けられた奴ばかりだよ。だから、誰も賃金はもらっていない。
皆、魔王様のために働いているんだ」
やっぱり、エリーナは重度のお人好しだな。
もしかしたら、俺を殺そうとしていたゼファルドさんがあんなに優しくなったのは、彼自身もエリーナに助けられたことがあるからかもな。
「あんたも何かしら事情があるようだけど、安心しな。ここにいる奴は変なのも多いけど、皆あんたのことを悪く思っちゃいないよ」
これからどうなるか不安があったが、ただの杞憂だったようだ。
この魔王城は、俺の知っている魔王城ではない。優しさにあふれた魔王城なんだ。
「ちんたらしてないで、さっさと行くよ!このペースじゃ魔王城の掃除は終わらないよ!」
「はいっ!」
俺はそのあともサニティアさんの掃除を手伝い、昼食と夕食の準備を眺めた(料理は手伝えそうに
ない)。
そして、大変な一日は過ぎていった。




