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魔女への手紙

作者: 清水進ノ介

魔女への手紙


 とある森の奥深くに、一人の魔女が住んでいた。魔女はうーんと頭を抱えながら、一枚の手紙を読んでいる。そこに魔女の友人のフクロウが飛んできて、魔女にどうしたのかと尋ねた。

「その手紙はなんだね?ずいぶんと悩んでいるようだが」

「この近くに小さな村があるだろう?そこに住んでいる女の子が、手紙をよこしてきたのさ。その女の子、生まれつき足が悪くて、歩けないらしくてね。自由に好きなところに行きたいから、空飛ぶほうきをゆずってくれないか、だとさ」


 この魔女は心優しい魔女だったので、女の子に空飛ぶほうきをあげようか、悩んでいたのだ。しかし空飛ぶほうきは、魔女が百年前に、一人前になった証だと師匠からいただいたものなので、人に渡すわけにはいかなかった。そこでフクロウは、魔女にこう助言した。

「ほうきが渡せないなら、別の空飛ぶ道具を作ればよいではないか」

「なるほど、それはいい考えだ。早速いろいろ作ってみようかね」


 魔女はまず、空飛ぶ靴を作ってみた。しかしこれは、飛ぶときに足を動かさないといけないので、女の子に渡しても意味がない。

 次に魔女は、空飛ぶ手袋を作ってみた。しかしこれは、指が好き勝手に動いて、骨が砕けてしまいそうになったので却下。

 最後に魔女は、空飛ぶ帽子を作ってみた。しかしこれは、頭に乗せた瞬間に、帽子だけがどこかに飛んでいってしまった。


 魔女とフクロウはどうにもうまくいかず、次はなにを作ろうかと考えていた。するとそこに、魔女の居候をしている黒猫が通りかかった。魔女は黒猫に事情を説明し、次はなにを作ればいいかと相談してみると、黒猫はこう答えた。


「魔法で女の子の足を、治してやればいいだけでしょ」


おわり

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― 新着の感想 ―
オチで「確かに!」となりました(笑) 面白かったです。
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