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第134話 もう開き直り虫。

「ムーク様、申し訳ございません……あなた方が見つけた物なのに……」


 イセコさんが、とっても申し訳なさそうに頭を下げている……


「イヤー……イインデスヨ? ナンナラホラ、ボクノ取リ分ハ国庫的ナ所ニ寄付シテモ……」


「いいえ! それは駄目です!」


「ソウデスカ……」


 ボクは肩を落とす虫と化したのだった。



 ボクらが見つけた、アーゼリオンのマジックバッグ。

それには、大量の金貨と武器防具がミッチミチに詰まっていた。

ボクは驚愕し、マーヤとアルデアはハイタッチで喜び、ロロンは気絶して丸くなった。

その丸くなったロロンをベッドに安置したりして……今に至る。


 結局、あの鞄とその中身は『影衆』の皆さんが調べてくれることになった。

あまりにも量が多すぎるから、何らかの侵攻用の物資じゃないか? ってことらしい。

後で気付いたんだけど、金貨の中にガル硬貨も混じってたんだよね。

だからザヨイ家含めて、色んな所で調べたいんだってさ。


 それはそれで大丈夫なんだけどさ……

なんか、買い取ってくれるみたい、全部……

調べ終わったらお金くれるって……

また財産が増えるぅ……


「では、また後程。査定は可能な限り急ぎますので、御面倒をかけますが……」


「イエ全然、全然後回シデモ……」


「そのようなわけには、まいりません」


 ああん……行っちゃった。


「お金持ちだね、ムーク。私と会う前にもディナ・ロータス倒してるし」


「ウンソウナノ……」


 どうしよう、どんどんお金だけが溜まっていく……あ! そうだ!


「イリュシム先生! 倉庫ヲオ借リシタノデ使用料トシテ――」


「お断りいたします♪」


 ムギーッ! 畜生! いい人しかいない! いなーい!!


「……アルデア、マーヤ、山分ケシヨウネ?」


「ん、お前の背嚢に入れておけばいいのナ。思う存分たかるのナ」


「うん、私もそれでいい」


 ……それって今までと全然変わらんのだが???

んもう……仲間までいい人しかいない問題。


 はあ……我ながら贅沢な悩みだとは思うけど、増え続ける財産がコワイよう……

ラーヤから貰った宝石だって、ヴィラールさんに売っただけでまだまだあるしさ……


「ソウダ、2人トモ武器トカ防具イル!?」


「今はいいのナ」


「ん、満足してる」


 ンギィイ……! 畜生……!


『貢ぎ虫、失敗ですね? お姉さんがいるお店にでも通いますか?』


 アカの教育に悪いからァ……!



・・☆・・



「おいちゃん、ぼうけんしてきた?」


 ベンチで黄昏虫をしていると、ヘレナちゃんがやってきた。


「ウンシタ、ダンジョン行ッタヨ。ネ~?」


 肩に座っているアカに話を振る。


「いった、いったぁ! くしゃい! くらい! くしゃい!」


 二回も言った!?

まあね、臭かったもんね……


「うぇえ、くしゃいのやだぁ」


 ヘレナちゃんはけもんちゅだから大変そうよね……


「たからものとか、あった?」


「アーウン、アッタヨ……オ金トカネ」


 現状扱いに困るお金がね……


「わうぅ……! おいちゃん、すごいね!」


 ヘレナちゃんのお目目がキラキラしていらっしゃる……純度100%の尊敬のまなざしだ……


「ヘレナチャン、大キクナッタラ冒険者ニナリタイノ?」


「うん! いろんなとこいって、いろんなぼうけん、したい!」


 あら~……まっとうな意味での冒険者志望ですわ。

そりゃあ、いつも木刀持って一生懸命お稽古とかしてるわけだ。


「ソッカ~……ココニハイイ先生ガイッパイイルカラ、キット強クナレルネエ」


 モフモフな頭を撫でる、撫で~る。


「わうぅ……きゅぅん……!」


「えへぇ、えへへ~」


 もちろんアカも撫でます、ハイ。

ああ、気苦労とも呼べない何かが溶けていくみたい……

お金の使い道とかはまた後で考えよう、そうしよう。

いきなり焦ってワタワタしてもどうにもならんしねえ。

ロロンもまだ起きてこないし。


「あたちも、はやくおおきくなりたいな~」


「ウーン、ソウカナ?」


「おおきくなりたいよ~! おいちゃんもそうだったでしょ?」


「……ウン、ソウダネ」


 ゆっくり大きくなればいいんだよ……と、言いたかったけど。

ボクも一刻も早く大きくなりたい! としか思ってなかったもんねえ……

死活問題だったからさ……


「アカちゃんも、そうでしょ~?」


「みゅ? アカは、いまがいい!」


 おや、そういえばこの子おっきくなりたいって最近言わなくなったね?


「そうなの~?」


 不思議そうなヘレナちゃんの前で、アカは嬉しそうにボクのほっぺに頭をゴンゴン。


「おやびんのここ、だいしゅき! だからアカ、いまがいい~!」


「オグーッ!?!?」


 不意打ち……不意打ち!

にゃ、にゃんていい子なのだ……!

危うく爆発するところだった! かわいさで!!


「ムワーッ! アカ大好キ! 大好キーッ!!」


 肩のアカを持ち上げてナデナデ! ぐりぐり! ナデナデ! 頬ずり頬ずりのフルコンボじゃ~!!


「きゃーはは! あははぁ! アカも! アカも~! おやびん、だいしゅき~!」


「わぅう! あはは、あはは~!」


 嬉しさがオーバーロードしたので、ヘレナちゃんも撫でる! モフる~!


「まったく、騒がしき男よ……ふん」


 ヴァルがボクをジト目で見てるけどいいんだ! いいんだよ~!

あ~! ボクってはこの世界で一番の幸せ者かもしんないな~!!



・・☆・・



「おっふろ! おふ~ろ~!」


 アカがマントの首元から顔を出してニコニコしている。

ボクを見上げて、目が合うと満面の笑みを向けてくる。


「オフロ~! オフ~ロ~!」


「騒がしい親分子分なのナ……ロロンも混ざったらどうナ?」


「じゃじゃじゃ……」


 ム! ロロンも仲間に入りたいのかな?


「ンジャ、肩車~! オイデオイデ!」


「はわわ……お、お邪魔いたしやんす……!」


 これで初期パーティメンバーがそろったね! フハハ! 無敵!


「本当に乗るのナ……?」


「乗るでしょ、ムークあったかいもん」


 アルデアが、マーヤをマジか? みたいな感じで見ている。

仲良しパーティですからね! ね!


『今日もむっくんはご機嫌ですね。お金問題はどうすることにしたんですか?』


 ヴ……!

先延ばし! そしてこれからちょこちょこ使えばいいんです!

だってこれから浴場に行くんですからね!


 ロロンが起きたので、ボクらはリフレッシュを兼ねて浴場へ行くことにしたんだ。

孤児院のお風呂もいいけど、折角首都に来たんだからね!

そんで美味しいものを食べて、御土産も買って帰るんじゃい!

地道に! コツコツ! 経済を回すんですよトモさん!  


『ふふ、頑張ってくださいねむっくん』


 はーい! 頑張るゥ!


 さてさて、今向かっているのは……一の街から二の街に入ってすぐの所にある浴場!

門番さんが『あそこはいい』って太鼓判を押してくれたところだ。

彼らも、休日によく行ってるんですって。


 基本的にお風呂の好きな子しかいない我がパーティ。

とっても楽しみ!



「ヴ~……コウキタカ……オオゥ……」


「きもちい……きもちい……」


 たまげたねえ……お湯が紫色とは。


 やってきた『パスカの湯』

そこは、定期的に中身の変わる薬湯の浴場だった。

今日の紫色は、体の疲れに効く薬草を使っているらしい。

そのせいか、なーんかジワジワ疲れが溶けていく気がする……


「いーにおい、アカ、これしゅき~……」


 全身でお風呂を堪能していたアカは、そう言ってパチャパチャ泳いできた。

そして、ボクの肩によじ登って……そこで足湯を堪能している。

あ、ヴァルは女湯に行った。

ここ、結構人多いし。


 脱衣所でアカに確認してもらったから、変な人がいないのはわかっているので……リラックス虫。


『冒険も成功と言えば成功したし、お風呂も最高だし……後は美味しいご飯だねえ。アカ、何食べたい~?』


『おしょば! おしょば~!』


 ほほう、風呂上がりに蕎麦とは風流な子分ですなあ……

よーし! ここを出たらヤマダさんのお蕎麦屋さんに行こうか!

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― 新着の感想 ―
貢ぎ虫更新ありがとうございます!アカちゃんなんてなんて!良い虫か!!ここに居たら蕎麦奢っちゃるわ!
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