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第97話 くたばれブラック大地竜!!

「――オオオオオオオオオオオオオオッ!!」


 魔力が噴き出る感覚。

殺到したビームを鎧で弾いて、飛ぶ!


 さっきの、ノイズまみれで見えた誰かの記憶。

あんなのは嫌だ! あんなのは見たくない! だから――

できるんなら、ボクが! 動けるなら、ボクが!

ボクが、やらなくちゃ!!


『残留魔力量、急速減少中! わかっているとは思いますが、その状態は長く続きませんよ!』


 わかってまーす!


『ヴァル! 2人を頼むね!』


『ああ、任せておけ――無理はするなよ!』


 この反応だと、さっきのアレはボクにしか見えてないってことか!

どうなってるんだろう、ヴァーティガは!?


 それに――この胸でムカムカしてるのはなんだろう。

ボクじゃない誰かが、ボクの代わりに怒ってるみたいだ!


 でも不思議と、嫌じゃない。

今はこの怒りが、ボクに力を与えてくれる!

エンジンにガンガンとガソリンが注ぎ込まれてる、気分!!


「ガルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


「ヤカマシインジャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 ボクの大事な仲間にえらいことしやがって――ぶっ殺してやる!!!!


 大地竜に急接近!

ビームの嵐はもう通り抜けた! かかってこいやぁ!!


「ゴアアアアアアアアアアアアッ!!」


 少し体を起こした大地竜の口に、集まる魔力!

喉に穴開いててもブレスって撃てるんだ!?


 だけどそんなもんが――今のボクに効くもんかァ!!


「――デェエエエエリャアアアアアアアッ!!」


 右肩を前にして、タックルの体勢でブレスに突っ込む!

ボクの体を包むヴァーティガの装甲板が、眩しいほどに蒼く輝いて――赤黒いブレスに拮抗する!

加速度的に減っていく魔力を感じながら、歯を食いしばる!

吠えろ! 二連アフターバーナーッ!!


 背中が爆発したような衝撃があって、更に加速するボク!

ブレスに真っ向から逆らって! 進む!



『我らは、暗闇の中で戦わねばならぬ――』



 っぐぅう!? またノイズ! 一体どなたですか!?

でも何故か力が湧いた! いっくぞ~!!

もう残り時間が少ないんだ! なんとなく、わかる!!


 背面の装甲板が開き、翼によく似た形になる。

ヴァーティガアーマーもそれに合わせて、変形!

さらに加速が強くなる……体中が軋んでるけど、知るかそんなもん!

きっと、きっとここで頑張るのが、立派な親分、なんだから!! 


 ――ねえ、そうだよね! カマラさん!!


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


 ブレスを、抜けた! 正面に大地竜!

体中から血を噴き出してなお、ボクを睨んでいる!

睨みたいのはこっちだって同じだ! くたばれ――ブラックゥ!!


「ッフゥウウ――!!」


 再加速――! ぐうぅう!? 上のアフターバーナーが爆発した!

でもまだ一個! あるんだァ!!


「ウゥウウウゥ――!!」


 大地竜の口にまた、魔力!

チャージなんてさせるもんかーッ!!


 ヴァーティガを右手に持って――渾身の魔力を込めて――投げ、るッ!!


「――『剣ヨ』!」


 誰かが、ボクの喉を借りて叫んでいる気がした。


「『絶望ヲ越エテ――征ケ』!!」


 ボクの手を離れたヴァーティガは、空気を切り裂いてまっすぐ飛ぶ。

それどころか、空中にいる間に少なくとも三回、謎の加速をした。

そして――


「――ガギャアアアアアアアアアアアッ!?!?」


 大地竜の胸の真ん中に、まるで土にでも刺さるみたいに楽々と突き刺さった。

刀身の部分が、ざっくりと。


「ヌウゥウウウウウウウ――」


 それを追いかけて、ボクもまた突撃!

残る一つのアフターバーナーが弾け飛ぶのを感じながら――


「――オオオオオオアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 大地竜の胸に埋まったヴァーティガの柄に、全力で右ストレートを叩き込む!

鎧が蒼く光り、火花を散らしながら――柄を、内部に、捻じ込む!

柄ごと、ボクの右腕は大地竜の胸の中に!


「パイル――オォオオオオンッ!!」

 

 その状態でダメ押し! 胸の内部で唸れチェーンソー!

電磁、赤熱化ァ!!


「ゴオオオオオギャアアアアアアアアアアアアッ!?!?!?」


 噴き出る墨汁みたいな血液! 暴れる大地竜!

どうだこの野郎ォ! これでくたばってください!!


『ムーク! もういい逃げろ! 弾けるぞ!!』


 穏やかじゃない――離脱!

ヴァーティガアーマーの性能で、一瞬で離脱可能!!

大地竜がもうあんなに遠くに――あれ、アイツ胸にあんな蒼い模様あったっけ?

いや、アレは――


「ガギャガガアァアァアアアアアアアアアッ――」


 その瞬間、大地竜の胸が爆発した。

いや、胸どころじゃなくて……胸から腹にかけてが全部、吹き飛んだ!!


 黒い肉片が四方八方に散らばり、ボクにも冗談みたいにでっかい骨が激突。

けれど、アーマーがあるからなんともない!


 どずん、と大地竜が沈む。

今度こそ、その目からは……光が消えている。


『生命活動、停止を確認。もう大丈夫ですよ、むっくん』


 ヴァーティガアーマーが、空気に溶けるように消えていく。


「アフン」


 アーマーの支えを失ったボクは、そのままへちょりと大地に倒れ込むのだった。


 あ、向こうからロロンがダッシュしてくる……

もう駄目、ち、ちかれ……た……



・・☆・・



「あ、起きた」


 目を開くと、黒猫。

マーヤが首を傾げながら、ボク覗き込んでいた。


「オハヨ」


「おはよう、もう大丈夫?」


 むーん……案の定体が動かない。


「体動カナイケド、マア元気」


「ムーク、ボロボロだったもんね。でも、とっても格好よかった」


「エヘヘ、ソウカナ?」


「うん、とっても」


 フヒヒ……照れるなあ。


「助けてもらった時のこと、思い出しちゃった。ねえ、ムークは覚えてる?」


「黒曜ゴーレムトハ二度ト戦イタクニャイ……」


「あはは、にゃいって。私達みたい」


 ウニみたいになったからね、あの時。

今ならもっと簡単に倒せるのかなあ……


「……トコロデ、ココドコ?」


 今更だけど、どこ?

頭上には土の壁が見えるけど。

暗いなあ……


「冒険者さんたちがいたくぼみ。今、クトウに援軍を頼んでいるところ」


 あ、あそこか。

あれ? じゃあ……


「ココニイタ、クロヒョウサン達ハ?」


「くろひょう……? ああ、あのラジャタ族の3人? 元気になったから外にいるよ」


 ラジャタ族って言うのか……回復力凄いですね?


「あ、ムークは半日寝てたから」


 そうなん!? じゃあ暗いのって……普通に夕暮れなんだ。


「ソッカ……生キテテヨカッタ……アア! アカトアルデアハ――」


「おやびん! おやびぃん!!」


「――メギャーッ!?」


 元気だった! 今まさに兜に飛びついてきた!!


「起きたか。無茶をするからそうなるのナ」


 アカで見えないけどアルデアも元気そう!


「私達の傷なぞポーションですぐに治ったのナ。まあその……礼だけは言っておくのナ、うん。……ありがとうナ」


 アルデアっぽい足音が遠ざかっていく。

元気でよかった~……


「アカちゃん、おやびんにごはんあげなきゃ。お腹ペコペコだよ、たぶん」


「あい! おやびん、まってて、まっててぇ!!」


 ありがたい……活躍した後はだいたいそうなんよね。

今なら毒走り茸でも美味しく……食べられはしないけど、嫌々でも食べるくらいのコンディションです。


「ムーク、ムーク」


 あ、ヴァル。

後ろにはピーちゃんもいる。


「随分無理をしたな。この前のディナ・ロータスの時よりはまだマトモに使いこなせていたが」


「シャーナイ、アノ場合ハ」


 クロヒョウさん達がいなかったらみんな参戦できたけど、言っても仕方がないでしょ。

あの場合はボクが頑張らなあかんかったんですから……


「ふふ、まあよかろう。お主も戦士としての道を歩んでおるな」


「歩ミタクナイ……アデデデ」


 ヴァルがボクの胸に着地し、兜をペチペチ殴打。

振動が地味に痛い~!


「志の低い男よ……」


『まーっ! ヴァルさん駄目よ! ムークさんは一生懸命頑張ったのよ! 叩いたらめっ! めっ!』


 ピーちゃんの優しさが身に沁みるんじゃよ……

誰かが回収してくれたのか、横に安置してあるヴァーティガを見て……安堵の溜息を漏らすボクであった。

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― 新着の感想 ―
ヴァーティガソードシュート&コッキングパンチ&マイナスインチパイル&チェーンソーからの励起爆裂! 敵は破裂する! ついでにむっくんは動けなくなる!
前の持ち主さんかしらん? もしかしてヴァーティガの中にいるとかじゃなくてむっくんボディが前の持ち主の亡骸から創られてたりするのかな?
更新!ありがとう!!ございましたー♪サスムッくん!よくやった!ヴァーティガスーツは最終手段ですな。魔力切れだけじゃ無く動けなくなるは魔力回路がメチャクチャになるようだし。謎虫ムッくん(最強イケメンイク…
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