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第91話 特別任務虫、出発。

「まあ……あのお方が?」


「そうよ! 巡回騎士団と一緒にディナ・ロータスを討伐した方よ!」


「なんて雄々しい角……体も艶々で……!」


「やっぱり噂通り、【大角】様の御落胤……!」



 ……なんか、無茶苦茶見られつつ冒険者ギルドを出た。

っていうかまた大角って聞こえたんですけど!?

またか! まーた隠れてない隠し子扱いされとるんかボクは!?

んもう……


『大層な人気だな、ムークよ』


 肩にいるヴァルから、ちょっとニヤニヤした念話。


『元がおそらく人間だからピンときてないんだけど、ボクってば虫人基準だと超いい男らしいねえ?』


『らしいな。女たちがこぞって熱い目線を送っていたぞ?』


 そう言われましても……


「モテモテだね、ムーク」


 マーヤもなんか、からかうような目線。


「獣人は耳がいいから、ロロンも聞こえてたよね?」


「んだなっす! 強い戦士は慕われるものでやんす! ムーク様の良さば、ようやぐ知れ渡ってきたのす!」


 知れ渡りたくないな……別に……


「だってさ、よかったねムーク」


「マア、ソコソコ……ソコソコ……アヒャヒャ!?」


 尻尾でくすぐるのはやめろください! 

ビックリしちゃったでしょ!?


「あはは、おっきな声」


 んもう……ムム、どしたんアルデア?

急に肩をナデナデして?


「ふむん……お前はいい男なのナ?」


「ソコ肩ナンダケド!」


 顔はないよ! そこには!

やっぱりキミにとってボクはちょっと背の高い止まり木か何かなんですか!?



・・☆・・



 キャッキャしてたのは、街を出るまで。

なんだかんだ言ってボクらは全員それなりの修羅場を潜っているので、魔物の領域に近付くと浮ついた雰囲気は消える。


「ムーク、優先するのはまず安否確認なんだよね?」


 マーヤが確認してきた。


「ウン、派遣サレタ3人ノ冒険者サンノネ」


 街から初期に派遣された3名。

獣人の3人パーティで、男性が2人に女性が1人。

長くここで活動してて、それなり以上に腕の立つパーティだったみたい。

行方不明になってから、今日で3日……これは、どうだろうな。


「生きていれば救助、死んでいれば遺品の回収……まあ、できなくても我らの失点にはならんが……どうせなら生きていて欲しいものナ」


 アルデアが言う。

そんなこと言って~? 心配そうな顔してるぞ~?

この優しいそらんちゅめ~!

……あ、睨まれた、お口チャック。

何もしゃべってないけど。


「私はヴァルとピーちゃんと一緒に上空から偵察するのナ。何かあれば念話経由で連絡するのナ~」


 そう言って舞い上がるアルデア。

今更だけど飛び立つの格好いいんだよね、まず槍を放り投げて羽ばたいて、それから足でキャッチするんだもの。

なんかこう、歴戦の戦士っぽいよねえ。


『ゆめゆめ油断するなよ、ムーク』『行ってくるわ、行ってくるわ~!』

 

 今回アカはボクの方にいる。

こっちにも飛べる人員がいると、何かと便利だからね。


「私が先行します、地図は頭に叩き込みましたので」


 イセコさんが超頼もしい……いつもながら! 


 先頭はイセコさん、真ん中にマーヤ、その後ろにロロンで……最後尾にボクとアカ。

何かあれば後ろからアカミサイルと棘をばら撒いてやるぞ~!

もう体も本調子に戻ったからね! 五体超満足虫!


「頑張ロウネ、アカ」


「あい! がんばゆ、がんば~ゆ!」


 肩のアカを撫でてヴァーティガを持って……さあ行くぞ!



・・☆・・



「仕事ガナイ……」


「ん? どうしたの、ムーク」


 思わず小声で言うと、マーヤが振り向いた。


「ナンデモナイ」


 と言って手を振ったけど……仕事が、ない。


 街から出て、谷を目指して街道から外れた。

つまりうっそうと茂る森に入ったわけで……当然、魔物が出た。

出たけど、ゴブリンとかコボルト、それに森狼。

ボクもやる気満々だったんだけど……


 イセコさんとマーヤがほとんど片付けちゃった。

そして、控えているロロンが討伐部位とか皮を剥ぐ。

――結論、ボクとアカは何もしておりません!


 魔物くんたちさあ! なんで馬鹿正直に正面からしか来ないのよ!

もっとこう……回り込んだりしなさいよ!!


『おや、バトルジャンキー虫』


 いや違うけども! ずうっと戦いたくはないけども!

それでもこの状態は心苦しいというかなんというか!!


「ロロン、手伝イ……」


「はい? 終わりやんした!」


 さっきまで狼だったものが肉の塊に……手際がいい!


「……イイコイイコ」


「ひゃわわ!?」


 とりあえず撫でておこう、撫でて。


「ムーク」


 うおっビックリした。

急にどしたんマーヤ。


「私も頑張ったと思う。とても」


「エ、ウン……」


「頑張ったと、思う、とても」


 目が……強い!

い、一体どうすればいいの? 何? 何なの?


『撫でるし! 撫でろーッ!! マーヤちんを撫でろォアーッ!!!!』


 シャフさんの声がデカい!?


『あくしろー! 違ったらあーしが責任取ってやっから撫でルゥオ!!!!』


 ヒ、ヒィーッ!?

わ、わわわわかりました! ましたぁ!!


「イイコイイコ……」


 恐る恐る、ナデナデ。


「にゃ、にゃ~……♪」


 ……超嬉しそう! 耳がグルグルしとる!?

これでよかったんだ! ありがとうシャフさん!


『むほほほ、むほほほほ……あ~たまんね、たまんね~!』


 めっちゃテンション高い……


「アカも、アカも~!」


「イイコイイコ、トッテモイイコ」


「んへへへぇ、えへぇ、あはは!」


 え? アカは何もしてないって?

カワイイカワイイ子分を撫でるのに理由はいらんでしょ???



「にゃ! にゃっ! にゃにゃっ!!」「――ッギ!?」「――ッガ!?」「――グペッ!?」


 あれからマーヤの調子がものすごくいい。

今も、目にも止まらない速さでナイフを投げまくっている。

何本持ってるのかはわからないけど、殺到するゴブリンの喉とか目とか眉間とか胸とか、とにかく急所に一撃で突き刺さっては成仏させている。

すご……投げナイフすご……


 そして仕方ないけどボクの仕事はなぁい。

もう開き直って、油断だけはしないように周囲の索敵を続けている。

マジで前からしか魔物こないけど。


『ヴァル、そっちはどう~?』


『空は平和なものだ。先程ムシクイドリを見かけたがすぐに逃げて行ったぞ』


 うわなつかし! オオじゃないムシクイドリ! ただの鳥類! ガバガバ図鑑の被害者!

……とにかく、向こうは大丈夫そうだ。


「はわぁ、マーヤさん……すんばらしき技の冴えなのす~……」


 ロロンのお目目がキラキラ!

まあ仕方ない、アレはすごいからねえ。


「マーヤ、マーヤしゅごい! かっこい! かっこい~!」


 アカも大興奮ですよ。


 そんなこんなで……魔物を処理しつつもボクらの歩みはよどみない。

言っちゃ悪いけど雑魚しか出ないし、そりゃそうか。

それよりも道なき道を行くから、そっちの方が大変。


 ……ム?

なんか、変な感じがする。

魔物がいる時みたいな、そうじゃないような……?

……これは! まさか!


 ――違ってたらごめんなさいすればいいか! 正面に衝撃波発射ァ!!


「――ギャンッ!?」


 正面に向けて放った衝撃波は、何もない空間に『衝突』

じわ、と景色が歪んで出てきたのは……首のへし折れた、『真っ黒い狼』!


「――例ノ魔物ダ! ミンナ、気ヲ付ケテ――ッチィイ!!」


 マーヤの横が歪んでる!

させるかパイル発射!!


「ギャオッ!?」


 空中に浮かび上がる黒い狼の――胴体をぶち抜くパイル!


「アカーッ! 正面ニミサイル!!」「――あいっ!」


 アカのミサイルが空気を切り裂いて真っ直ぐ、森の奥に飛んでいく。

そして――空間が歪んで現れる、黒い狼の群れ!

ここで出るか! 黒い奴らめ!!

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― 新着の感想 ―
更新バトルジャンキー虫ありがとうございます!む?トモさんレーダーよりインセクトセンシズの方が感知早かったか。流石パワーアップしただのことはあるナ!シャフさん巻き舌〜怖い〜wだがしかし、グッジョブ!!!…
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