第5話 クソデカムカデ、出現。
『むっくん! 岩山の内部で多数の反応があります! 来ますよ!』
なんじゃとて!?
急いでラドル石の塊をバッグに収納してっと……タダ働きになっちゃう!
「ミンナー! 魔物ガクルヨ! ロロン、武器用意シテ!」
「はいっ!」
ロロンは後方に跳んで、杭とハンマーをしまう。
そして、そこに置いてあった槍を持って構えた。
『アカ! ピーちゃんと一緒に上空で待機してて!』
『あーい!』『逃げ足はお手の物よ~!』
ボクもヴァーティガを右手に持ち、魔力を循環させる……!
ラドル石を掘り出した穴から、どんどん大きくなるザザザって音!
「ロロン! アノ穴塞イダ方ガイイ!?」
「やめなっせ! 穴ば塞いだら、どっから出てくるのかわからねえのす!」
「了解! 迎撃スルヨ!」
確かにその通りだ、子分が賢くってエライ!
と、ロロンを心中で褒めていたら――穴の中に光る影!
「弱点は頭でやんす! それ以外は効きが悪いのす!」
「ハーイ!」
ずる、とムカデ……イワバミが出てきた!
まじまじと見ると一層キモい! ボクはヒト型になれてよかった!
その頭目掛けて――速射衝撃波、2連ッ!!
「――BAGAGGGGGGGGG!?!?」
衝撃波が頭部に命中し、クシャッと装甲がへこむ。
紫色の毒々しい体液を噴出させて、イワバミは動きを止めた。
そのまま、細かい痙攣を繰り返している。
よしよし、速射衝撃波で対応可能!
『どんどん来ますよ! 油断しないで!』
了解、女神様!
新手がずるっと出てきて――ロロンの方にいきなりジャンプ!?
なんてキショイ動きだ!?
「るぅう――あっ!!」
だけどロロンは慌てず騒がず、槍を振って空中でその首を斬り落とした。
ワザマエ! かっこいい!!
油断はしないけど、これなら十分に対応可能だね――絶滅させちゃるぞ~!!
「オオウ、リャア!!」
ボクの顔面目掛けて飛び掛かって来たイワバミに、ヴァーティガをフルスイング!
ギチギチ牙を鳴らすその頭部は、頼れる相棒の一撃で砕けて散った。
頭部を失って飛んでくる体を躱す……しばらく痙攣してやっと静かになった。
これで何匹目か忘れるくらい成仏させたね……周囲はムカデの残骸まみれだ。
ロロンとアカが大活躍してくれたから、誰も怪我してないけど。
それにしても……体液があり得ないくらい臭いのが難点です、このムカデ。
なんだこのシンナーみたいな激臭……
「ムゥ……!」
ザザザ音が聞こえない……気配もない。
もういないのかな……そこんとこどうです? トモさん。
『少々お待ちを……レーダーに感アリ! 真下!』
真下!?
と思った時には――足元が揺れる!
大地竜で慣れっこなんだよ、その振動は!
「下カラ来ルヨ! 距離ヲトルネ!」「はひゃあッ!?!?」
横にいるロロンを片手で抱えて、ジャンプ!
その頂点で、衝撃波バックステッポゥ!!
足元だった地面が揺れて亀裂が入り――地面を割りながら、黒い影が出てくる!
イワバミの新手……じゃ、ないっ!?
「何アレキッショ!?」
そこから出てきたのは、今まで散々成仏させてきたイワバミの……何倍もある頭部だった。
牙をギチギチ慣らすその頭はなんと……2つゥ!?
ロロンを抱えたまま着地し、さらに後ろへ飛ぶ。
はわはわ言ってるロロンを地面に下ろしたくらいで、そいつは全身を地下から出した。
『おばけ! ムカデのおばけだわ~!!』
地面からぬるっと出てきたのは……ムカデ。
だけど、ボクが知らないタイプのムカデだった。
数えるのも嫌になるくらいの脚が生えたぶっとい胴体からは……首が、2本生えている!
『アレはイワバミの上位種です!』
なんで進化すると頭2つになるの!?
ボクは進化しても頭1つでよかった!
『おー、アレ知ってるわ。っていうかアレ元々頭2つなんよ? でっかくなっとケツの頭も前にくんのよ』
お尻の先っちょも頭なの!?
じゃあ排泄とかどうやって――横ステップゥ!!
躱した空間を、紫色の激臭液体が通過していく……明らかになんか溶かしそうな感じ!
魔物の生態に思いをはせてる場合じゃなーい! 油断したら死んじゃう!!
「みゅんみゅんみゅ――!」『やっちゃえアカちゃん! やっちゃえ~!』
上空のアカが帯電を始める! 頼れる子分!
「待ちなっせ! アカちゃ――」
何かをロロンが言いかけるも、アカサンダーが発射される。
それはあっというまにイワバミに直撃して――
「ホワッチャ!?!?」
跳ね返ってボクに飛んできて、ヴィラールさんの結界に防がれた!
あ、あっぶね……!
「おやびん! ごめんなしゃい!」
「大丈夫大丈夫! オヤビンハ無敵ナノデ!!」
毎晩魔力込めててよかった……ちゃんとお仕事してくれたね!
ともかく、コイツは魔法を反射するのか!
「ドウスレバイイ、ロロン!」
アカを標的にされないように、イワバミの近くで高速反復横跳びをかましながら聞く。
『ふぁー! 動ききっしょ! あははは!』
力が抜けるから笑わんといてシャフさん!
「ひいじっさま曰く――!」
ボクに注目しているイワバミに回り込み、ロロンが槍を構える。
「――『殴り続ければいつかは死ぬ』ッ!! えぇえりゃあああっ!!」
とっても素敵でシンプルな答えを出しつつ、ロロンが真っ直ぐ突きを入れた。
空気を切り裂いたその切っ先がイワバミに埋まり、毒々しい体液が噴き出す!
「――KKNNKKKSSSAAAAAAAAAA!!!!」「ぬんっ!」
イワバミが振り回す尻尾を蹴って、ロロンが跳ぶ。
アタッチメント式になっている穂先はそのまま残して――腰の後ろから取り出した新しいのをガチャンとリロード!
「了解ッ! 喰ラエッ!!」
左腕に魔力を集中――パイル発射ァ!!
高速回転をする棘がイワバミの体に食い込んで、装甲を抉りながら突き刺さる!
「GBBBBAAAAAA!?!?!?」
よし突き抜けた!
進化の甲斐があって、棘の貫通力も上がってるみたい!
やるか! アレを!!
「――ヌウゥウッ!!」
怒り狂うイワバミの吐しゃ物連打を躱し、距離を取る!
何度かロロンがちょっかいをかけたので、頭2つは彼女の腑に向く――今!
「――トゥッ!!」
ジャンプして衝撃波を放ち、上空へ!
何度か軌道修正をしながら――アフターバーナー点火!
「ンギュン!?」
一気に加速するボク!
姿勢が崩れないように、両足をドロップキックの形で伸ばーす!!
接近に気付いたイワバミがこっちを向くけど、もう遅い!!
――喰らえ必殺、むっくん・キィック!!
「GGGGGAGAGAAAAAAAA!?!?!?」
片方に頭に、両足がめり込んだ――瞬間に! パイルオン!!
蹴りの段階で破損していたイワバミヘッドの内部に、突き刺さる棘! 発射ァ!!
「KKKKKYYYYYAAAAAAAA!?!?!?!?!」
不明瞭な悲鳴を上げつつ、貫通した棘で頭部が半分破損!
「オ、オオオオォオ!!」
片割れの仇を取ろうと、もう片方のヘッドがボクに殺到する!
ソイツに向けて――魔力を込めたヴァーティガを、左手で横スイング!!
蒼く輝く相棒が、今まさに毒液を放とうとした牙を砕き、顔面にヒビを入れるほどめり込んで通り過ぎる!
「オラーッ!!」
空いている右拳で、むっくんパンチ! しかる後、パイルオンッ!!
回れ、ボクの棘-ッ!!
「FGAGAAAAAAA!?!?!?!?」
湿った異音を響かせて棘は回り、イワバミの体液やらなんやらを周囲にブチまける!
よし、これで――あっづ!?!?
イワバミの体液がかかった右手がアッツイ!? っていうか溶けてるゥ!?
結界はここまでカバーしてくんないのね!
「戦略的、撤退ッ!!」
チェーンソーを引き抜いて、衝撃波で退避! 退避ーッ!!
「ヌゥウ……」
地面に降りて距離を取り、イワバミを観察する。
虫の生命力は凄いっていうけど、まさにそのとおり。
片方の頭は半分なくなって、もう片方も同じ感じなんだけど……まだ出鱈目に動いている。
「GGGAGAGAGAGA!!! HHHGAGAGAGAAAEEEE!!!」
うおお危ない、例の激ヤバ体液が四方八方に!
むうう、魔法が効けばこのままズタボロになるまで続けるのに……棘の回復を待つしかないか。
……アレ、ロロンはどこに――?
と、思ったら。
小さな影が暴れ回るイワバミの体を足場に、一気に駆け上がった。
ロロンだ!
「――ちぇあッ!!」
まずは、1つ。
鋭い一撃で、ロロンは頭を斬り落とす。
そして――
「――はぁあッ!!」
空中で独楽みたいに回転して、もう1つを落とした。
そのまま、首を蹴りつけて離脱し――空中で丸まって加速。
噴き出る体液の射程外まで飛んでいった。
その背中がどうなってるのかわかんないけど、ぽよんって感じで跳ねてたのはなんかかわいかった。
2つの頭部を失ったイワバミは、しばらく暴れ回りながら体液を噴出させ続けた。
ドキドキしつつ見ていると……やっと、どすんと地面に横たわったのだ。
「……ヤッタ、ネ!!」
やったか!? はフラグだって言われたからね! あぶないあぶない……!
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