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第114話 平和な竜車の旅は最高! 最高!!

がたがた、と振動。


「ごとごと、あはは、ごとごと~」


 おっと、ごとごとでしたね失礼。

肩の上のアカもご機嫌だ。


「チュピ……ピピヨ……」


 ピーちゃんはマントに包まって夢の中。

この陽気だからね、仕方ないねえ。


「ふみゅ……なんとも……いい……陽気で……ふみゃ……」


 ロロンは船にでも乗ってるみたいにグラングランしてる。

我慢しないで寝ちゃえばいいのに、魔物の気配はないんだしさ。


「ウナ~……ンナ~……」


 アルデアなんか大の字になって寝てるのに。


「気持ちのいい天気だねえ。うっかりすると寝ちまうよ」


 そんなことを言ってるカマラさんだけど、いつものようにちゃんと座っている。


「ホラ、ロロンちゃんこっち来な。こういう時は寝ちまえばいいのさ、ムークちゃんがしっかりしてんだからさ」


「そげなわけには、いがねえの……す~……」


 あ、寝た。

それじゃあ……邪魔しちゃいけないからちょっと前に行こっと。

ピーちゃんを落とさないように……と。


「ヤタコサン、疲レテマセンカ?」


 荷台の一番前まで来て、御者席のヤタコさんに声をかける。

この竜車はワゴン車みたいに座る所が3列あって、ボクがいるのは一番前。

幌もしっかりかけられるし、荷物じゃなくてヒトを運ぶ専用の車なんだろうなあ。


「いいええ、アッシは慣れっこでさ! もしもお暇なら、横に来やせんかダンナ?」


「ア、ジャアオ言葉ニ甘エテ……」


 バッグから小さい毛布を出してピーちゃんを安置して、仕切りを乗り越える。

そして、ヤタコさんの隣に腰かけた。

あ、ここのクッションも柔らかくていいや。


「げんき、げんき~!」


 アカが肩から飛んで行って、シュテンちゃんの頭に着地。

そのままぺたんとうつぶせになった。

落ちないでよ?


「すべすべ、ひんやり、つるつる~」


「ギャルルルル……」


 トカゲって冷たそうだよねえ。


「平和デスネエ」


「スタンピードの後はどこもこうでさあ。今回は期間が短かったですけど、大物が残らずおっ死んじまったから森の中は大人しいもんでやす。残った小物はわざわざ街道にまで出て来やせん」


 なるほど……そういうことか。

一時はどうなることかと思ってたけど、意外とうまいことできてるんだなあ。


「ソウイエバ……」


 丁度いいので、聞きたかったことを聞くことにした。


「巫女様トヨク似テラッシャルンデスケド、ゴ親戚デスカ?」


「と、とんでもねえ! アッシは親戚とも言えねえ遠い遠い間柄でやす! 遥か昔にゃあ同じ一族だったって聞いてはおりやすが……」


 へ~、そうなんだ。

ご先祖様が一緒なんだ、通りで似てると思ったよ。


「ソウナンデスネ~」


「へい、そのお陰でルツコ様にもよくしていただいておりやす。勿体ないことで……」


 ああ、ラクサコさんの従妹さん。

特に話も聞こえてこないから、巡回騎士団さんたちは問題なく任務を遂行できたんだろうね。

だって村人さんたちが帰るって言ってたし。


「そういえば、ダンナはどこいらの族出身で? その偉丈夫振り、やはり【ヒトツキ】の出でやすか?」


 あ~……この人は知らないんだよねえ。

ヒトツキってなんじゃろ。


「エエトデスネ、ボクハ【帰ラズノ森】ニ捨テラレテテ……」


 そう言った瞬間、ヤタコさんは青ざめた。

そして、流れるように土下座の体勢に――キャンセル!!


「オット、気ニシナイデ下サイ。ボクハソコニイタカラ、アカニモ皆ニモ会エタンデスカラ……後悔モアリマセンヨ」


 出自は嘘だけど、あそこで謎芋虫してたから今のボクがあるんだ。

それを後悔なんて……とんでもない!

ロロンにも会えたしね!


『おやあ~? 誰かをお忘れでは~?』


 トモさんがいなかったら即死してるし、感謝なんて生易しいもんじゃないですよ!?

早くデラックストモさんおフィギュアを作りたいです!!

モンサンミッシェルみたいな教会が建つくらい有名にもしてあげたい! です!


『女神トモ、ものは――』


『コホン、あ げ ま せ ん。ふふっ』


 まーたボクのトレードが持ち上がった!


「なんという志……このヤタコ、感服いたしやした! 流石はエンシュを救った英雄殿!!」


「ヤメテヤメテ」


 頑張ったのはそうだけど! そうだけど!

不当に評価が高くないですか~!? テオファールもいたんだしさあ!

……なんだけど、あんまり嫌がるのも違うので甘んじて受けよう。


「おやびん、おなかすいた、すいたあ」


 アカが戻ってきた。

ちょっとひんやりしてる! シュテンちゃんの体温なのかな?


「ハイハイ」


 ボクも小腹が空いたねえ。

バッグに手を入れ……むむん、出でよ硬い揚げパン!

これ、ほのかに甘くて美味しいんだよねえ。


「ドウゾ~」


「あむあむ」


 肩に乗ったアカは嬉しそうに頬張っている。

ボクも食べよっと。


「ヨケレバ……」


「これは……ありがてえ! アッシは揚げパンに目がねえんで……」


 少し顔を赤くして、ヤタコさんもバリバリと食べだした。


「ギャウ! ギャーウ!」


 シュテンちゃんがムッチャ主張してくる!

この子は草食だから……ええと……これ!!

異世界かぼちゃ! 煮たら美味しいらしい!


「アゲテモイイデス?」


「これは申し訳ねえ! そ、それなら……」


 ヤタコさんは御者席の横から、先っちょがフックになってる棒を取り出して……先にかぼちゃをサックリ!

そして、そのまま伸ばして……おお! シュテンちゃんが歩きながら首を曲げて器用に食べた!

柔軟性凄いな~?


「しっかと味わうんだよシュテン! ダンナが恵んでくだすったんだからさ!」


「ギュルルルル……」


 ばきばきばりばりと大きな音を立て、シュテンちゃんは美味しそうに食べた。

顎が丈夫~!


「カマラサンモ……アラ」


 後ろを振り向くと、カマラさんとロロンが一緒に眠っていた。

そして、その膝にはいつの間にかピーちゃんもいる。

あらまあ……とっても幸せそう! ホッコリしちゃうねえ……


 ちなみにアルデアは一番後ろでとんでもない格好で寝てる。

アレ落ちないのかな……?


「さ、魔物もいねえし……今のうちに距離を稼ぎやすよ~! なあ、シュテン!」


「ギャッ! ギャッ!」


 ぐん、と加速するシュテンちゃん。


「あはは! あははは!」


 肩に抱き着いて、アカが楽しそうに笑った。

あ~、いいなあ、平和っていいな~!



・・☆・・



「フンフン、フンフン♪」


「ふんふん、ふんふーん!」


 流れる川、素敵なせせらぎ、涼しい風。

そして、光る釣り糸。

最高の上に、最高だ。


 夕方前に休憩所に着き、体をほぐした後……ボクは、川べりでアカと一緒に釣り糸を垂れている。

エサはそこら辺の石の下にいる虫をピーちゃんが見つけてくれました。


 ボクは大きな岩に座り、アカはボクの膝。

ピーちゃんはおやつの焼いたお芋に突き刺さっている。

……熱くないんかな?


 ともかく、久々の釣りだ。

サカグチさんの所で買った素敵な釣り竿は、本当に手に馴染む。

いい買い物したねえ……


「ム!」


 流れるウキが沈んだ! フィーッシュ!!

ぐんと合わせると、いい引きが返ってくる! こいつはでっかいぞ~!


「フンヌ~!」


 リールを巻いて引き寄せ、ごぼう抜き!

糸の先に着いているのは……銀色のお魚! シャケみたいなお顔してるねえ!


「おやびん、しゅごい、しゅごーい! アカも! アカもつる~!」


 なんて言ってる間に、アカの竿先もぐんっと曲がる!


「うにゅにゅにゅ~……にゅ~!!」


 小さい体で頑張るアカ、控えめに言って宇宙で一番かわいいのではなかろうか?

ボクもチョット手伝って、上がってきたのは……


「やた~!」


「ナンダコノバケモノ!?」


 紫色の、ぬめっとしたウナギの化け物だった!

ヒィーッ!! ウツボみたいな顔してる!?


『おや、それは【ヌメリウオ】という魚ですよ。かば焼きにすると美味しいらしいです』


 むっくんパンチ! ヌメリウオは空中で成仏!

美味しいなら食べ~る!!


「アカ、ヨクヤッタネ~!」


「んへへぇ、アカ、つりしゅき! しゅき~!」


 お魚に、謎ウナギ。

今日の釣果は中々ですなあ、ウヒョヒョ。


「なあ、ムーク。アカの雷撃魔法を川に叩き込むのが一番早いんじゃないのナ?」


「風情ガ! ナァイ!!」


 あんまりにもあんまりなアルデアの意見に、ボクは強めに反論するのだった。

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― 新着の感想 ―
ムッくん良かったねー。生きてて。トモさんに大感謝!虎視眈々とヴェルママンがムッくんを狙ってるw帰らずの森の話しすると皆んなムッくんが不憫すぎて、同情が深い!食生活も話したら泣く。きっと。ええ、きっと。
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