第94話
「いい加減しろよ、またこのパターンかよ」
げんなりとしてルビーは呟く。
「楽で良いじゃない、私は賛成よ」
「しかしこれまでと同じ雑魚とは限らないですヨ」
「1体倒してみれば判るよ」
パールは楽観視しているがアメジストはやや警戒気味だ。レシルがこれまでの体験からとりあえずやってみようと提案する。
地下5階は野球のグラウンド程の広さだった。しかしルビーがげんなりした原因は広さではなく、そこをびっしりと埋め尽くすスケルトン達だ。
さすがにこの数をサファイアとアイリスだけでやるには時間が掛かり過ぎる。話し合いの結果、アメジストとリザを除く全員で殴る事になった。アメジストはスケルトン相手に高級なアダマンブレットを使う訳にもいかず、だからと言ってブロンズブレットではお話にならないため、シルバーブレットで牽制しつつマイルドファイアを撃つ事に。リザは頑として殴りには参加しないと聞かず、後方から魔法支援する事になった。
このスケルトン達がリンクするのか、通路まで襲ってくるのかを確かめる必要があり、ルビーが1体を釣って様子を見るしかない。
「さっきみたいに入口で詰まるなんて考えないで1度に5~6体が通路に入ってきて相手にするくらいでいてね」
パールが言うようにさっきと違うのは通路が広く交通渋滞を期待出来ない。こちらも全員が横に広がりスケルトンと対峙出来る訳ではない。しかしそれを逆手に取って半数は後方へ控え、体力が減った者と入れ替わる戦法が取られた。サファイアとアイリスは同時に殴らずどちらかはターゲットを一身に受けるレシルを回復する役目を担う。
「準備は良いかな?」
レシルの言葉に全員が頷くとルビーを見、アイコンタクトで釣って良いと伝える。
ルビーは部屋入口から数歩下がった位置から1番近いスケルトンへクナイを投げつける。狙い違わずクナイはスケルトンのコメカミに突き刺さった。
急いでルビーは仲間が待機する場所を通り過ぎ階段近くまで退いた。
「やっぱり来たよ来たよ、全部来たー!」
楽しそうにレシルは閃煌を放ちスケルトンのターゲットをその身に集める。なおバストはとても豊満だ。
通路に雪崩れ込んで来たスケルトンの数はおよそ20体! 数回の攻撃を受けて敵の強さを計る。
「プランA、そんなに強く無い、殴り倒せるよ」
こうなれば話は早い、まずはサファイア、ルビー、シトリン、アルミナが前に出る。
「これホントに私でもいけるのー?」
おっかなびっくりにアルミナが殺到するスケルトンを殴る。素焼きのツボが割れた様な音を立てて殴られたスケルトンは頭蓋骨のほとんどを失い塵になった。
「アルミナちゃんすごいよ、ちゃんと倒せてる!」
「何だか不思議な気分だけど気持ち良いね!」
この組で残る心配はルビーだ。攻撃力方法は刀で斬り掛かるかクナイを投擲する。あとは火遁の術で燃やすくらいだ。しかし刀とクナイによる攻撃はスケルトンの特性により突攻撃を減衰させるのだ。今まで無かった後衛にダメージで負ける、そんな事実をにわかには受け入れられなかった。あ、サファイアとアイリスは別勘定でお願いします。
「やっぱり相性の差はどうにもならないか…」
そう呟くとルビーは手数でスケルトンをねじ伏せた。
◇◆◇◆◇
それが現れたのはスケルトンを50体ほど倒した時だった。
「皆、部屋に突入するよ!」
突然レシルが叫ぶ。理由も言わずスケルトンの海へ飛び込むレシル。サファイア達は何が起こったのか理解する間も無く後を追う。
「閃光! そして閃煌!」
立て続けに高ヘイトの魔法を唱えた相手…。2メートルを超えるスケルトンだ。
「魔力増幅、フレイムブレス!」
1体ずつ倒している場合では無いと判断したパールは広範囲の雑魚のスケルトンを焼き払う。それでも雑魚のスケルトンはレシルへ向かい足を止めない。
「離れないと巻き込まれるわよっ、ヴォルケーノエラプション!」
リザが現時点での最上位魔法を放つ。床に地割れが出来、そこから超高温のマグマが噴き出す。それに巻き込まれた周囲のスケルトンは消し炭になり塵と消えた。
「デカイのはレシル押さえといてや! フェノメンブレイク!」
セリアが無秩序にスケルトンの軍団へフラスコを投げ付ける。液体を浴びたスケルトンは爆発するか、もしくはそのまま松明の様に燃え始める。
「イフリート召喚、魔法範囲化、炎の鎧! 続けてウォークライ! さらにフレイムブレス!」
ペリドットは怒涛の連続履行で攻守の強化を行った。
「レシルちゃんいっくよー、アンデッドキラー」
アルミナがレシルへアンデッドキラーを付与し間接的にダメージを減らす。フレイムブレスやヴォルケーノエラプションによって大量のスケルトンが倒された。しかしそれは2メートルを超えるスケルトン…大スケルトンの襲来を速める結果となった。
「フレイルと盾を持ってる…、気を付けて」
「こっちも条件は一緒、大丈夫、勝てるよ」
何度目かのフレイムブレスを吐き、パールはレシルに注意を促す。フレイルと盾、つまりこの大スケルトンは物理メインのタイプとレシルは判断した。
頭の遥か上方から振り下ろされるフレイルを盾で受け流しながら肋骨へシールドバッシュを叩き込む。横からフレイルを薙ぎ払う大スケルトン、レシルは反対方向へ飛んでダメージを減らす。
サファイア達はレシルが大スケルトンと1対1で戦えるようにスケルトンを殲滅していく。だが早く雑魚を倒してレシルの援護に向かわないといつか限界は来る。
「そんなヤワな攻撃じゃ私を倒せないよっ」
しかし大スケルトンと正面からやりあうレシル、その光景にサファイア達ジュエルボックスの面々は驚きを隠せない。エルフ族の中では小柄なレシルがどうしてここまで大スケルトンの猛攻に耐えているのか。
「これが終われば聞いてみてはいかがです?」
そう言ってたおやかに微笑むアイリス。左右から襲いかかってくるスケルトンを一撃の元に屠り塵にする。サファイアも大技での殲滅は諦め1体ずつ確実に倒す方法を選んだ。
ここでルビーの戦い方に少し変化があった。まずは火遁の術で目標のスケルトンを燃やす、その間に持ち前のスピードを生かした連続攻撃を叩き込む、これで何とか雑魚は秒殺出来た。
「まだ半分も終わってにゃいよっ」
「泣き言は後から聞いちゃるけぇここは気張りや」
ローラは居合い抜きで高速の一撃を繰り出しスケルトンを粉砕する。しかしぞろぞろとスケルトンは押し寄せ休む暇を与えてくれない。
「レシルさん、ターゲット半分持ちます!」
そう言うとパールはスケルトンの群れに突入し円陣剣を放ち強引にターゲットを奪う。その動きに合わせペリドットがすぐさま炎の鎧をパールへ掛ける。
「ありがとうパールちゃん、後でキスしたげる」
「要らないわ。それより雑魚だけでも片付けるわよ」
「んもう、釣れないなぁ「円陣剣!」」
阿吽の呼吸でスケルトンを薙ぎ倒す。
「寝不足で出社した罪により銃殺刑!」
アメジストのマイルドファイアが大スケルトンの頭部を捉える、が大スケルトンはびくともせずレシルを狙い続ける。
「二段回し蹴り!」
「真っ向唐竹割り!」
シトリンとローラがアドリブで技連携を繋げる!
「ナイス、炎ですヨ」
マジックボーナス炎のエフェクトが大スケルトンを包む。
「火遁の術!」
「キャノンファイア!」
「イフリート、インフェルノクラッシュ!」
「破魔札・炎!」
「ヴォルケーノエラプション!」
誰もがこれで倒せるとは思って居ない。しかし今は少しでもHPを削るのが求められる。
ひたすらスケルトンを倒すだけの時間が続き、ようやく雑魚スケルトンの数終わりが見え始めた頃、サファイア達全員が青ざめた。
「今度は大鎌タイプかよ…」
「コイツもデスを唱えると思った方が良さそうですヨ」
雑魚スケルトンの最後尾、レシルと同じくらいの身長のスケルトンが姿を現してした。
即座に後衛はスケルトンの群れから距離を取りレシルとシトリンに強化を集中させる。その上でパール、ペリドット、リザ、セリアはスケルトンへ範囲攻撃を続ける。
「シトリンさん、デスが来たらスタンよろしく」
「了解」
パールがシトリンに指示を飛ばす。先の戦いでデスを止めたのはシトリンの金的だったからだ。このコーポレーションが女性のみの構成で良かった。男性があの光景を見るとトラウマ級の衝撃になるのは間違い無い。
「残り全部集めるね!」
レシルが閃煌で全てのスケルトンのヘイトを稼ぐ。すかさずパールは大スケルトンの背後へ回り込むとルビーが騙し討ちを乗せた蛇咬双牙を放ち、それを足掛かりにマジックボーナス光が発動する。
「範囲攻撃は控えるですヨ!」
大鎌のスケルトンが近くへ迫っていた為、巻き込んでヘイトを乗せるのは得策ではない。なので全員が単体攻撃を選び大スケルトンを追い詰める。しかし1度や2度のマジックボーナスで倒せないのは誰しも理解している。
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