第31話
30話を越えたので文字数を増やしてみました。これからは3,000文字以上での投稿になります。
ペリドット達と一緒にレベリングする事となりサファイア達は1つの問題が発生した。サファイアだけがキューニィに乗れないのだ。それを誤魔化す為に1日の準備期間を設けた。
ヒルマウンテンへ戻る道すがら、遭遇したモンスターは全て倒した。が、それが裏目に出てしまいサファイアがレベルアップして詐称がバレてしまった。ペリドットもシトリンも笑って許してくれたので事なきを得た。
ヒルマウンテンに到着した一行は解散しサファイアとルビーは再びキューニィ厩舎へ向かった。今日の分のエサを与えて居ないからまだチャレンジ出来るからである。しかし相も変わらずイザヨイ(仮)は逃げ回りエサを一向に食べようとはしなかった。
パールとアメジストは競売所へ向かい落札金を受け取る。そしてある物を落札するとレンタルハウスへ戻った。ペリドットとシトリンは冒険者ギルドへクエストの報告を済ませると大浴場へ向かう。
「なんだか人の良さそうなパーティだったわね」
「助かった」
湯船に浸かりながらふぅ~と息を吐く。
「本当に、あのままじゃ今頃はまだ迷子だったかも知れないわ」
「お礼してない」
「あ…、そ、そうね。明後日までに考えおかないと…はぁ、また軍資金が減っていくわ………」
「別にお礼なんて要らないわよ?」
「ひゃうっ、え? あ、パールさん?」
湯船から飛び出しそうな勢いで驚くペリドット。
「さっきぶりね」
「ミーも居るですヨ」
「アメジストさんも…聞いてました?」
「聞くも何も、そちらが後から来たですヨ」
「へ?」
「最初から居た」
気付いてたなら教えてやれよ。
「話を戻すけれど本当にお礼は要らないから。救援要請が聞こえたら助けに入るのが冒険者でしょ?」
「でも…」
「気が済まないって言うなら、次はペリドット達が他の冒険者を助けるですヨ」
「あっ!」
虚を突かれたように瞠目するペリドット。
「そうですね、気付きませんでした」
「それならお金の心配も要らないでしょ?」
「あはは…」
「うち貧乏」
「シトリン!? 余計な事は言わなくて良いからっ!」
「最初ペリドット」
「いや、確かに私が言ったけれどぉ」
ペリドットは泣きそうな顔でうなだれる。
「パーティメンバー募集お金必要」
「ちょっ、そこは言わなくて良いの!」
「なるほど、だから装備品がレベル相当じゃ無かったのね」
「あぅ~もうバレバレです~」
「ファイト」
シトリンが胸の前で握り拳を作り鼓舞する。
「「もうダメ~~」」
声が重なった。
「疲れたょぉ~」
ぐったりしたサファイアが現れた。
「お疲れ様、どうだった?」
「見ての通りだよ」
パールの問い掛けにルビーが答える。
「進展無しですカ」
アメジストもやれやれと肩をすくめる。疲労困憊のサファイアは気を抜けば土左衛門になってしまうだろう。しかし集中出来る事があれば眠気は飛ぶもので…。
「むむむ…、これはすごいよ?」
サファイアが何かに反応した。
「よもやルビーちゃんを上回るなんて信じられない」
「おいサファイア、また失礼な事考えてるだろ?」
「そんな事無いよ? 純粋にソムリエとして見定めてるもん」
いつからソムリエになったんだ。そもそも何のソムリエか。
「ねぇねぇペリドットちゃん、おっぱい触らせて」
「いきなりド直球に聞いてんじゃねぇ!」
今日も無事にハリセンは発現しサファイアの後頭部を打ちすえた。
「ええ、構いませんよ」
「ほらみろ、ペリドットも迷惑して…る……?」
「いえ、だから私は構いませんと」
唖然とするルビーを尻目にサファイアは嬉々としてペリドットの胸を鷲掴みにした。
「ふわぁ~、ルビーちゃんよりもおっきいよ?」
ヒト族の子供くらいしかないサファイアの手のひらでは持ちきれずこぼれ落ちそうなたわわな果実はたゆんたゆんと跳ねる。
「あの、恥ずかしいのであまり揺らさないで下さい」
「それ私の」
「はわっ、ごめんね。手が幸せだったからつい」
シトリンが爆弾発言をした様に思えたが、サファイアはすぐに意味を理解して手を離した。
「ところでサファイアさんはまたもキューニィの免許を持ってないんですよね?」
「ほへっ?」
「あちゃ~、バレたか」
「ここ数日青いキューニィを追い掛け回しているリリパット族の女の子がいる噂話はけっこう広まっていますから」
「私ってそんなに有名人!?」
「ぼっけぇ」
「えっと、かなり有名だと思いますよ~」
シトリンの謎単語にペリドットがすかさず補足を入れる。もうバレてしまっているので隠す必要が無くなり、サファイアが免許を取得するまでペリドット達は金策をして装備を調える事になった。
「私だけ仲間外れなんてひどいよ~」
「サファイアがイザヨイ(仮)に執着するからだろ?」
「それはそうだけど……」
サファイアは不満を漏らしつつしっかりシトリンの胸も触っていた。
レンタルハウスの廊下でペリドット達と別れたサファイア達はパブへ向かいそのまま夕食を摂った。部屋へ戻るとサファイアは疲れが溜まっていたのかすぐに寝てしまった。
「サファイアさんとの経験値が開いてしまうのは良くないから簡単に出来る金策をしましょうか」
簡単=弱い(経験値の入らない)モンスターを狩る。パールが提案したのはジャイアントビーの仲間を呼ぶ習性を利用した金策だ。メインはローヤルゼリーだが蜂の巣からは蜂蜜が採れるし蜜蝋に加工も出来る。
「なるほど、合成スキルって事か」
「ええ、そうよ。合成スキルならレベルは関係無いし金策には持ってこいなの」
「時間があれば大量に作れるからウハウハですヨ」
「へぇ、さすが先輩冒険者だな。勉強になるよ」
パールとアメジストの知識量に感心しながらルビーはサファイアに毛布を掛ける。
「それじゃ私達もそろそろ寝ましょうか」
「ああ、そうだな」
「ランプ消すですヨ?」
アメジストが確認してランプの火を消した。部屋は闇に染まり少しの間をおいて全員の寝息が聞こえてきた。
ルビーが目を覚ました時にはすでにサファイアが準備体操をしていた。
軽く朝食を摂るとペリドット達と待ち合わせをしている街の入り口まで3人を見送りサファイアは1人キューニィ厩舎へやって来た。
「そろそろ本気出さないとみんなに迷惑かけちゃうよね」
今までのは本気じゃなかったのか?
「うん、超絶美少女のサファイアちゃんはいつも本気じゃ無いんだから」
常にいっぱいいっぱいだと思うんだがな。
「それは誤解だよ。今日、読者は奇跡を見るんだよ」
もう誰に向かって話しているのか突っ込むのが面倒になってきた。ともかくいつも以上にやる気満々だ。
「今日こそは私のキューニィになってもらうからねっ、イザヨイ!」
放牧地に現れるなり大声で叫ぶリリパット族の少女にキューニィ達は驚いて逃げ出した。ただ1羽を除いて。イザヨイ(仮)はその場でサファイアの出方を伺っている。
「ふっふん、覚悟完了したかな? 今日は美味しいエサだから逃げちゃダメだかんね?」
いつもの様に美味しいエサを持って距離を詰める。するとイザヨイ(仮)はじりっと後退する。幾度か繰り返され痺れを切らしたサファイアが先に動いた! 一直線にイザヨイ(仮)へ突進する。しかしイザヨイ(仮)は動かず目の前に来たサファイアを嘴でいなし軌道を逸らした。タタラを踏む様に急停止したサファイアは180度転換、再びイザヨイ(仮)へチャージする。すると今度は逃げ出すイザヨイ(仮)。いつもの鬼ごっこが始まった。
離れた場所からその様子を柵に腰掛け眺めているミオ。何か思う所があるのか、ふむ、と言った感じでサファイア達を眺めている。
「ミオさん、あれってもう…」
「ああ、そうだよ。でもま、もう1日様子を見ようじゃないか」
この日、結局サファイアはイザヨイ(仮)にエサを与える事は出来なかった。
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