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蒼と紅  作者: 久村悠輝
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第27話

 連日、厩舎を訪れる4人は職員にも覚えられ特に声を掛けられる事も無くイザヨイ(仮)のもとへ。


「今日こそはちゃんと食べて貰うからねっ、覚悟してよ!」


 セリフがエサを与えるそれじゃ無い。

 が、サファイアは気にする事無く苦いエサをイザヨイ(仮)に差し出す。一方のイザヨイ(仮)は昨日の一件以来、人への攻撃的な姿勢は無くなった。大人しくサファイアが差し出すエサを食べている。ミオはその様子を見てホッと胸を撫で下ろした。

 ルビー達もパートナーのキューニィとコミュニケーションをとってから予定通り冒険者ギルドに併設されているパブでブランチを摂る。


「イザヨイ(仮)もかなりサファイアさんに慣れてきたわね」

「うん、もう少しでイザヨイは私の魅力にメロメロなんだから」

「いや、単に餌付けされてるだけだからな?」

「けど思ったより早くなつきそうですヨ」

「そうね、昨日まではどうなるかと思ってたけれどサファイアさんの身を挺したエサやりが効いたのでしょうね」

「早くみんなみたいに仲良くなりたいよ~」


 ルビーはもうクレナイに乗って街の外を走れるが、サファイアに遠慮して待っているのだ。それぞれのキューニィに乗って遠くの狩場へ行くのももう目の前だ。

 お腹がこなれてきたので昼の混雑が始まる前にパブを出る。装備は既に整っているのでこのまま街を出て狩場へ向かう。街道から外れてすぐの場所に角ウサギが草を食んでいた。

 早速ルビーが小石を角ウサギへ投げ付けると、敵対行動を取られた角ウサギはこちらへ向かって来る。ルビーに到達する直前にパールが角ウサギを挑発し自分への敵対心(ヘイト)を稼ぐ。こうなると角ウサギはパールばかりを狙って攻撃するので他のメンバーは安心して攻撃に参加出来る訳だ。と、なると…。


「彼の炎は紅蓮のマグマより生まれし物、其の力を以て悪を滅ぼせ! 炎の矢!(ファイアーアロー)


 詠唱が必要な魔法も楽に撃てる訳で、角ウサギはあっという間に黒焦げだ。


「初級魔法なのに大層な詠唱だな」

「何事もハッタリが大事ですヨ」

「アメちゃんはマクロ遊びだ大好きだから…。いつも何かしらの言葉を入れたがるの」

「面白いって大事だよね?」

「その通りですヨ。それより早く次を釣って来るですヨ」


 アメジストに言われルビーは「へいへい」と言い残し角ウサギを探しに行った。そして順調に狩りは進み全員のLvが12になったので、装備を調える為に1度ヒルマウンテンへ戻る事にした。


「サファイアさんには私が着ていたローブを譲るとして…」

「スカウターは軽装だからノービスと変わらないですヨ」

「アタシは暫く自前ってか…。ま、安上がりなのは良い事だ」

「アメちゃんはどうするの?」

「ミーはローブと装飾品、それと武器を新調するですヨ」

「ほとんど変更するんだね~。って言うか全部?」

「魔法使いは知力(INT)が大事なのです。サファイアもヒーラーをするなら精神力(MND)が上がる装備を気に掛けておくですヨ。魔法の成功か失敗を分ける大事なパラメーターですのデ」

「そうね、サファイアさんもMNDが上がる装備を探してみましょうか」

「可愛い装備があると良いな~」


 雑談をしながらだと狩場から街まではあっという間に到着する。いつものように防具屋へ向かおうとするサファイアとルビー。それをパールは呼び止める。


「今日は競売所(オークションハウス)へ向かうわよ」

「オークション…」

「ハウス?」


 サファイアもルビーも口をぽかんと開けている。


「冒険者同士が直接売買出来る所ですヨ。お店では出回らないレアな装備やアイテムがたくさんあるですヨ」


 アメジストが補足をし一行は競売所へ。


「とりあえず入札の仕方を教えるわね」


 そういってパールは受付嬢にマナドリンクの履歴を見せて貰っている。


「ここ、最終落札が今朝で1個2,000ケロになってるけれど、今の在庫が23個ある。おそらくこれは余剰在庫が発生してるわ」

「えと、つまり…どういう事?」

「安く買えるチャンスって事よ。良い? 見てなさい」


 なんだかパールの目が生き生きしている。


「オークションは同じ商品でも1ケロでも安い方が先に売れるわ。だから在庫があるのに履歴通りの値段で出品していると…」

「あっ、売れるのが後回しになっちゃうじゃん」

「正解よ。だから履歴より安く出品する人が必ず居るわ。それを狙って……」


 パールは入札の紙を受付嬢から受けとるとマナドリンク:1000ケロと書き受付嬢へ渡す。受付嬢は入札額と出品額を見比べて……。


「残念ですが落札は叶いませんでした」


 と、告げてきた。


「これで落とせるとは思ってはいなかったわ。むしろこれからが本当のオークションなのだから!」


 ドン! とパールの背後に描き文字を背負うのが見える。


「次はこれよ!」


 マナドリンク:1,001ケロ


「たったの1ケロしか上げてないだろ!」

「大丈夫よ、黙って見てなさいな」


 たおやかな笑みでルビーをなだめるパール。そして受付嬢の反応は―


「おめでとうございます、落札されました。精算されますか?」

「いえ、同じ額でもう一度お願いします」


 この後、パールは数回同じ額でマナドリンクを落札した。

 ここで初めて登場しましたが、通貨の単位はケロです。


 今回も読んで下さってありがとうございます。コメントや評価を貰えるとモチベーションが向上する…かもしれないので気が向いたらお願いします。

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