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蒼と紅  作者: 久村悠輝
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言葉が閉じ込めて

 今回は簡単にギルドのレンタルルームについての説明となります。

「ひっろ~~いっ!」


 ギルド結成の翌日、冒険者ギルドの仮眠室を借りて一夜を明かした4人は早速ルイーダの案内でギルド専用のレンタルハウスへ来ていた。

 昨晩のどんちゃん騒ぎでルイーダはかなり飲んだはずなのにケロっとしている。鋼の肝臓かな? 酔わない世界という無粋なツッコミをしてはいけないよ?

 それにしても冒険者ギルドのマスターによる直々の対応にジュエルボックスへの期待の高さが伺える。期待値=オモシロ値の可能性も微レ存だが。


「ギルド専用のレンタルハウスは4人部屋、6人部屋、10人部屋がございます。ギルドが大きくなると複数の部屋を契約する事になりますが、そうなると殆んどの方々は商人ギルドを通じて戸建を借りるようになりますわ」

 

 4人用のレンタルハウスはと言うと12帖程の広さで正面に窓、左右の壁際に2段ベッドとクローゼットが設えてある。部屋の中央には丸テーブルと4脚の椅子が置かれている。


「鎧やローブはこちらのマネキンへお願い致します」


 ベッド脇にそれぞれ2つあるマネキンは淡く光っていて魔力が働いているのが見て取れる。おそらく種族毎にサイズの違う装備にフィットさせる為だろう。パールとアメジストは慣れた手つきでテキパキと装備を外してマネキンへ着せていく。あっという間にサファイアやルビーと同じアンダーウェア姿になった。


「ルイーダさん、このマネキンって普段着ない装備を着せてても良いの?」

「ええ、構いませんわ。人によっては結婚式で着たウェディングドレスを飾る方もいらっしゃいますし」

「結婚式!? すごい、そんな事も出来るんだ!」

「長く同じ時間を過ごすと愛情も芽生えますので、性別関係無くパートナーになられる方が多いですわ」

「ルビーちゃん、私たちも結婚しよ!」

「うわ、物欲丸出しのプロポーズだな」

「だってウェディングドレスだよ? 乙女の夢じゃない!」

「アタシは別に興味無いからそれに飾るなら剣や槍の方が良いな」

「えぇ…、ルビーちゃんてば脳筋だよね」

「余計なお世話だよ。切れ味の良いナイフの方が料理だって美味しく出来るんだぞ?」

「そう言えばこの部屋ってキッチン無いのかな?」

「キッチンは共有になっており、廊下の突き当たりにございます。本格的なオーブンやピザ窯もございますが、皆様食事は冒険者ギルドに併設されているパブへ行くばかりでこちらのキッチンはお茶やコーヒーを淹れるくらいで設備が遊んでしまってるのが悩みですわ」


 頬に手を添え、ほぅ…とため息を溢すルイーダ。アンニュイな雰囲気が良いね。美人は何をやっても絵になるよ。


「続いてお風呂ですが、キッチンとは反対方向の突き当たり、その左側にある階段を下りた先にございますわ。24時間年中無休で利用可能ですの。近くの温泉街と同じ湯元なので泉質は折り紙付きですわ」

「なぁルイーダさん、トイレ…はどこに?」

「あらルビーさん、貴女は美女がトイレで用を足すのを想像出来まして?」

「ああそうかい、何と無くそんな気はしてたけど、やっぱりこの世界はそう言うシステムなんだな」


 ルビーはやれやれと肩を竦める。施設の説明半分にさっきから約1名ソワソワしている。


「ね、ね、私、上のベッドが良い!」


 瞳をキラキラさせながら興奮気味にサファイアが言うが、


「その短い手足でどうやって梯子を上るんだ?」


 と、ルビーの冷静なツッコミ。


「世間一般にリリパット族とドワーフ族は下段と決まってるですヨ?」


 その一言にサファイアはギロンとアメジストを一睨みするとルビーに向かって。


「持ち上げて♪」


 両手を差し出し目一杯広げアピールしてきた。ニコッととても良い笑顔だ。とても母性を擽られる。思わずルビーもつられてニッコリ。両手でサファイアの脇を掴むと―


「っせぇい!」

「ぅにゃぁぁ~!」


 放り投げた! 天井ギリギリの放物線を描きサファイアは上段のベッドへストライク。


「危ないよルビーちゃん! もう少しで天井とディープキスするとこだったじゃん!」

「当たらない様に投げてやったんだから感謝してくれないとな」


 天井にディープキスとは…。どうすれば出来るのか教えて欲しい。


「まだ嫁入り前の清らかな体なんだよ? もっと丁寧に扱ってよ!」

「その幼児体型で嫁もへったくれもないだろ」

「こう見えてもリリパット族は成人してるんだよ? 赤ちゃんだって産めるんだからっ」


 そんなやり取りを静かに見守っていたルイーダがベッドの支柱へ手のひらを添えて魔力を込めると床に半透明の魔方陣が現れた。


「リリパット族やドワーフ族の皆様はこれで上り下りされますわ。説明は最後まで聞いて下さいね」

「「………」」


 押し黙るしかない2人。個人用のレンタルハウスでも同じ仕組みらしい。と言うより、ルイーダさんてばわざと黙って見てた? 意外と腹黒で意地悪なのかな。


「あら? わたくし、ブチ切れますわよ?」


 ひっ! ルイーダさんまで天の声に反応するの止めて貰えませんか?


「あの、ルイーダさんどうされました?」


 ほら、パールが心配してるじゃないですか。


「あらあら、こちらの事なのでお気になさらず…。そんな事より皆さん、今日街へ出られるのでしたらお風呂で汚れを落としてからの方が宜しいかと」

 来週は皆さんお待ちかねのお風呂回となります。


 今回も読んで下さってありがとうございます。コメントや評価を貰えるとモチベーションが向上する…かもしれないので気が向いたらお願いします。

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