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家族

先程までの宴会が嘘だったかのように、皆が黙っていた。


何故なら、皆の前に立ち零二が話しているからだ。



「総司令官から我が特務部隊に命令が下った!

どうやら、隣国であるスヴァルト王国が攻めてくるらし

い!

それも俺と同じナンバー2がな! だから、こっちも俺が

出る!


つまり、俺が率いる特務部隊であるお前達もだ!

謎に包まれているスヴァルト王国だから、少数精鋭で

臨むんだとよ!

まぁ、仮に相手が多くてもお前達ならなんとかなるって

俺は信じてる。

連戦連勝の常勝軍団である俺達ならまた勝てる!

さっさと倒して宴会するぞ!!!」



零二の言葉が終わり、特務部隊が一斉に声を張り上げる。



「「うおおおおぉぉぉッ!!!!!」」



城内中に響き渡るんじゃないかと思うほど大きな歓声。

零二が皆を信頼しているように、皆も零二の期待に応えるため

やる気十分であった。



「ガッハッハッ!!! 胸が踊る! 心が踊る!」


「また兄さんを敵に投げよっと」


「派手に爆発頼むぜ弟よ!」


「零二さんの背中は僕が守るんだ・・・・・・」



皆がそれぞれやる気になっている頃、副長である美沙が

一つ零二に訊ねる。




「そういえば、いつ戦いに行くんですか?」




その言葉に皆が耳を傾ける。

今か今かと戦闘狂達は戦争を楽しみにしていた。


なんなら今すぐ出陣したって構わない。

そう思うほどに。






「・・・・・・わからん!!!」






一斉にズッコケる特務部隊。


ならば、何故今激励したのか。

完全に戦争がすぐ始まるもんだと思っていた。


これには隊員達から罵詈雑言が飛び交う。


まさか、ここまで責められるとは零二も思っていなく

後ずさりしそうになるが、またしても段々と腹が立ってきた。


何故、自分が責められるのか?

何故、隊長である自分がここまで言われなければいけないのか?


皆が未だに罵声を飛ばす中、とうとう零二の堪忍袋の緒が切れた。




「う、うるせぇッ!!!!!

戦争があるのは事実なんだ!!!

いつ始まるかなんて向こう次第なんだから俺がわかるわけ

ねぇだろうがッ!!!

そんなに戦争がしたければ俺がやってやるよ

この戦闘狂共がッ!!!!!」




隊員達と殴り合いになる零二。

次々に隊員達は吹き飛んでいた。



最早収集がつかないほどに。



そんな中、冷静だった幹部達は呆れるようにその光景を

見守っている。



いや、阿門、吽門、岩丈だけは他の隊員と共に喧嘩している。




「はぁーーー、また始まったわね。

なんでいつもこうなるのかしら?」



響は呆れるようにそう嘆いた。



「ほんとよねぇ、でも、この関係をなんだかんだ零二隊長

も楽しんでると思うわよ?」



権蔵もとい、ハンナがそう話すと、周りも頷く。



「確かにそうですよね!

こんな光景、他の隊では絶対に見られないですよね!

本当に兄弟喧嘩みたいだもん」



未だに暴れまくる零二と隊員達を見つめながら美沙がそう呟いた。



零二が隊長だからこその、このアットホーム感。

上も下も関係ない。


美沙は改めてこの隊に入れてよかったと思うのであった。




「バコンッ!!!」




先程までの和気あいあいの喧嘩が一瞬にして静まり返る。


理由は一つ。



誰かが投げた椅子がたまたま九惨に直撃してしまったのだ。

零二はもちろん、隊員達も静まり返る。



(・・・・・・やばい、、、これはやばいぞ、、、)



皆が息を飲んで九惨の一挙手一投足に注目していた。



そんな九惨はというと、ゆっくりと立ち上がり振り返る。



顔は見えなくてもわかる。


あれは完全にキレていると。



「に、逃げろーーー!!!!!」



一人の隊員がそう叫ぶも時すでに遅し。


九惨はスキルである、鎖を出して次々にシバいていく。

先程までの怒声が、絶叫へと変わる。



「ぎゃああああ!!! 殺されるーーー!!!」



九惨から逃げ惑う零二含む隊員達。

そんな様子を見て更に呆れる幹部達。




「全くなにやってんのよ隊長達は・・・・・・」



「まずいだよー、、、九惨さんが怒ってるだよー、、、」



「誰か止めた方がいいんじゃないかしら? っていうか

楓が結界で止めなさいよ!」



「いやだよー!!! 矛先がこっちに向くだよー!!!」



響やハンナ、楓が九惨に困っていると、美沙が大丈夫だと言う。



三人とも何を言ってるんだ? と思い首を傾げていると、



「だって九惨が本気でやってたならとっくに死んでるよ?

皆生きてるでしょ? それに叫んではいるけど零二隊長や

皆も凄い楽しそう! 九惨も手加減してるんだよ」



言われてみればその通りだった。

隊員達も誰一人死んではいない。


あの九惨が本気を出したならば、絶対に死んでるはず。



「確かにそうね。 やっぱり美沙は副長ね。

誰よりも九惨の事や隊員の事がわかってるもの」



ハンナは美沙に感心した。

もちろんほかの幹部も。



強さだけじゃない。

美沙は副長として、誰よりも隊員達の事を理解しているのだ。



「そんな事ないよ! 私よりも隊長の方がずっとみんなの事

考えてる」



美沙の言葉で更に皆が首を傾げた。



「隊長が?! ないない! だってあの隊長よ?」



響が美沙の言葉を否定する。

皆も同感の様子。



だが、美沙はそれでも隊長だと言う。

何故ならば、




「だって九惨に椅子を当てたの隊長だもん!

隊長はわざと当てたんだよ。

いつも端っこで一人いる九惨にわざと当てて

皆とも交流させたかったんじゃない?

やり方はアレだけど、おかげでこうして九惨も

皆と関わってるわけだし、現に九惨も手加減して

喧嘩してるからね!」



美沙の言葉に幹部達が驚く。



今も目の前で笑いながら九惨から逃げる零二。

あのお巫山戯男が、そこまで考えているとは、予想外である。


が、これには響も納得した。



「確かにそうかもね! ここにいる私達だって、この隊に入る

前から隊長に助けられてたもんね!

やっぱあんな調子でも隊長は隊長なのよね」



響の言葉に皆が頷く。



九惨以外は、皆零二が関わってこの隊に入っている。

もし、零二に声を掛けられなければ皆この隊には

入っていないだろう。



やっぱりこの特務部隊の中心は、零二なんだと皆が改めて

理解するのであった。



そして、この騒動が治まるのはもう暫くかかりそうであった。

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