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零二の正体

今日も零二はいつも通り八百屋で働いている。



あの事件の日以来、一ヶ月が経とうとしているが今のところ

何事もなく平穏な日々が続いている。


それに、毎日雪乃も八百屋へと買い出しに来てくれた。



一ヶ月も経つと互いに緊張も解け、今では良き友人として

楽しく会話も弾んでいる。



そうして、今日もいつも通り零二は雪乃を家まで送り届けるために一緒に帰る。



おばちゃんも零二の為に、毎日少し早めに帰してあげてるのだ。

これには、零二もおばちゃんに頭が上がらない。





二人がいつも通り楽しく会話をしながら帰ると、突如零二が吹き飛んだ。



本当にいきなりだ。



あまりに突然の事で雪乃も何が何だかわからないといった様子。





「えっ???」





「どごおおおんッ!!!」




零二が壁に激突する。

それももの凄い勢いで。



後方から思い切り殴られたのだ。

あの男に。



雪乃が振り返るとそこにはナンバー120の男が。

一ヶ月前に絡んできた奴だ。



雪乃は急いで零二の元へ駆けつけようとするが

120の男がその手を掴む。



「きゃッ!!! は、離してください!!!

零二さんが、、、零二さんが死んじゃうッ!!!」



涙を流しながらなんとか、零二の元へ行こうとするも

とてもじゃないが、腕力二倍の男の手を振りほどく事は

叶わない。



「ガッハッハッ!!! 俺があんな目にあったのも全部

テメェらのせいだッ!!! まずはあの男を殺した。

次はテメェを可愛がってやるよ」



ナンバー120の男は不敵な笑みを浮かべながらいやらしい

目つきで雪乃を舐めるように見る。




先程、殴られ吹き飛ばされた零二の方を見ると

壁に埋まりぐったりしている零二の姿が見えた。




「いや、、、いやああぁぁぁッ!!!!!

零二さああぁぁんッ!!!!!」




泣き叫ぶ雪乃。




「へっへっへっ、アイツはもう死んでるっての!

220000の男が死のうがこの国はなんの痛手もねぇしな!

それよりも、一回黙らせないとわからねぇみてぇだな?」




そう言って120の男が雪乃に拳を振りあげようとしたその時!





「グヘッ!!!!!」




雪乃はほんの一瞬目を閉じただけ。

それなのに、今度は120の男が吹き飛んでいた。


それも目の前を一瞬雷の閃光が走ったかのように。



そして、眩しい光が消えた時、雪乃の目の前に立っていたのは・・・




「レ、、、零二、、、さん・・・・・?」




遥か数十メートル吹き飛ばされ、死んだと思われていた

零二が確かに目の前に立っていた。





「テメェら許さねぇ、、、あろう事か雪乃ちゃんに手ェ出そうと

したな?骨まで残らないと思えよテメェら、、、ぶっ殺す」




雪乃は恐怖した。

120の男にでは無い。


零二にだ。


いつもの優しい面影が何も無かった。


目の前に居るのはまさに、恐怖の象徴そのものだ。



それに、先程の雷も恐らく零二のものだと思われた。

彼の身体の周りを電気が走っている。




何故、220000の男が120の男を吹き飛ばせたのか。

そして、何故零二は無事だったのか。


その答えはすぐにわかった。



零二の右手の数字が変わっていたから。


恐らくシールのようなものだろう。

雷で燃え、220000のうち20000の数字が消えていたのだ。



つまり零二の右手に残った数字は『2』。



ガルズ王国ナンバー2。

二番目に強い人間だったのだ。



どうして、弱い振りをしていたのかは分からない。


だが、彼は強かった。

いや、強かったの騒ぎでは無い。


間違いなく最強だ。



ナンバー120の後ろに控えていた男二人も恐怖で立てなくなっていた。


それはそうだ。

最強の一角を怒らせたのだから。


最早生きた心地もしない。

生を諦めていた。



しかし、零二はそれでも尚、殺気を沈める気はない。



そして、雪乃も止めることは出来なかった。

恐怖のあまり声が出ないのだ。



そして、零二が二人の連れに手を振りあげようとしたその時、





「お待ちください零二様。 殺すのは些かやりすぎです。

総司令官がお待ちしておりますのでご同行願います」




零二の後方より突如現れるフードを被った一人の人間。

その者によって零二はようやく冷静となり、その拳を静かに下ろした。



「ちっ、、、たった一年で終わりか。

やっと運命の人にも出会えたのによ」



「・・・・・・」



フードを被ったものは何も言わずに黙って膝を着き頭を伏せている。


やはり、これは夢では無い。

零二はナンバー2なのだと改めて雪乃は理解した。


だが何故自分を偽っていたのか。

雪乃にはそう思う程の余裕はなかった。



そして、零二が冷静になったと同時に絡んできたヤツらはしっぽを巻いて逃げて行く。


今逃げないと殺されるから。



だが、最早そいつらは眼中にないようで振り返り雪乃を

見詰める。


その顔はなんとも切なく、寂しそうな表情で。




「ごめんね雪乃ちゃん。 俺はもう行かないと・・・・・・。

本当はゆっくり説明したいんだけどね。

でも、必ずまた会いに来るから。絶対に・・・・・・行くぞ」



「はっ!」




そう言うと零二とフードの者は消えるようにその場を離れた。





一人残された雪乃はただただ固まったまま。



「・・・・・・零二さん、、、」



会いたいけど、目が見れない。

話したいけど、口が開かない。



今はただただ、助けてくれたことに感謝するばかり。







場面変わり、零二とフード。



「もう、零二隊長! 騒ぎを起こしたらこの『休暇』も終わり

って言われたじゃないですか!」



「わかってる。 それにしたって来るの早くないか?!」




「実はちょうど総司令官から呼び戻してくれって言われたんです」



「なら、どっちにしろって事かよ。 まぁいい。 総司令官の元 へ急ぐぞ」



「はいっ!!!」



こうして零二とフードは王都の城へと戻るのであった。

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