進軍開始
いよいよ、スヴァルト王国軍がガルズ王国内へと
侵攻を開始したとの事。
まだ、人的被害は出ていないものあと三の距離で
村へと辿り着く。
その村には約五百人近くの人口が住んでいる。
一番最東端の村であり、隣国であるスヴァルト王国と三日と
少しの距離にある。
老人や女子供が多く、情報によると一番高いナンバーで
100000万台とのこと。
対してスヴァルト王国は100名で侵攻しており、
恐らく全員がナンバー1000以内だろう。
つまり、1000位の相手一人に皆が虐殺されるだろう。
手遅れになる前に零二は副長である美沙を従えそして
特務部隊の総勢50名を従え国を出た。
「隊長、間に合いますか?」
城を出たばかりのところで美沙が訊ねる。
ここ王都から村までは五日の距離。
これは歩いてしっかり休息をとっての時間だ。
とはいえ、急いだとしても二日分も巻けるかどうか。
「普通に行けば間に合わねぇな。 走ればキリギリって所。
だから、全員で馬で行くぞ」
そう言うて目の前に馬商人が引いた馬五十頭が現れた。
各隊に、持ち馬はいるが特務部隊にはない。
馬上の戦いを得意としないためだ。
とはいえ、皆も何度か馬上訓練は受けている。
そこで、王都から村までの往復に朔夜の近衛隊から馬を
五十頭借りたのだ。
「これで二日後には到着できんだろ」
零二は馬を撫でながらそう話す。
特務部隊も走るのを覚悟していたようで皆が歓喜していた。
もちろん、幹部達も。
「さすが隊長ね♡ でも、早めに言ってくれればいいじゃな い?」
ハンナが何故もっと早く言ってくれなかったのか不満を漏らすと、零二は不敵な笑みで答える。
「この前の宴会で俺様に刃向かった罰だ!
ギリギリまで恐怖の走りを想像してもらってな!
ハッハッハッ!!!」
零二が声高らかに笑っている。
とても満足した様子で。
そんな零二を皆は呆れた様子で見ていた。
なんと肝の小さい隊長なんだと。
そんなこんなで、皆で馬に乗るとすぐ様村へと進軍を
開始した。
二日では着くが、もし相手が予想の遥上の速度で侵攻していたら間に合わない。
つまり、ゆっくりしている時間は無いのだ。
皆で談笑しながは馬を走らせる。
他の隊では戦への緊張、はたまた戦に集中する為に
皆が静かに進行する。
だが、特務部隊は違った。
まるでピクニックでも行くかのように皆が陽気に話し合う。
ここにいるのは少数ではあるものの、皆が精鋭であり
自分達の力に自信を持っていた。
もちろん最初から怖くない訳では無い。
だが、零二が最初のその張り詰めた空気を変えたのだ。
初めての作戦で特務部隊が出撃した時、他と同様に
皆が恐怖や緊張に包まれていた。
顔が引き攣っている者や、足を震わす者。
戦争に行くのだから当たり前である。
だが、零二は違った。
皆の力を信じ、皆で帰ろうと話してくれた。
それに戦争に行くというのに、砕けた態度で皆に接して
皆の緊張を取り払ったのだ。
それから戦争の時は毎回同じ事をして、いつしか
この感じが特務部隊の当たり前の景色となった。
現に最早特務部隊で緊張している者は、誰一人居なかった。
一日目を順調に進み、二日目の昼の頃。
目の前に村が見えた。
どうやらコチラの方が早く着いたようで村も無事だ。
零二は馬から降りると、美沙を伴い村長へと挨拶に行く。
真ん中に少し大きな木の家に村長他老人衆が集っていた。
「本日は遠いところわざわざありがとうございます。
ワシがこの村の村長を務める、『伊右衛門』と申します」
そう言って村長が代表して頭を下げると他の老人方も頭を下げる。
「俺はこの隊を率いる隊長であり、ナンバー2の零二。
こっちは副長の美沙だ。 よろしくな村長」
村長やその他の者たちははわざわざこの村なんかにナンバー2ほどのお偉いさんが来たことに驚く。
だが、そこは美沙がうまくまとめ、とりあえず村長に今日の滞在許可は得た。
「よしっ! 今日はこの村で待機する。 恐らく明日の昼には
敵もこの近くまで来るだろう。 ここを戦場にする訳にも
行かねぇから朝出立するぞ!」
皆がそれぞれに返事をする。
そう、バラバラに。
悪く言えば統率力がなくバラバラであるが、
良く言えば皆に個性がある。
つまり零二は何も気にしない。
明日の朝に出発という事で今夜はこの村で皆と食事を摂る。
そんなに豪勢な食材は持ってきていないが、それでも
この村人達からすれば豪華な食材が目の前に広がっていた。
それを料理するのは特務部隊一料理が上手い、ハンナと
その補助に響と美沙だ。
つまり女性達が料理を振る舞う。
楓はドジっ子であり、料理をさせる訳には行かないため
村の子供達と仲良く遊んでいる。
残る男達も昼のうちに、近辺で動物を狩り肉をゲットしていた。
料理が出来上がるやいなや、村人達はこぞって料理のおかわりを
申し出た。
それほどに、ハンナの料理や王都の食材が美味かったらしい。
こうして決戦前の宴会も終え明日へ備えるのであった。
翌日の早朝、零二率いる特務部隊達は馬をこの村に置き
スヴァルト王国目指して進軍する。
スキルがある限り、馬上戦は無意味。
下手に馬を殺すようなものだから。
こうして数時間歩くと先頭にいる零二の目に捉える。
「いやがったなスヴァルト王国軍」
目の前に現れた百名のスヴァルト王国軍。
今まさに戦争の火蓋が切って落とされようてしていたのであった。
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