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王への謁見

『スヴァルト王国軍出陣』



その報せはすぐ様朔夜と零二の元へ届けられた。



朔夜も零二も司令室におり、国王へ報告する為に

王の間へと赴き国王に謁見する。



王の間への扉には、朔夜が配置した近衛兵達が配備されている。



ことの大事さは既に周知されている為、朔夜と零二は

すんなりと扉を開けてもらえた。



王の間には、玉座に座る国王とその横に立つ宰相、そして重鎮達が左右に並んでいた。



初めての頃よりはだいぶ慣れたが、未だにこの張り詰めた

空間は苦手である。



零二は朔夜の少し後ろを歩き、国王の前に立つとその場に

膝を着き、両手を合わせ頭を下げる。



ガルズ国王は、平穏主義であり、民に好かれ皆から好かれている。


まさに善王たる王だろう。

だが、威厳がないかと言われればそうではない。


優しいながらも、国王としての厳格さも兼ね備えている。




「国王陛下、事は至急を要する為、いきなりの発言を

お許しください」



本来なら正式な決まり文句があるのだが、朔夜は

それを省くと伝えたのだ。


いつもなら不敬罪に当たるところだが、、、



「うむ。 構わぬ。 気にせず話すがいい」



国王はそういったものを気にする王では無い。

何よりも朔夜への絶対的な信頼がある為、朔夜が

そう言うのなら、それが正しいと思っている。



「有難く! 先程、偵察隊より報告がありスヴァルト王国が

我等がガルズ王国へと進軍を始めました」



朔夜の言葉に国王と零二以外の皆が驚く。


前々から攻めてくる予兆はあったが、確実ではなかった。



だが、実際に彼等はガルズ王国へと歩を進めた。

つまり、戦は避けられない。



皆がザワつく中、国王が右手を上げ制止する。



「鎮まれ。 スヴァルト王国が攻めてくる予兆は前からあっ た。 その為に朔夜や他の者たちは準備をしていたのだ。 今更騒ぎ立てる必要はあるまい」



零二は感心する。

どの重鎮達よりも国王は肝っ玉が座っている。



それに国王の言う通り、準備は既に終わっている。

後は奴らを追い返すために出陣する許可をもらうだけ。



「ガルズ王国ナンバー2 零二よ」



突如国王から名前を呼ばれる。



「はっ!!!」



が、零二も分かっていたようで、少しの間も空けないまま返事を返す。



「そなたとその軍に命令する。

敵、スヴァルト王国を撃退し、我が国を守るのだ!」



今の国王に優男の表情はない。

厳格であり、国を守る為零二に勅命を下す。



ここでようやく零二も口を開く。



「はっ!!! 必ずやご期待に応えましょう!」



普段は適当人間な零二も国王への謁見では、流れるような

礼儀作法で終える。



もちろん、最初はジタジタだったが、数をこなす内に

ようやく様になってきたのだ。



ここで謁見は終わりに思えたが、国王が再び口を開いた。

本来なら有り得ない展開である。





「すまんが宰相と朔夜、そして零二以外は外してくれ」




つまり、重鎮達のみ退出してもらうということ。

重鎮達はもちろん零二や朔夜もその意図が読めなかった。




皆が退出し、広い王の間には国王と宰相、朔夜に零二のみとなった。



人払いをしてまで話すことがある。

一体何事だろうかと朔夜と零二は身構えた。



そして、国王の口から第一声が。




「ふぉっふぉっふぉっ、、、そう身構えんでも良い。

たまにはお主達と砕けた会話をしたくてな」



零二は驚く。

確かにガルズ国王は温厚として知られている。


とはいえ、こんな展開は初めてだ。

どう構えればいいのか分からない。



そこで、朔夜を見るも、彼女は先程までとは違い、少し楽な体勢をとっていた。


どうやら、朔夜は何度かこの体験をしている様子。



零二も少し身体を楽にする。



「朔夜よ、お主にはかなりの多忙を敷いておる。

だが、お主は嫌な顔せずこの国の為、尽くしておる。

国王として、皆を代表して礼を言う」



そう言うと、国王は簡単に頭を下げたのだ。


こんなこと絶対に有り得ない。


国王が一臣下に頭を下げるなど聞いたことがない。

これには、零二も思わず表情に出てしまった。



「国王陛下、前回も言ったはずです。

国王陛下がそんな簡単に頭を下げないでください」



朔夜の口振りから何度かあったのが読み取れる。

だが、こんな国王だからこそ皆から好かれているのだ。



そんなことを零二が思っていると、国王の口から今度は

零二の名前が上がる。



「そして、零二よ。 そなたとこうして話すのは初めてじゃな。

普段からワシは口を出すばかり。 いつも死地に行くのは

お主らだけ。 お前達には本当に苦労をかけておる。

そして、今回も・・・・・・。戦争に行かせる者が言うセリフでは

ないが、そなた達の無事を願っておる。


そして、最後に一つ。

国を守るのはもちろんじゃが、その前にお前達自身の命を

一番に考えてくれ。 これは命令じゃ。

お前の判断で勝てないと見るなら直ぐに逃げよ。

少しでも死者を減らすのじゃ、よいな?」




国王の言葉に感銘を受ける。

そして、何故だか高揚していた。


この人の為なら死んでもいい。

初めてそう思えた。


零二は力強く返事をする。



「はっ!!! ですが、必ずや我等が手でガルズ王国に勝利を!」



普段とは全く違う態度で接する零二に朔夜も微笑む。


朔夜はもちろん、零二も心から国王を敬愛したのだった。



「うむ。 では頼んだぞ、朔夜、零二。

また生きて会える事を願う」




国王がそう話すと、零二と朔夜は再び膝をつけ



「「はっ!!!」」



そう返事をし、国の勝利を、国王への勝利を誓い

その場を後にするのであった。

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