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人探しの調査で異世界に行きました  作者: 光晴さん


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第70話 親子の能力



壁や床などが煉瓦でつくられている通路を通り、進んで行くと、壁があって行き止まりになっている。

そして、その壁の一部に扉が設置してあり、まるで関係者以外立ち入り禁止のような感じだ。


「何だか、関係者以外立ち入り禁止って書かれていそうな感じ……」

「確かに、どこか人工的だな」

「ねぇねぇ、開かないかな?」

「どうだろう……」


そう言って、紗香がノブを回すと、ガチャッと音がして開いた。


「開いたよ……」

「何があるんだろう……」


今度は、ゆっくりと扉を開けて中を覗き込む。

さくらと紗香に、怖いものはないのだろうか?


覗き込んでも、何があるのか分からなかったのだろう、さくらは中へ足を踏み入れた。

そして、キョロキョロと見渡すがよく分からない。


「ね、ね、真っ暗で何があるのか分からない……」

「壁にスイッチみたいなもの、ない?」

「ちょっと待って……」


おいおい、ここはダンジョンの中だぞ?

壁にスイッチって、部屋じゃないんだからそんなもの……。


そう思っていると、パッと全体が明るくなった。

スイッチ、あったようだ……。


「壁にスイッチあった!」

「ということは、ここは誰かが作ったってことね。

ダンジョンマスターか何かかな?」

「とは限らないんじゃない?

中に入って、調べてみましょう」


明るくなった部屋に入ってみると、そこは大きな倉庫みたいになっていた。

高い天井にまで届く棚が、数多く並べられていて段ボール箱が棚に置かれている。

整理整頓はできているようだ。


俺たち全員が、倉庫に入ると奥から声が聞こえてきた。


「誰?! 誰かいるの?!」


そして、奥から一人の女性が姿を現した。

どこからどう見ても、日本人だということが分かった。


「誰? ここは関係者以外立ち入り禁止にしていたはずなんだけど?」

「えっと、勝手に入ってきてしまいすみません。

ですが、看板も何もなかったので、ダンジョンの一部かと思いまして……」


ここは年長者がと、俺が前に出て対応することに。

これでも、一応社会人だからね。


「それで、ここまで入ってきてしまったというわけ?

あなた、名前は?」

「森島裕太と申します。

後ろは、俺の仲間です。

えっと、あなたのお名前は……」

「私は、近藤芳美よ。

ここは、私の能力で造った横道と倉庫になるわ」

「へぇ~、そんなスキルがあるんですね~」


すると、近藤さんの後ろから、小さな女の子が走って来た。


「ママ~」

「千佳、こっちに来ちゃだめって言ったでしょう~」

「だって……」


近藤さんは、女の子を抱き上げると注意していた。

すると、女の子は少し落ち込んでいる。


そんな様子を見ていると、少しほっこりとしてしまった。

みんなも同じで、それぞれの武器を仕舞って戦闘態勢を解除した。


「あの、近藤さんも日本人、ですよね?」

「ええ、そうよ。

……もしかして、あなたたちも日本人なの?」

「はい、後ろにいるメイドさん以外は、全員日本人です。

このダンジョンには、レベル上げのために来たんですが、もしかして、このダンジョンも近藤さんが?」

「いいえ、このダンジョンは、私が作ったものじゃないわ。

私は、横道と倉庫に、奥の生活スペースを作っただけよ」


とりあえず、みんな日本人ということで、少しだけ安心したのでいろいろと話を聞くことができた。


近藤さん親子は、夫のDVから逃げるためにこの異世界に来たそうだ。

神隠し事件の話を聞き、夫から逃げられるならと娘と一緒に掲示板を見てこの世界に来ていた。


そして、神殿内の貼り紙を見て町へ行こうとしたところ、娘の気配察知能力で盗賊たちを発見。

町への道を塞がれ、このダンジョンに逃げたらしい。


一階層を気配察知で戦いを避けながら何とか抜けて、二階層に来たものの、戦いを回避することができずに壁に横道を作って避難した。

その後、倉庫を作り部屋を作ってここを拠点に、新しい日本人が来るまで隠れていたのだとか。


「新しく来る日本人って、一体、何日待っていたんですか?」

「今日で、おそらく十日だと思うわ。

私のスキルだっけ? そのスキル緊急避難で出した食糧で、十日分の食糧を出したし……」

「なるほど、面白いスキルですね……」


俺の言葉に、近藤さんが驚いたような表情をする。

そして、俺に笑顔で言ってきた。


「あなたのスキルも大概よ?

こんな扉を召喚できるなんて、ある意味すごいわね」

「そうですか?」

「ええ、すごいわね」


俺たちは今、洋食屋フレンドの店内で食事をしている。


近藤さん親子が、この異世界に来た理由を聞いていると、千佳ちゃんが、お腹が空いたといってきたので、それならいつもと違う物を食べようと言って俺の新たに召喚できるようになった扉、洋食屋フレンドの扉を召喚したのだ。


そして、みんなも一緒に食べたいと食事をすることになった。


「千佳ちゃん、美味しい?」

「うん、オムライス美味しい!」

「私も、ハンバーグ美味しい!」

「何の、私のスパゲッティの方が美味しい!」


みんな笑顔で、それぞれ食べている。

そこへ、店長のフレッドが厨房から出てきた。


「主~、挨拶も無しにいきなり客連れてくるなんて、酷いよ~」

「ごめん、フレッド。

もしかして、ここでも人手不足なのか?」

「大半の扉は、人手不足だよ。

ここももちろん、人手不足。

だから、お願いしますね」

「分かったよ。今度、連れてくるから」

「お願いしま~す」


フレッドは、結構軽い感じの店長だが料理はうまい。

契約したときに、必要なスキルが付与されるらしいが、こんなに料理が上手くなるんだな……。







読んでくれてありがとう。

これからも頑張ります。

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