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人探しの調査で異世界に行きました  作者: 光晴さん


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第59話 奴隷購入 再び



それぞれの職種に合う防具を選ぶと、俺が支払いを済ませる。


「すみません、ユウタさん。

俺たちの防具まで購入してもらって……」

「ああ、気にするな。

仲間が死なないように努めるのは、年長者の務めだ」

「ありがとうございます」


直人と優香は、俺にお礼を言ってきた。

仲間になったとはいえ、まだ一緒に戦っていないんだ。

それなのに、武器に続いて防具まで購入してもらうと心苦しいのかもしれない。


だがこれは、俺にとってはいわば投資だ。

この先、強くなっていけばしっかりした戦力になるからな……。



防具屋を出た俺たちは、ワーブラント奴隷商を訪れる。

また、奴隷を購入するためだ。


店の中へ入ると、ワーブラントさんが迎えてくれた。


「いらっしゃいませ、お客様。

再びのご来店、誠にありがとうございます」

「奴隷を購入しに来たんだが、見せてもらえるかな?」

「はい、もちろんでございます。

今日は、どのような奴隷をお探しで?」


するとそこへ、直人と優香が俺を腕を掴んで後ろに引いた。

何やら、話があるみたいだ。


「すみません、ワーブラントさん。

ちょっと、待ってもらえますか?」

「はい、わかりました」


そう言って、俺たちはロビーの端に移動して話し合う。


「ちょっとユウタさん、奴隷購入って何のためにですか?」

「人手がほしいからだよ。

これは、俺のユニークスキルに関係しているんだ」

「それにしても、奴隷なんて何を考えているんですか?」

「何を考えているかって、優香こそ何を考えているんだ?」

「わ、私は……」


俺は、さっきからニヤニヤしているさくらと紗香に二人を任せて、ワーブラントさんに奴隷を見せてもらうようにお願いをした。


「では、こちらへどうぞ。

昨日購入された後、新しい奴隷が入ってきたんですよ」

「へぇ~、どんな奴隷なんです?」

「何でも、冒険者として依頼を何度も失敗し、多額の違約金が払えず奴隷になった人なんです。

どうです? 戦力として購入されてみては」

「一応拝見させてください。

購入するかどうかは、それから判断します」

「分かりました。ではこちらへ」


そう言って、俺をガラス張りの通路に案内してくれる。

そこから中の部屋を覗くと、二人の女性が力なく椅子に座っていた。


「彼女たちが?」

「はい、名前はナツキとヒヨリといいます。

二人とも、まだ若いですからね。

どうですか?」

「ふむ、二人でいくらだ?」

「この二人は、借金奴隷ですからね。

二人の借金の金貨百枚と、売値の金貨三十枚を支払ってもらえれば大丈夫です。

いかがですか?」


ということは、合わせて金貨百六十枚ってことか。

しかし、借金の金貨百枚って違約金だったってことだろう?

どんな依頼を、受けたんだろうな……。


「ああ、購入するよ」

「ありがとうございます。

では、他にも見ていきますか?」

「ああ、あの二人以外も見せてくれ。

じっくり見て、選びたいんだ」

「分かりました。では、こちらへどうぞ」


ワーブラントさんは、俺をいろんな奴隷のいる部屋へと案内してくれた。

貴族の奴隷や普通の奴隷、さらに家族で奴隷になっている人たちもいたな。

子連れの奴隷や、お年寄りの奴隷もいる。


犯罪奴隷に廃棄する予定の奴隷も見せてもらった。

腕がない足がないや、病気になったとかいう理由で廃棄する予定なのだとか。


いやいや、そういう奴隷を見たら、ほっておくことなんてできないじゃないか。

とにかく、女性奴隷を六人と廃棄予定の奴隷三人を購入。

全部で、金貨二百八十三枚となった。


女性奴隷は、金貨二十枚で廃棄予定の奴隷は、一人金貨一枚でいいとのこと。

そう説明を受けて、契約の部屋に連れてこられた。


そこでしばらく待っていると、まずナツキとヒヨリの二人が連れてこられた。

二人を連れてきた女性は、俺に一礼して部屋を出ていく。


ナツキとヒヨリは、俺を怪訝そうに見てくると何かしゃべろうとするが声が出ない。

さらに口を開けて、喋ろうとしているが声が出ていない。

たぶん、この部屋にそんな仕組みがあるのかもしれないな。


声を出すことをあきらめたのか、今度はそっぽを向く。

そこへ、女性奴隷六人と廃棄予定の女性奴隷三人が入ってきた。

さらに、ワーブラントさんが入ってきた。


「お待たせしました。

それでは、奴隷の購入代金をお支払いください」

「えっと、金貨二百八十三枚でしたね」

「はい、内訳は教えた通りでございます」


俺は、アイテムボックスからお金を取り出すと、女性の持つトレイの上に置く。

ワーブラントさんは、トレイの上のお金を数え始めた。


「え~と、……はい、ちょうどございます。

では、奴隷契約を済ませましょう」


そう言って、杖を構えて呪文を唱える。

すると、俺たちの足元に魔法陣が表れ、俺の左手の甲と奴隷たちの右手の甲が光った。

そして、何かの印が浮かび上がる。


「はい、これで奴隷契約が結ばれました。

お客様、ご購入ありがとうございました」


そう言って、俺たちを入り口のロビーへ案内してくれた。

そこで、話をしていたさくらたちと合流すると、すぐに俺の後ろにいる奴隷に気がつく。

そして、声を掛けるのだ。


「菜月! ひより!」

「え、嘘、優香?

それに、さくらに紗香……。林君までいる……」

「生きてたんだ……」


優香と菜月、ひよりは、抱き合い、泣きながら再会を喜んだ。

さくらと紗香も、遅れて抱き着き喜んでいる。

そして、直人が俺の側に来た。


「ユウタさん、これって……」

「昨日、借金を背負って奴隷落ちしたそうだ。

そして、購入してきた」

「……ありがとうございます」

「まあ、日本人みたいだったから、もしやと思ってね。

誰かに買われる前で良かったよ……」


そう言うと、俺と直人は、喜び合う五人の女子高生を眺めていた……。








読んでくれてありがとう。

これからも頑張ります。

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