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人探しの調査で異世界に行きました  作者: 光晴さん


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第50話 奴隷購入 後編



ワーブラントが案内してくれた場所は、地下の牢屋のような場所だった。


「ワーブラントさん、ここって……」

「犯罪奴隷は、こういう頑丈な檻の中に入れるように指示があるんです。

奴隷たちの中には、隷属魔法で縛っても反抗的な態度に出る者も多いですので」

「なるほど……」


牢屋の前を通るだけで、こちらを睨みつける者たちの多いこと多いこと。

その眼には、復讐の炎が灯っているようだ……。


そして、ある程度進んだ先の牢屋に、その二人はいた。

見た感じ、どっちも女子高生みたいだ。

服はどこかの女子高の制服のままなのだが、かなりボロボロになっている。


「この二人です。

どちらも女ですが、気をつけてください」

「分かりました。

少し、話をさせてもらってもいいですか?」

「分かりました」


そう言って、ワーブラントさんが少し離れる。

それを確認して、俺は牢の中の二人に話しかけた。


「初めまして、お二人とも日本人ですよね?」

「!! そ、そうです! 私たち、日本人です!」

「助けてくれるの?! お願い! 何でもするから、ここから出して!」

「お、落ち着いて」

「ねぇ! お願い! 助けてぇ……」

「お願いします! お願いします、お願いします……」

「分かった、ちゃんと助けるから。

だから、落ち着いて」


そう言うと、少しだけ大人しくなる二人。

これで、話を聞いてもらえそうかな?


「二人の名前を教えてくれるか?」

「わ、私は、大塚さくらです」

「鈴木紗香。

お願いだから、本当に助けてよ?」

「大丈夫だから。

ワーブラントさん、この二人買います。お幾らですか?」

「この二人は犯罪奴隷なので、一人金貨十枚が相場です。

後、刑罰期間の生存保証がいりますが、養えますか?」

「それは大丈夫です」

「では、上で手続きをしましょう。

この二人は後程、ここから出してお渡しいたします」

「分かりました。

それじゃあ二人とも、またあとで」

「は、はい!」

「あ、ありがとうございます!」


自分たちが、助けると分かってうれしそうに感謝してくる。

まあ、聞きたいこととかは後で聞くとして、まずはここから出してやらないとね。


それにしても、もしかしてと思い、確認してもらってよかったよ。

日本人で異世界に来ている中に、奴隷落ちした人がいるかもと思ったけど、本当にいるとはね……。


「あ、ワーブラントさん、さっきの平民のいた部屋で購入したい女性がいたので戻ってもらえますか?」

「分かりました。

購入を考えていたと、仰っていた部屋ですね」


ワーブラントさんは、先ほどの平民の女性がいる部屋に再び案内してくれた。

ガラス張りの部屋の中を覗き込むと、女性たちの顔が強張っている。


「それで、どの子を購入されますか?」

「左端から二番目と三番目、それと六番目の子を購入します。

手続きをお願いします」

「フム、シェーラとトト、リムですね。

あ~、シェーラには、妹が二人います。その二人も一緒にと、お願いされているのですがいかがでしょう?」

「では、その二人も一緒にお願いします」

「分かりました。

では、契約室へ参りましょう」


こうして購入する奴隷を決めて、俺は契約部屋と呼ばれる場所へ案内された。


その部屋は、応接室のようにソファと机があるだけで、部屋の大部分は何もない場所になっていた。


「では、こちらのソファにお掛けになってお待ちください。

準備をしてきますので」

「分かりました」


俺がソファに腰かけるのを見てから、ワーブラントさんは部屋を出ていった。

しかし、俺が奴隷を購入するようになるなんてな……。


自分の行動に、少し驚生きながらも今後のことを考えていると、ドアがノックされた。


――――コン、コン。


「はい、どうぞ」

『失礼します』


ドアの向こうから声が聞こえると、ドアを開けて女性が入ってくる。

そして、俺に一礼すると部屋の中へ入ってきた。


その女性の後ろには、さっきの女子高生二人と同じくらいの年齢の女性三人に、女の子が二人ついてきた。

そして、そのまま七人は俺の方を向いて横に並べさせられる。


さらに、ワーブラントさんが入ってきた。


「どうもどうも、お待たせしました」

「ワーブラントさん、その杖は?」

「ああ、これは、奴隷契約の時に必要なので持ってきたんですよ。

では、お客様。こちらに来てもらえますか?」


そう言われ、俺は立ち上がって奴隷たちの正面に立たされる。


「はい、その位置で大丈夫です。

では契約前に、料金のお支払いをお願いできますか?」

「分かりました。

いくらになりますかね?」

「え~と、犯罪奴隷が金貨十枚の二人で二十枚。

シェーラ、トト、リムは、一人金貨二十五枚なので、合わせて金貨九十五枚となります」

「ん? シェーラの妹たちの分は……」

「この子たちは、おまけです。

というよりも、成人していない奴隷は奴隷商が決めていいのですが、今回は、シェーラの条件に入っていたのでおまけとしました」

「……ここの奴隷商は、信用できそうですね」

「ありがとうございます」


アイテムボックスから、金貨九十五枚を布袋に入れて取り出すと、ワーブラントさんに手渡す。


「では、確認しますね」


そう言って、トレイに中身を出して確認し始める。

そして、しっかりと数えると頷いた。


「はい、確かに確認しました。

では、奴隷契約を行いましょうか」


そう言って杖を持つと、俺と奴隷たちの間に立った。

そして、何やら呪文を唱える。

俺には聞き取れなかったが、契約の呪文なんだろう。


足元に魔法陣が出現し、俺の左手の甲と奴隷たちの右手の甲が光った。

そして、何かの印が浮かび上がる。

……たぶんこれが、奴隷紋というやつか?


よく見れば、奴隷たちと俺とでは図柄が違うようだ。


「はい、これで奴隷契約が成立しました。

お客様、ご購入ありがとうございました」


そう言って一礼した……。








読んでくれてありがとう。

これからも頑張ります。

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