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人探しの調査で異世界に行きました  作者: 光晴さん


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第49話 奴隷購入 前編



とりあえず、冒険者ギルドで買い取ることができるのはミスリル金貨一枚だけということで、買い取ってもらい、残りはオークションに出品することになった。


アイテムボックス内の六万枚以上の金貨はそのままで、表に出したミスリル金貨三枚を出品に回した。

どれぐらいの値がつくかは分からないが、相当になると鑑定士のレイブンは言っていたな。



とりあえずお金持ちになった俺は、大きな通りから外れた裏の通りのさらに奥まった場所に来ている。

貰った名刺の奴隷商が、ここにあるからだが……。


「……ここか、ワーブラント奴隷商。

結構奥まった場所に、店を構えているんだな……」


入り口の扉を開けて中に入ると、カランカランとドアベルが鳴る。

その音を聞いて出てきたのが、俺に名刺を渡した朝市の男だ。


「いらっしゃいませ、ワーブラント奴隷商へようこそ。

どのような奴隷が、ご入用ですか?」

「若い女の奴隷を見せてくれるか?」


すると男はニヤリと笑い、俺の目的を察したようだ。

だが、おそらくそれは間違った想像だろうな……。


「畏まりました。

では、こちらへどうぞ。

どのような若い女性がいいか、お客様がお選びください」

「あ、ああ」

「もうし遅れましたが、私、ワーブラントと申します。

これからもこの店を、ご贔屓にしていただくことを願っております。

では、こちらです」


ワーブラントに案内されたのは、店の奥にあるガラス張りの通路だ。

そして、ガラスの向こうにはいろんな女性の奴隷が座っていた。

この中から選べってことか……。


「いかがです? ここにいる女性たちは、元貴族のご令嬢たちです。

血筋を確かにするため、購入する方や、愛人として購入する方がおりますね」


椅子に座り、俯き加減で少し震えている令嬢が五人いる。

どれも美しく、若い。

ポンチョのような感じの薄い布の服を着ているため、透けて見えるのだが、いいのだろうか?


「向こうからこっちは、見えているのか?」

「はい、お客様のことは向こうも確認されています」


ということは、それで少し震えているってことなのか?


「何だか、少し震えているようなんだが……」

「おそらく、お客様がどのような方なのか不安なのでしょう。

ここにいるのは、元貴族のご令嬢です。

今までと違う環境での暮らしに、不安になるなという方が酷でございましょう。

できるなら、同じ貴族に買われたいと思っているのかもしれませんな……」

「なるほど」


それなら、ここで選ぶのはなしだな。

俺は、ワーブラントに次を紹介するようにお願いした。

すると、俺が移動していくことに安堵しているような表情が見て取れる。

やはり、俺に買われたくなかったんだな。



次に連れてこられた場所も、同じようにガラス張りの通路だ。

そして、さっきよりも女性の数が多く部屋の大きい。


「右側の部屋には、成人を迎えた女たちが、左側の部屋には、成人前の女たちが入れられています。

どちらも、口減らしなどの理由で親や村から売られてきた女たちです。

ここからならば、お客様の必要な奴隷がいるのではないですかな?」

「フム、少し吟味するか……」


まずは右側の部屋を覗く。

俺の姿を確認したのだろう、何人かの女たちは部屋の隅へ移動していった。

俺には買われたくないという意思表示か?


しょうがないので、残っている女性たちを見ていく。

だが、俺に鑑定スキルはない。

どんな子がいいかは、よく分からないんだよな……。


なるべく、働き者そうな女を選んでいくか。


「ここの女たちは、一人いくらぐらいなんだ?」

「そうですね、上下することもありますが大体金貨十二枚から金貨二十枚が相場ですね。

先ほどの元貴族のご令嬢ならば、金貨百枚以上が相場でございます」

「そうか……」


現在俺の所持金は、金貨千枚。

まあ、使えるお金ということだけどな……。


金貨千枚ならば、ここにいる奴隷を購入することも可能だ。

だが、購入してそれぞれの扉の先にポイ、というわけにはいかないだろう。

となれば、ここは様子見で何人か購入してみるのがいいかな……。


そんなことを考えながら、左の部屋を覗くと、成人前の子供たちが大勢いた。

男女一緒に入れられていた。


「……よく見れば、赤ちゃんまでいるのか?」

「赤子は奴隷契約は結べませんので、親と一緒にとお考え下さい。

ただ、この中にいる赤子は親がいない赤子でございます。

その場合は、世話のできるものと一緒にということになりますので」

「なるほど……」


親がいないのか。

死んだか、あるいは口減らしで売られたか。

どちらにしても、気分のいいものではないな……。


「しかし、赤ちゃんなんて、需要があるのか?」

「主に、子供のいない夫婦や子供が巣立った老夫婦などに需要がございます。

養子制度があるのは、貴族社会だけなので平民はこうして子供を確保しているのでございますよ」

「へぇ~」


養子縁組は、貴族社会のみか。

しかし、こんな赤ちゃんですら、奴隷商に売らなければ生活が成り立たないとはな……。

そんなに、貧しいものが多いのだろうか?


「それで、いかがですかな?

お客様の好みの奴隷は、いましたでしょうか?」

「何人かいるが、少し考えている。

それと、変わった奴隷は扱ってないか?」

「変わった奴隷でございますか?」

「例えば、他とは違うスキルがあるとか、異世界から来たとか頭のおかしな奴隷だ」

「ああ、居ります居ります。

二人、異世界から来たとかおかしなことを言っている奴隷がおりますが、見ますか?」

「ああ、見せてくれ」

「……」

「何かあったのか?」


ワーブラントが、少し考えている。

会わせていいものかどうか、思案しているのか?


「その者たちは、冒険者だったのですが、依頼を受けてもうまくいかず、そのことで周りに当たり散らすようになり、受付嬢にケガをさせたとかで犯罪者としてここに売られてきました。

ですから、こちらとしてもあまりお勧めはできませんが……」

「とりあえず、会わせてくれるか?

知っている人物なら、こちらで引き取ろう」

「犯罪奴隷は、届け出が必要です。

それでも、大丈夫ですか?」

「ああ、それでもかまわない」

「……では、こちらへどうぞ」


どうやら、犯罪をして奴隷落ちした日本人がいるようだ。

会ってから引き取るか決めるが、どんな日本人なんだろうな……。







読んでくれてありがとう。

これからも頑張ります。

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