第40話 ダンジョン探索 罠
ドラゴンゴーレムといえど、口からブレスは吐くし、一撃一撃の攻撃の強さもドラゴンと変わらないような力強さだ。
その証拠に、地面にいくつものひび割れができていた。
おそらく、ドラゴンの尻尾の攻撃だろう。
俺が、ゴブリンゴーレムを相手にしながら弾こめの最中に見ただけの光景だが、苦戦しているようだった。
「ユウタ! 油断しない!」
「うわっ!」
エリカの声で、ゴブリンゴーレムからの攻撃を何とか避けることができた。
その後、すぐに反撃!
ゴブリンゴーレムが、次の攻撃に移る前に、ショットガンで頭を吹き飛ばす。
ドンッ! ドンッ! とショットガンの発砲音がするたびに、ゴブリンゴーレムの体のどこかが吹き飛んで崩れる。
「こっちに流れてくるゴブリンゴーレムは少ないわ!
油断しないで、対処して!」
「わ、分かった!」
「クーデリア、ポーションの準備をして。
戦闘が終わったら、みんなに配るよ」
「は、はい!」
「お、俺はどうしたら……」
「早く戦闘が終わるように、祈ってなさい!」
「お、おう」
その時、聖剣の集いとドラゴンゴーレムが戦っている場所から、ドラゴンの雄叫びが聞こえたかと思ったら、すぐに大きな地響きが聞こえた。
『グオオオオオォォォー……!!!』
地響きが響く中、俺たちの目の前にいたゴブリンゴーレムが次々と崩れていった。
ドラゴンゴーレムが倒されたことで、ゴブリンゴーレムも形を保てなくなったのだろう。
「勝ったぞー!!!」
「「「「ウオオオォォッ!!!」」」」
十階層のボスである、ドラゴンゴーレムを倒すことができた。
だが、十階層のボスでこの強さは、ゲームでいえばバランスが悪くないだろうか?
それにしても、勝てて良かった……。
「アーバン、結界を解いて!
クーデリア、ポーションの準備は?」
「できてます!」
「ユウタ、周りに敵は?」
「……いないようだ」
「よし、すぐにみんなの元に合流するわよ!
そして、ポーションなどを渡して疲れをとってもらうのよ!」
「了解」
「分かりました」
結界がなくなると同時に、エリカとクーデリアは走り出し聖剣の集いと合流を急ぐ。
アーバンは、魔道具を回収後、エリカたちの後を追うかのように走って行った。
俺は、ショットガンに装填しながら歩いてみんなの元へ。
「このショットガンの威力なら、この先も戦えそうだ。
でも、ポーターの俺に、戦う機会があるかどうか……」
そんなことを呟きながら、装填を終えたショットガンをアイテムボックスへ。
そして、みんなの元へ走った……。
「エリカ、マナポーションを貰える?」
「はい、これですね。どうぞ」
「ありがとう」
聖剣の集いと合流すると、エリカたちがすでに動いていた。
ポーションを配りながら、武器のチェックや鎧の応急処置などをしていた。
「ユウタ、水の樽を出して!
クーデリア、水を汲んだらみんなに配ってあげて!」
「分かりました」
水の入った樽を、アイテムボックスから出すと、すぐにクーデリアが人数分のコップに汲み始める。
俺はそのコップをトレイに乗せ、みんなに配り始めた。
「ありがとう!
リーダー、ドラゴンゴーレムなんて、聞いてないですよ~」
「前来た時は、ただのゴーレムだったんだ。
今回は、俺もびっくりしているんだよ」
「てことは、ダンジョンが変わったってこと?」
「かもしれんな。
ダンジョンは、内包する魔力の量で変わるらしいからな」
「ロブ研究員の、ダンジョンは生き物だって話ですか?」
「さあな、生物かどうかは分からないが、この先たいへんだってことは変わらないだろう」
この先、俺たちは遺跡を発見し遺物を採取していかなければならない。
どんなものでもだ。
それが、必要か必要でないかは依頼者の遺跡研究者たちが決めること。
「リーダー、宝物庫を見つけた!
お宝が、かなりあるぞ!」
「よし! 動けるものは宝物庫に移動するぞ。
お宝と遺物を別けて、収納してもらうからな」
「分かったわ。
アーバン、一緒に来てくれる?」
「お、おう! 任せろ」
「クーデリアとユウタは、ここをお願いね」
「分かりました」
「了解」
聖剣の集いの半分のメンバーとエリカとアーバンの二人が、宝物庫へと移動する。
そこでお宝と遺物を収納するためだ。
俺とクーデリアは、残った聖剣の集いのメンバーに水やポーション、他にもおしぼりなどを渡していく。
中でも、ナナカという魔術師が一番疲労の色が濃かった。
「大丈夫ですか?
マナポーションをどうぞ」
「ありがとう。でも、今はいいわ。
飲んだら、吐いてしまいそうで……」
「これ、おしぼりです。
額に置いたりして横になってください」
「……ああ~、気持ちいいわね、コレ」
「ありがとうございます」
ナナカさんは、額におしぼりを置いて冷やしながら横になった。
支援魔法の使い過ぎで、魔力酔いになったらしい。
「ジョーさん、遅いですね。
宝物庫に行ったみんな……」
「量があるお宝なんじゃないのか?
それとも、遺物の方が量あるとか……」
「俺、見てきますよ」
そう言って、斥候の一人が宝物庫の方へ走って行った。
そしてすぐに、急いで戻ってきた。
「た、大変だ! 転移罠だ!
リーダーたちが飛ばされたみたいだ!」
「何っ! どこに飛ばされたか分からないか?!」
「サレン、調べてくれ!」
「分かったわ」
もう一人の斥候職と思われる女性が、宝物庫へ移動する。
そこで、転移罠の行き先を調べるらしい。
斥候職というのは、そんなこともできるんだな……。
「サレンの職種はニンジャだからな。
罠を仕掛けたり、解除することもできるんだ。
調べることなんてお手の物だよ……」
横になっているナナカさんが、側にいる俺たちに教えてくれた。
すると、サレンさんが戻ってきた。
「分かったわ、あの転移罠は下の十三階層に繋がっていたわ」
「十三階層、ここから三つも下か。
このメンバーで、行けるか?」
「……なるべく戦闘を避けることができれば、合流することは大丈夫だと思うわ」
「向こうには、リーダーも回復職もいる。
……何とかなるか?」
「大丈夫だと思うわ。
こちらも移動して、合流を急ぎましょう」
「そうだな……」
臨時のリーダーをジョーさんとして、俺たちはダンジョンを進んで行く。
みんなの無事を信じて……。
読んでくれてありがとう。
これからも頑張ります。




