第39話 ダンジョン探索 戦闘
次の日、テントから出ると、すでに聖剣の集いのメンバーは起きていて、出発の準備を始めていた。
さらに、エリカは朝食の準備で忙しそうだ。
「おはようございます、ユウタさん」
「ああ、おはようございます、クーデリア。
起きるのが、遅かったかな?」
「いえ、そんなことないですよ。
みなさんが早すぎるんです。
私も、さっき起きたばかりですから……」
「なるほど……」
俺は、聖剣の集いやエリカを見て、これがベテランの時間なんだと感心した。
それと同時に、俺もこうならないといけないんだと、自覚する。
そして、すぐに準備に取りかかりテントなどの片づけをしていく。
「おはようございます、エリカ。
準備、手伝います」
「もうすぐ終わるからいいわよ。
それより、まだ寝ているアーバンを起こしてきてくれない?」
「分かりました」
「お願いね」
朝食の準備をしているエリカを手伝おうとしたら、アーバンを起こすように言われた。
なので、アーバンのテントに来たのだが、中からいびきが聞こえてくる。
どうやら、まだ夢の中のようだ。
「アーバン、アーバン、もう出発だぞ?
いい加減起きろよ~」
「ぐかー、ぐが? ……出発?」
「ああ、朝食食べたら出発だぞ?
みんな起きて、準備はじめているぞ?」
「……た、大変だっ!
こ、こんな、ダンジョンに、置いて、いかれたら、痛っ!
し、死んで、しま、う~!」
テントの中で、ドタバタと騒いでいる。
どうやら、慌てて着替えているようだ。
俺は、アーバンが起きたと見て、エリカたちの手伝いに戻った。
そして、朝食を聖剣の集いのメンバーに配り終えた頃、アーバンは、テントの中から勢いよく飛び出してきた。
そして、周りを確認して胸をなでおろしていた。
まだ、聖剣の集いが出発していないことに安心したのだろう。
そして、俺は睨みつけられた。
なぜ、俺が睨みつけられたのか理解できない……。
朝食を食べ終わり、今日の探索の予定を話し終えると、出発する。
いよいよ、十階層へ突入だ。
十階層は、雪原フィールドではなく遺跡の神殿になっていた。
どうやら、ボス部屋と呼ばれる場所らしい。
「このダンジョンは、十階層ごとにボスがいるそうよ。
そして、中に入った者が、ボスを倒すか死ぬかしなければ扉は開かないようになっているの」
「ほぉ~、なるほどねぇ~」
アーバンが、エリカの説明で感心していた。
まあ、この辺りはゲームとかでお馴染みだよな。
「それで、俺たちも中へ入るのか?」
「何言ってるのよ、入らないと次の階層に行けないでしょ?
私たちだけで、ボスを倒せるなら扉の前で待っていればいいわよ?」
「いや、無理!」
「なら、ついて行くしかないわね」
「エ、エリカ、大丈夫かな?
聖剣の集いの戦いの、邪魔にならないかな?」
「大丈夫よ、クーデリア。
邪魔にならないように、離れて待機するだけだから」
聖剣の集いのメンバーが、次々とボス部屋へ足を踏み入れながら、俺たちもその後に続いて入っていく。
そして、全員が中に入り奥へと進んで行くと、後方から扉の閉まる音が響く。
どうやら、ボスの登場だ……。
「ヒッ!」
「大丈夫よ、クーデリア。私と一緒にいれば」
「エ、エリカ~」
「お、俺の、け、結界の魔道具も、あるしな……」
「……足が震えているわよ、アーバン」
「む、武者震いだ」
みんなの会話を聞いて、少し緊張がほぐれたとき、奥からボスが登場した。
「ドラゴンゴーレムだっ!!
全員、戦闘準備!!」
全身、真っ白な石でできたドラゴンが出現。
どうやら、ドラゴン型のゴーレムのようだ。
『グオオオオオオ!!!』
「行くぞっ!!」
「「「「「おおっ!!!」」」」」
聖剣の集いとドラゴンゴーレムとの戦いが、始まった!
大きな盾を持った騎士が最初に走り出し、次に大剣を持ったリーダーや騎士が前に出ていく。
魔術師たちが支援魔法や防御魔法を唱え始め、斥候職の人たちが罠を仕掛けだす。
それぞれが、それぞれの持ち味を出して戦うようだ。
だが、その時、エリカが叫んだ!
「ユウタ、危ない! 後ろ!」
エリカの声に、後ろを振り向くとゴブリンが剣を振り上げていた。
すぐに俺は回避するが、ゴブリンは次々に姿を現す。
「ゴ、ゴブリン!」
「違うわ、アーバン。
ゴブリンの姿をしているけど、あれはゴーレムよ!
ゴーレム型のゴブリンよ!!」
「おいおいおい、冗談じゃねぇぞ!」
「エ、エリカ!」
どうやら、ドラゴンゴーレム以外にゴブリンのゴーレムも出現するようだ。
聖剣の集いの方にも、ゴブリンゴーレムが現れて対処している。
俺は、アイテムボックスから銃を取り出し、すぐに発砲!
しかし、威力が弱いのかゴブリンゴーレムの身体を削ることしかできなかった。
「ユ、ユウタ! 早くこっちへ!
アーバンの結界魔道具で!」
「ダ、ダメだ! 間に合わねぇ!」
そう焦って、アーバンは結界の魔道具を発動させ、エリカとクーデリアと一緒に結界の中へ入った。
「ちょ、ちょっとアーバン!
すぐに結界を解いて、ユウタを入れてあげて!」
「む、無理だ! この結界は一度解いたら、次の発動まで時間がかかるんだ……」
「そ、そんな……。ユウタさん!」
俺は、エリカたちが結界の中に避難したのを見て、すぐに銃を取りかえる。
次に取り出したのは、レミントンM870のファンタジー仕様だ。
弾も十分すぎるほど、アイテムボックス内にある。
ただ、装填に少しかかるが大丈夫だろう。
ショットガンを構え、ゴブリンゴーレムに向けて発砲した!
ドンという音とともに、ゴブリンゴーレムの上半身が吹き飛ぶ。
「「「え……」」」
その光景を見ていた、エリカとクーデリアにアーバンが驚いた。
そして俺は、ショットガンが通じたことに喜んだ。
「よし! 通用する!」
下半身だけになったゴブリンゴーレムは、そのまま膝から崩れ倒れる。
すぐにポンプアクションを行い、薬莢を排出。
次々に、襲いかかってくるゴブリンゴーレムに俺は対峙した。
「さあ、かかってこい!」
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これからも頑張ります。




