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人探しの調査で異世界に行きました  作者: 光晴さん


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第33話 村に着いてから



馬車を走らせてから一回の休憩を挟んだ二時間ほどで、村に到着する。

今回の目的の村、ブレタンの村だ。

村の門番に挨拶をして、早速冒険者ギルドへ向かう。


といっても、村の冒険者ギルドは小さな建物で、働いている職員の数も少ない。

そこへキャニーさんたちがいき、事情を説明する。


「わ、分かりました。

すぐに、町のギルドへ連絡をとります。

それと、キャニーさんたちにもご協力をお願いしたいのですが……」

「ああ、それは構わない。

私たちのミスでもあるからね」

「ありがとうございます」

「それじゃあ、今は護衛の途中だから、またあとで」

「はい」


そう言ってカウンターを離れ、戻ってきた。


「連絡はしておいた。

後で、私たちは盗賊たちのアジト探しに協力することになる。

ユウタはどうする?」

「俺は、まだ新人ですから今回は遠慮します」

「そうか、分かった。

それじゃ、商会に行こうか。荷物を届けないとな」

「はい」


盗賊のアジト捜索に誘われたが、新人の俺ができることはほとんどない。

そのため、今回は辞退した。

その後、キャニーさんたちと一緒にギルドを出て、馬車に乗り商会を目指した。


俺のアイテムボックス内の品物を降ろすためだ。

それで、俺の受けた依頼は完了する。



カルビンさんたちのローレン商会の支店は、村の中心地に立っていた。

やっぱり、村唯一の商店ということなのか?


「あ、カルビンさん、ロビンさんお帰りなさい!」

「ただいま、コルク。

少し遅くなったが、仕入れることができたぞ」

「それはありがたい!

村長が、何度も商会に来て催促していきましたよ」

「村長の相手をさせてしまって、悪いことをしたな……」

「愚痴聞いて終わりですから、そう気にしてませんよ。

それより、荷物はどこですか?」

「いつものブルカが、病気になってな。

今回は、ギルドで別の荷運び人を雇ったんだ」

「てことは、彼が?」

「ああ、ユウタさんだ。

ユウタさんのアイテムボックスはすごいぞ!

いつもの倍の荷物を、仕舞える容量があるんだ」

「それは、すごいですね……」


何か、俺を見る目が期待している感じだ。

このコルクという人が、この支店の留守番をしていた人なんだろう。


……ずっと思っていたけど、カルビンさんをはじめ、ロビンさんもコルクさんも結構日に焼けているんだな。

真っ黒といっていい焼け方だ……。


「あの、初めまして。

今回、荷運びを受けたユウタと言います。

新人ですが、アイテムボックスの容量には自信があったので受けさせてもらいました」

「ああ、ご丁寧にどうも。

商店の責任者のコルクです。

では店の裏手で、荷物を出してもらえますか?」

「分かりました」


コルクさんに案内してもらい、商店の裏に移動した。


「では、ここにお願いします」

「はい」


俺は、アイテムボックスから馬車三台分のお願いされた荷物をその場に出した。


「これは、すごい量ですね……」

「いつもとは違う量なのですか?」

「ええ、いつもはこの半分ぐらいです。

それでも、全部の量をブルカは運べませんでした。

ユウタさんのアイテムボックスの容量は、本当にすごいですね」

「そうなのか……」


俺は初めて、自分のアイテムボックスが特別なのを知った。

でも待てよ。

この世界に召喚された日本人は、アイテムボックスを持っているはず。

ならば、みんなこの容量なのか?


そんなことを考えていると、コルクさんから声を掛けられた。


「では、ユウタさん。

ギルドで受け取った依頼書を出してください」

「依頼書、というとこれかな?」


俺はアイテムボックスから、ギルドの受付で渡された依頼書を取り出す。

そして、コルクさんに渡した。


「はい、これですね。

少し待っていてくださいね………」


そう言って、何やらサインしている。

だが俺はコルクさんの手に持っているペンに、注目してしまう。


「このペンですか?

これは、ギルドで開発されたボールペンというやつですよ。

この先端にある玉を作るのに、苦労したようだがドワーフたちの手にかかれば簡単なことでした。

こうして今では量産ができて、私たちも使えているというわけです」

「ギルドというと?」

「冒険者ギルドですよ。

何か月か前に、冒険者ギルドに作ったものを売った人がいたとか?」

「へぇ~」


それって、間違いなく日本人だよな。

日本人の誰かが、ボールペンを売ったってことか……。

で、ギルドで開発したことにして、ドワーフの技術力を使って再現したってところか。


「ではこれを、ギルドの受付に提出してください。

依頼完了の確認とともに、報酬を貰えるはずです」

「ありがとうございます」

「こちらこそ、ありがとうございました」


お互い握手を交わし、俺は商会を後にした。




▽   ▽    ▽




村にある冒険者ギルドに到着すると、入り口に見知った人がいた。


「キャニーさん、こんな所でどうしたんですか?」

「ああ、ユウタさん。

町のギルドと連絡がついてね、今こっちに調査隊を送ったそうだ。

で、その調査隊待ちだよ。ユウタさんは?」

「先ほど、商会へ荷物を届けてきた所です。

で、受け取りのサインをもらったので報酬を受け取りに」

「なるほど、それなら、中で受け取ってくるといい。

後、町へ戻る乗合馬車があるからそっちを使う方がいい」

「乗合馬車ですか?

ギルドで、町へ行く依頼とかは……」

「その乗合馬車の護衛依頼があるけど、ランクが足りないだろう?

護衛依頼は、銅ランクからだ。

確か、ユウタさんは鉄ランクだろ?」

「……まあ、新人ですから」

「なら、諦めて乗合馬車で帰った方が安全だよ」

「……そうします」

「冒険者は無理をしない。

よく覚えておいた方がいいよ?」

「はい……」


少し、調子に乗っていたのかもしれないな。

盗賊の一人を倒したことで、気持ちが大きくなっていたのかもしれない。

これは、反省反省……。








読んでくれてありがとう。

これからも頑張ります。

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