第32話 盗賊撃退
街道沿いの林から、十人ほどの盗賊と思われる男たちが出てきた。
それぞれが持つ武器が、日の光を反射させている。
その盗賊を相手にするのは、護衛で雇われたキャニーさんたち女性冒険者の三人。
見るからに、不利な感じがしたが、俺と、商会のカルビンさん、ロビンさんはキャニーさんたちに任せて馬車の荷台に隠れるしかなかった。
「ゴルバン、どうやらお前さんの言う通り楽勝のようだな!」
「へへへ、でしょう?
ここを通る商人の馬車は、前々から狙いを付けていたんですよ」
「ちょっと待ちな!
あんた冒険者のゴルバンだよな? 町で評判の悪い……」
「それがどうした?
今は、自分たちの心配をしたらどうだ?
まあ、この人数に勝てるとは思えないけどな」
「へぇ~、私たちに勝てる気でいるのかい」
「けっ! 女の分際で冒険者になっちまった、自分自身を恨むんだな!
まあもっとも、俺たちの相手をさせられて、考えることもできなくなるけどよ~」
「「「ぎゃははは!」」」
「ゴルバン、女たちは売れるんだ!
壊されたら、金にならねぇだろうが!」
「おっと、いけねぇ」
「……言い残したことは、それだけかい?」
「あぁ?」
「盗賊は殺しても構わない! レナン、ローニー、思いっきりやりな!」
「「はい!」」
「てめぇら! さっさと、押さえつけろ!!」
「「「「おおっ!!」」」」
戦いが始まった!
まず最初に動いたのは、レナンさんだ。
「【シールドウォール】!」
無詠唱で呪文を唱えると、透明な壁が馬と馬車を包み込んで現れた。
さらに、仲間のキャニーさんとローニーさんに支援魔法を唱える。
「【プロテクション】!」
「これで、防御は気にしなくていいな!
いくぞ! 【身体強化】!」
身体強化を唱えたキャニーさんが、剣を抜いて盗賊たちに向かって飛び出す!
「ぎゃあっ!」
「ぐぎゃっ!」
「ク、クソぉ……」
瞬く間に、三人の盗賊が地面に倒れて動かなくなった。
その光景に焦る盗賊たち!
すぐに魔法を使う盗賊が、詠唱を始める。
さらに、弓を構えた盗賊が、狙いをレナンさんに向けた。
「くらえっ!」
矢がレナンさんに撃たれるが、刺さることなく弾かれた。
「私の防御魔法を、なめないでよね!」
「ク、クソ!」
「ならば、これならどうだ! 【ファイアーボール】!!」
「させるわけないでしょ! 【マジックシールド】!」
ファイアーボールが直撃する前に、ローニーが唱えたマジックシールドが防御を固める。
そして、ファイアーボールが直撃するも、レナンさんは無傷だった。
「バ、バカな!!」
「バカはお前だ!」
「ぎゃああ!」
「こ、こんぎゃあアア!」
魔法を使った盗賊がキャニーさんに斬られ、弓使いの盗賊も同じように斬られた。
盗賊と、護衛のキャニーさんたちの戦いは、キャニーさんたちが圧倒している。
「カルビンさん、キャニーさんたちって強いんですね……」
「もちろんです。
だてに、護衛を任せているわけではないですよ。
何せ、彼女たちは金ランクの冒険者なんですから!」
「金ランク!」
鉄、銅、銀、そして金ランク。
俺よりも、四つもランクが上の超ベテラン冒険者だ。
冒険者の中でも、最も多い銀ランクを一つ抜き出た実力が本物の冒険者だ。
なるほど、確かに戦い方が分かっているという感じがする。
パーティーの中で、どう戦うかが分かって行動しているようだ。
すごいな……。
「おいおい、何を安心しきってんだ?」
「な、だ、誰だ!」
「誰だはねぇだろ? 盗賊様だよ。
てめぇらを人質に取って、仲間を助けるんだ」
そう言うと、荷台に乗ってきた盗賊は、剣の切っ先を俺たちに向けてきた。
「動くなよ?」
そう言って、キャニーさんたちの方に視線を向ける。
そして、大声を出そうとした時、パンパンと乾いた破裂音がした。
「あ?」
盗賊はそう言い残し、仰け反るように倒れて事切れる。
盗賊に向けて、俺が腰の銃を抜き発砲したのだ。
近距離だったので、外しようがなく盗賊を仕留めることができた……。
「ユ、ユウタさん……」
「俺も、冒険者の端くれですから……」
「た、助かりました……」
ほどなくして、盗賊は全員討伐された。
そして、馬車に入ってきた盗賊は、最初の矢などで馬車を止めた盗賊だと分かった。
どうやら、盗賊が出てきた林の反対側に隠れていたらしい。
何人か捕まえて、アジトを吐かせようとしたが、勢い余って倒してしまったらしい。
「痛恨の極みだわ……」
とりあえず、このことは冒険者ギルドに知らせて調べてもらうらしい。
もしかすると、アジトに捕まっている人がいるかもしれないからだ。
「村にも冒険者ギルドはあるから、急ぎましょう」
「分かりました」
盗賊たちの死体を一カ所に集めて、アイテムボックスに仕舞う。
この場に置いておいては、魔物を引き寄せてしまうからだそうだ。
燃やして埋めるという手もあるが、今回は時間がないということで俺に託された。
冒険者ギルドで処分してもらおうということだ。
馬車を出発させて、街道を村へ急ぐ。
その中で、キャニーさんが話しかけてきた。
「ユウタさん、カルビンさんたちを守ってくれてありがとう。
本当は、私たちが対処しないといけなかったんだけど……」
「いえ、俺も一応冒険者でしたので、何かしないとと思って行動しただけですから」
「それでも、今回は私たちが護衛だもの。
ユウタさんが、戦う必要はなかったのよ……」
「そ、そうなんですか?」
「ええ、あなたは荷運びで依頼を受けたでしょ?
それは荷運び以外は、依頼内容に入っていないこと。
冒険者によっては、今回のユウタさんの行動を咎めてくる冒険者もいるから気をつけてね?」
「は、はい、分かりました」
「でも、私たちは、咎めたりしないわ。
本当に助かったし、ね」
「ありがとうございます」
こうして、他にも話をしながら村へ向かっていった……。
読んでくれてありがとう。
これからも頑張ります。




