第29話 戦力増強
召喚できる扉を召喚して確認した後、俺のやるべきことが分かってきた。
まずは、レベル上げだ。
俺のレベル上げをすることで、商品棚が商品で埋まるようになる。
つまり、選択肢が増えるってことだな。
次に、魔石の確保。
これは、弱い魔物の魔石でも構わないとのことだから、片っ端から集めていく。
そして、奴隷などの購入で補う人手の確保。
以上のことを考えたら、ダンジョンでレベル上げをして魔石を確保する。
そして、ダンジョン内の宝物を売ってお金を稼ぐ。
これが一番、手っ取り早く全体を補える案だろう。
ただ、俺一人でダンジョンに挑むには、かなりのリスクが伴う。
仲間の確保は必須だが……。
「ん~、一人で考えてもいいアイデアは出てこないか。
とりあえず、明日、冒険者ギルドへ行ってみるか。
何か、良い依頼があるかもしれないし……」
そのために、まずは装備を見直すことにした。
俺はすぐに、宿の自分の部屋に戻るとドアに鍵をかける。
「【銃砲店ガンショップの扉 召喚】」
そう唱えて、床に魔法陣を出現させ、重厚な扉を出現させた。
早速、ガンショップの中に入ってカウンターにいるロバートに話しかけた。
「ロバート、これのメンテナンスをお願いしたい。
それと、マガジンへの弾薬の補充もお願いする」
「はいよ、主」
カウンターの上に置いたベレッタM9タイプのファンタジー仕様と、空になったマガジンを受け取ると店の奥に入っていった。
銃のメンテナンスや、弾丸の補充はいつもあそこでしている。
俺は、増えたであろう店内を見渡すが、棚に銃は並べられていなかった。
確か、野営の時に店内を見たとき、散弾銃らしきものが何丁か並んでいた記憶があるんだが……。
「ロバート、散弾銃が並んでなかった?」
「ああ、それは撤去したんだ」
「撤去? それはどうして……」
「前並んでいた奴は、狩り用の散弾銃だ。
弾を二発ずつ込めて、撃つものだ。
だが、主の求めているのは戦闘でも使える奴だろ?
遠距離でも近距離でも」
「……よく分かったな」
「主の考えることは、ある程度お見通しさ。
だから、使える散弾銃を用意しておいたぜ」
「おお、さすがロバート。優秀だな!」
「今メンテナンスの最中だから、ちょっと待ってな」
「ああ、分かった」
俺は、おとなしく待つことにした。
カウンターの前に椅子を持って来て座り、カウンターの上にあった雑誌を手に取った。
銃の雑誌かと思いきや、日本で売ってる週刊誌じゃねぇか!
一体、どこで手に入れてきたんだ?
パラパラとページを捲っていくと、ある記事に手が止まる。
俺がファンだった女優の、同棲記事だ。
相手は、お笑い芸人でかなり売れてない男だった。
「ん~、こんなのがいいのか……」
妬み半分、呆れ半分、てところか。
女優の男の趣味に、ちょっと落胆した俺だったが女優が幸せならいいかと祝福することに。
ただこの芸人、先週も週刊誌のネタにされていたような気がする。
確か有名な賞レースで、審査員に暴言を吐いたとか吐かなかったとかで……。
「はい、メンテナンス終わったぞ。
それと、これが補充しておいたマガジンだ」
「ありがとう、ロバート」
そうお礼を言って、銃は腰のホルスターの中へ仕舞い、装填済みのマガジンはアイテムボックスの中へ仕舞った。
カウンターの上から、物がなくなると、ロバートは下から二つの銃をカウンターの上に置いた。
「主、これが主の求める形の散弾銃。いや、ショットガンか。
レミントンM870タイプのファンタジー仕様だ。
それと、ハンドガンで威力を上げた物も用意した。
こっちのヤツで、デザートイーグルタイプのファンタジー仕様だ。
そして、これが弾だな」
カウンターに置かれた弾丸は、どちらの銃のものも今使っているベレッタM9タイプのものと比べて大きかった。
特に、デザートイーグルタイプの弾丸、44口径じゃないか?
どちらの銃も、映画で見たことあるものだ。
早速、ショットガンのレミントンを手に取って構えてみる。
「……ん、悪くないな」
「使い方、弾の装填の仕方、言うまでもないだろう?」
「確か、こうするんだったよな。
そして、ここから弾を込めていく……」
「ああ、その通りだ」
映画やゲームのやり方、そのままだ。
何だか、顔がにやけてしまう……。
「それと、こっちのデザートイーグルタイプだが……」
「ロバート、これ44口径だろ?
確か、44マグナムで有名な……」
「ああ、こっちも有名な銃でな。今使っているオートマチックの物で威力を上げれば、こういう形になる。
どうする、持っていくかい? 主」
「ああ、持っていく。
どちらの弾も用意してくれ。
百発ずつあれば、大丈夫だと思うからな」
「あいよ、すぐに調整をしてやるよ」
そう言うと、ロバートはカウンターに置かれていた二つの銃を持って、店の奥へ移動する。
メンテナンスと、弾薬を用意するためだな。
普段は、どちらもアイテムボックス内に入れておき、必要な時にアイテムボックスから出して使用することにしよう。
威力があるから、おいそれと装備して表を歩けないからな……。
それから少しして、店の奥からロバートが姿を現した。
「待たせたな」
そう言って、カウンターの上に二つの銃を置く。
そして、それぞれの銃の横に装填済みのマガジンと、箱を二つ置いた。
「こっちのマガジンが、デザートイーグルタイプのものだ。
そして、この箱に入っているのがショットガンの弾だ。
箱一つに、五十発入っている。
主の要望は、百発だったから箱二つだ」
「ありがとう、ロバート!」
そうお礼を言って、二つの銃をアイテムボックスに仕舞い、マガジンと弾の入った箱もアイテムボックスに仕舞った。
「あ、そうだ、主。
これを、使ってみてくれないか?」
そう言ってロバートが、カウンターの上に置いたのは手榴弾だ。
パイナップルというタイプのやつだ。
「これ、どうしたんだ?」
「店の棚に出現してな、並べていいのか分からなかった。
使えるようなら、店に並べるつもりだ。
だから、戦闘でも何でもいいから使ってみてくれ、主」
「……分かった」
そう言って、二つの手榴弾を受け取りアイテムボックスに仕舞った。
これで、戦闘力はあがったはずだ。
「それじゃあ、またなロバート」
「ああ、またのご来店を待ってるぜ」
そう言って、店を出ると重厚な扉は魔法陣の中に消え、床の召喚陣も消えた。
さて、明日に備えて他の準備もしてしまおうか。
読んでくれてありがとう。
これからも頑張ります。




