第19話 野営
人探しの調査で異世界に行きました 第19話
ダンジョンの中は、時間の経過が分からなくなる。
フィールド階層であれば、明るくなったり暗くなったりで昼と夜が分かるけど、今いる洞窟型では時間の経過が本当に分からない。
俺たちのパーティーはその後、快進撃を続けていた。
第一階層は、ダンジョンオオカミが主で、他にゴブリンが出てくるだけ。
第二階層は、ゴブリンがメインになり、ダンジョンオオカミやホブゴブリンなどの上位種がかなりの確率で出てきた。
第三階層もゴブリンがメインだが、ダンジョンオオカミは出てこなくなり、その分コボルトが出るようになる。
また、コボルトは集団で出現することが多く、五、六匹で出現することが多い。
そのため、俺たちのパーティーでは、カールに負担がいってしまい毎回傷だらけで戦闘を終えるようになってしまう。
『ギャン!』
パンと乾いた破裂音が響いた後、コボルトの悲鳴が響き、この戦闘が終わった。
今回もコボルトは集団で出現し、今までで最高の七匹で出現してきた。
ダンジョンを進むたびに、出現する魔物の強さはもちろん、数も多くなっている。
「カール、大丈夫?」
「い、痛い……」
「カール、助かった。いつもすまない」
「な~に、気にするな、ユウタ」
「ローラ、すぐに回復をしてあげて」
「はい、姉さん。
カールさん、動かないでくださいね」
「ああ、ありがとう」
カールを回復させ、いよいよ第四階層へ行こうとした時、付き添っていたギルド職員のリルカさんとシャーリーさんが声をかけてきた。
「みんな、今何時か分かってる?」
「ダンジョンでは、時間を確認できるものは用意するべきだよ。
現在、夕刻の鐘が鳴る時間」
「ということは、野営の準備ですか?」
「そう、ここ、四階層への入り口の前で、ね」
まったく気がつかなかったが、俺たちはずっと戦い続けていたのか。
この先に進むには、休息も必要だ。
というわけで、俺たちは野営の準備に取りかかった。
時間的に少し遅いが、テントを張り、交代で見張りを決めて就寝となった。
また、夕食は保存食で済ませることに。
「保存食での食事が嫌なら、次にダンジョンに来るときは、ちゃんと用意すること。
アイテムバッグなどがあれば、調理済みの食事なんかは入れておけるしね」
「私は、サンドイッチとかがお勧めかな。
手軽に食べられるし、嵩張らないからね」
「あとは、飲み物も用意しておいた方がいいわね。
生活魔法で水は出せるけど、水だけでは味気ないでしょ?」
先輩たちの注意を受け入れ、次に潜るときは考えようとみんなが頷く。
まあ次に潜るときは、このメンバーでパーティーを組む、とはいかないだろうが……。
「それじゃあ、私が最初ね」
「フローレル、次は俺だから時間が来たら起こしてくれ」
「分かったわ」
「それじゃあ、お姉ちゃん。お休みなさい」
「お休み」
「お休み、みんな」
今回用意されたテントは、一人一つずつ。
それぞれがたてて、その中で休んだ。
ただ、リルカさんとシャーリーさんは同じテントで休んでいたが、もしかしてこういう時は男女で分かれるぐらいで一緒に休んだ方がいいのではないだろうか?
そんなことを考えてしまう。
「ユウタさん、交代の時間ですよ」
「……ん? 交代?」
「はい、交代です。
私は休みますので、後よろしくお願いしますね」
「ああ、分かった」
ローラが声をかけて来て、自分のテントで休むようだ。
見張りの最後は、俺の番となっている。
テントから出て、伸びをすると見張りのために真ん中へ。
外の野営ならば、焚火なんかをしているところだが、ダンジョンでは火を熾すことはできない。
そこで、ランタンなどの明かりを置いて、火の代わりとする。
「……見張りとはいえ、暇だな」
そう思った俺は、今のうちに銃のチェックと弾薬のチェックをする。
「……銃は問題ないようだ。
まあ、もし問題があっても予備があるから心配ない。
問題は弾薬か……」
ここまで、ずっと戦い続けてきた。
そのため、マガジンを交換した回数も、かなりの数だ。
改めて調べてみれば、残りのマガジンがあと二個となっていた。
まずい、このままでは非常にまずい。
そこで、緊急事態的に扉召喚をすることにした。
みんなは寝ている、扉の中に入らずロバートにお願いすれば何とかなるかもしれない。
俺はすぐに行動に移した。
「【ガンショップの扉 召喚】」
すると、地面に魔法陣が出現しそこから重厚な扉がせりあがってきた。
相変わらず頑丈そうな扉だ……。
ゆっくりと扉を開けて、中に入ることなく声を掛ける。
「すまないロバート、緊急事態だ」
「なんだ主、店の中に入れない緊急事態とは……」
「今、野営の見張りをしているんだ。
ここを離れるわけにはいかないんだよ……」
「はぁ、しょうがねぇな……。
それで、どうしたんだ?」
「銃のメンテナンスと、装填済みのマガジンを二十ほどくれないか?」
「空になったマガジンはあるかい?」
「ああ、ここに用意している」
「なら、それを渡してくれ。
……それじゃあ、少し待ってなよ主。すぐに終わらせるから」
「すまない、ロバート。
それと、ありがとう」
「良いってことよ……」
入り口で、銃とマガジンの入った袋を受け取り、店の奥へ入っていったロバート。
俺は俺で、見張りを続けていた。
ガンショップの扉の前で、周りに目を向けて見張る。
もしかしたら、この扉の明かりが目立って、魔物が近寄ってくるかもしれないがどうしても補充は欠かせないのだ……。
そして、ほんの十数分でロバートは銃のメンテナンスと補充のための装填済みのマガジンを用意してくれた。
さらに、渡した空のマガジンにも弾薬を装填してくれていた。
「はいよ、主。
銃のメンテナンスと補充のマガジン。それに、空のマガジンにも装填しておいたぜ」
「さすがロバート。
痒いところにも手が届く有難さだな」
「……褒められているのかよく分からないぜ、主」
「とにかく、ありがとうロバート」
「次は、ちゃんと店に入ってきてくれよ?」
「ああ、分かった」
ガンショップの扉を閉めて、扉を送還する。
ほんの十何分のことだったが、魔物が近づいてこないかヒヤヒヤものだったな……。
銃をホルスターに仕舞い、袋からマガジンを取り出してアイテムボックスの中へ。
そして最後に、袋だけをアイテムボックスに入れると、何事もなかったかのように見張りに戻った……。
読んでくれてありがとう。
これからも頑張ります。




