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人探しの調査で異世界に行きました  作者: 光晴さん


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第16話 初心者講習



「ごちそうさま」

「お粗末さまでした」

「アニス、美味しい夕食をありがとう。

アニスが料理上手で、本当にうれしいよ」

「いえ、喜んでもらえたなら光栄です」


照れた様子で、笑顔で返事をしてくれる。

寝室も、お風呂もきれいだった。

送還中に、各部屋の掃除をしっかりとしているのだろう。


本当に、メイドとして最高だな。


「それじゃあ、明日は早いから今日はもう寝させてもらうよ」

「そういえば、初心者講習があるんでしたね。

頑張ってくださいね、主様」

「よく知ってるね、俺の予定……」

「メイドとして、主様の予定管理はしっかりできていますので」

「……あ、ありがとう」

「いえ、メイドとして当然です」


そう胸を張って誇っているけど、一歩間違えばストーカーと変わらないような気がする。


「それじゃあ、お休みアニス」

「お休みなさいませ、主様」


俺は寝室に入って、すぐにベッドに横になった。

身体が疲れていたのか、すぐに寝たようだ。



翌朝、宿の人が起こしに来る前に、宿の部屋に戻っておく必要があるため早めに起床する。

そして、着替えてリビングに行くと、アニスがすでに起きていて挨拶してくれた。


「おはようございます、主様」

「おはよう、アニス。今日は早いね」

「はい、主様が早めに出られると思い、準備しておりました」

「準備?」

「はい、こちら朝食のお弁当です。

宿について、まだ時間があるのでしたら食べてください。

そして、こちらが昼食用のお弁当です。

どちらも、サンドイッチにしておきましたので、もし食べる時間がない場合は夕食などにしてもらっても大丈夫ですよ」


これはありがたい、アニスの手作りサンドイッチとは楽しみだ。

それに、もし初心者講習で野営があった場合は、夕食にさせてもらおう。

食べる時間があれば、の話だが……。


「ありがとうアニス。本当、助かるよ」

「いえ、これもメイドの仕事ですよ、主様」


俺はこの二つのお弁当をアイテムボックスに入れて、自宅を出た。

そして宿の部屋に戻ると、ちょうどドアがノックされ声がかけられた。


『お客さん、朝だよ。

もうすぐ朝の鐘が鳴るから、鳴り終わるまでは朝食を出しているからね』

「はい、ありがとうございます」


そう言うと、ドアの前から去っていく靴音が聞こえる。

さて、準備を始めるか。


まずは、初心者用のリュックをアイテムボックスから出し、中に入っているものを確認。

そして、自分の装備を確認する。

ホルスターから銃を取り出し、マガジンを外す。

そして、弾数をチェックして再び銃へ装填する。


この作業、俺的には結構かっこいいと思う。

映画なんかで、こういうシーンが出てくるたびにカッコいいな~と常々思っていた。


とりあえず、準備が終わったら宿を出て集合場所の南門へ行かないと。

こういう時、五分前集合とかいうしな。


部屋を出て鍵を閉め、一階に降りる。

すると、カウンターには宿のおかみさんがいた。


「おはようお客さん。朝食かい?」

「いえ、初心者講習に参加するので宿を出ます。

この鍵を返しに来ました」

「おや、講習の参加者だったのかい。

なら早く行った方がいいね、もうすぐ朝の鐘が鳴り始まるよ」

「はい、ありがとうございます」


カウンターで鍵を返却し、宿を出た後南門へ向かった。



南門には、すでに冒険者たちが集まっており、さらに門の外にも冒険者が何人かいる。

門番にギルドカードを見せて、町の外に出ると朝の鐘が鳴り始めた。


「初心者講習を受ける方は、こちらにお集まりください!」

「初心者講習を受ける方は、こちらにお集まりください!」


冒険者ギルドにいた、受付嬢が大声で冒険者を集めている。

俺もその指示に従い、受付嬢の周りに集まった。


ざっと周りを見ると、三十人以上集まっている感じかな。

こんなに新人冒険者がいることに驚いていたが、集まった冒険者の会話を聞く限り、新人ばかりではないようだ。


どうやら、この講習に参加することがランクを上げる条件になっているようで、毎回参加者が多いらしい。

そんな会話を聞いていると、朝の鐘が鳴り終わった。


「ではこれより、初心者講習を始めます。

まずは、講師の方から挨拶をお願いします」


受付嬢の紹介により、俺たちの前に一人の冒険者が出てきた。


「初めまして、俺の名前は斉藤孝太郎。君たちでいえば、コータロー・サイトウか。

今回の初心者講習の講師を務める金ランク冒険者だ。

まずは、君たちにパーティーを組んでもらう。

もちろん、今までのパーティーで来ているならそのまま、パーティーで来ていないものは誰でもいいので組んでくれ。

四人一組で組むように!」


日本人だ! しかも、金ランク冒険者に出世している。

確か、鉄・銅・銀・金・ミスリル・オリハルコンで分かれているんだったよな。

ということは、結構ベテランの域に達していないか?


この異世界にきて、三人目に見つけた日本人は、冒険者として成功していた。

この人が、日本に帰ることを望んでいるかは分からないな……。


「なあ、あんた、一人か?」


見つかった日本人のことを考えていると、後ろから声を掛けられた。

振り返ると、新人らしい鎧を着た剣士がいる。

さらに、その後ろには杖を持った女の子が二人、顔を覗かせていた。


「ああ、俺は一人だけど……」

「なら、俺たちと組まないか?

といっても、もうほとんどの新人がパーティーを組んでしまっているんだけどな」

「「……」」


後ろの女の子二人も、うんうんと頷いている。

俺が周りを見渡すと、確かに残りは俺たちだけのようだ。


「分かった、よろしく頼む」

「こちらこそ、講習会の間だけだろうがよろしく頼む」

「「よ、よろしく、お願いします」」


四人で握手を交わし、自己紹介を済ませる。


「俺は、森島裕太。ユウタでいいよ」

「ユウタ、こちらこそよろしく。

俺は、カールだ。剣士をしている」

「わ、私は、フローレルです。

こっちは、妹のローラです」

「私たち、二人とも白魔術師です」


白魔術師。

確か、あの最初の神殿の職種の所にあったな。

白魔術師は、主に治療魔術を使うのだと。

だが、僧侶やクレリックなどの治療専門の職種には及ばない。

神に仕える僧侶ではなく、真理を追究する魔術師が治療魔法を追及して生まれた職種らしい。


「ユウタは何の職種なんだ?」

「俺は、召喚術師だ。

といっても、今はまだ何も召喚できないんだが……」

「そういえば、召喚術師は契約できなければ召喚魔法が使えなかったね」

「じゃ、じゃあ、今の武器は?」

「これだよ、この銃で攻撃している」


腰のホルスターを軽く叩いて、三人にアピールしておいた。

三人とも、微妙な表情をしているな……。

たぶん、この銃の威力が分からないのだろうな。


さて、この四人でどんなことをするのか……。









読んでくれてありがとう。

これからも頑張ります。

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