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人探しの調査で異世界に行きました  作者: 光晴さん


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第10話 薬草採取



獣道を通り、森の中を進んで行く。

少し薄暗いが、誰かが何度も踏んでできた道が分かる程度は明るい。


気配察知や魔力察知のない俺は、辺りを警戒しながら進み、冒険者ギルドの把握している薬草の群生地へとたどり着いた。


そこは、小さな清流の流れる川の近くで、六畳ぐらいの広さにびっしりと薬草が生えていた。


「これが薬草の群生地か。

実物を見たのは、初めてだ。

こんなに、びっしりと薬草が生えているものなんだな……」


俺は驚きながらも、すぐにアイテムボックスからギルドでもらった薬草の写真が載った紙を取り出し、比べながら採取を行う。


「これは薬草。これは違う。これは薬草。これは……薬草。

これは、違う……」


そして、十本の薬草が集まったら、薬草を使って括っていく。

それを二回繰り返し、薬草を二十本集めた。

そして、アイテムボックスの中へ仕舞うと空を見上げる。


木々の間から見えた空は、まだ青かったので夕方までには時間があると思い薬草採取を続けることにした。


「日が沈むまでには、まだ時間があるな……」


そう言って、群生地の中にしゃがみ込み、再び薬草採取を続ける。


薬草を三十本の三束ほど作ると、さすがに辺りは暗くなり、上を見上げれば木々の間から見えていた青空は星空に変わっていた。

夢中になりすぎたようだ……。


「夜の森は魔物が活性化して危ないと、注意書きがされている。

これは、ここに一泊しないとダメか……」


俺は川の側の茂みに、扉召喚で自宅のマンションの扉を召喚した。

町で、宿の心配をしないで済むこの扉召喚は、結構なチートスキルではないだろうか?

そう思いながら、自宅の扉を開けて中に入った。



「おかえりなさいませ、主様」

「ただいま、アニス」

「冒険者ギルドの依頼で、お疲れでしょう。

まずは、お風呂になさいませ、主様」

「あ、ありがとう」


嬉しいねぇ~、家に誰か居てくれることが、こんなにうれしいなんて……。

独身の頃は、家に帰ってもすべて一人でしなければならなかった。

当たり前だが、疲れて帰ってきたときも自分でしなければならないのは、結構うんざりするものだ。


それが、こんなに至れり尽くせりだと、一人暮らしなんてしたくなくなるね。


玄関で靴を脱ぎ、そのまま脱衣所へ。

服を脱ぎ、お風呂場へ入れば、バスタブに並々とお湯が張ってある。

シャワーを浴びて、体と頭を洗い、バスタブのお湯に肩までゆっくりとつかる。


「あ、ああぁぁ~~~」


知らず知らずのうちに、声が出てしまうほど気持ちいい。

ああ、日本人でよかったと思う瞬間かもしれない……。



お風呂から出て着替えた後、リビングに行くとテーブルの上にはカップラーメンが一つ、俺のいつも使っている箸と一緒に置かれていた。


「今日も一日、お疲れさまでした、主様。

こちらがご用意した、今日の夕食です」

「そ、そうか。ありがとう、アニス」

「いえ、メイドとして当然です」


……まあ、文句はない。

というか、今、この家に食料はこういう保存食以外ないのだ。

アニスからは、食料の調達をお願いしされてはいたが、お金がない現状では買い物すらできない。

そのため、この夕食に文句はない。


ズルズルと、カップラーメンを食べ終えると、そのまま寝室へ移動し寝ることにした。


「お休み、アニス」

「はい、お休みなさいませ、主様」


一礼して、寝室へ入る俺を見送るアニス。

本来のメイドとは、こういうことを言うのだろうな……。




次の日、ベッドで目を覚ますとゆっくりと起きることができた。

カーテンを開けると、窓から日の光りが入ってくる。


……ここでふと、疑問が生じた。

窓の外ってどうなっているんだ?

ここは異世界だ。

そして、ここは俺の家のマンションの一室を複製した空間だ。

ならば、窓の外は?


俺は、恐る恐る窓の鍵を開けて、窓の戸を横に引く。

するとそこには、白い壁があった。


「壁?」


手で触るも、白い壁で間違いない。

すぐに、他の窓も開けてみるが白い壁があるだけだった。


「主様、おはようございます」


いつの間にか、寝室に入ってきていたアニスが朝の挨拶をしてきた。


「おはよう、アニス」

「朝から、何をされているのですか?」

「いや、窓の外が気になってね?」

「ここは、複製された空間です。

窓の外までは、複製の範囲外なんですよ」

「それで、こんな壁が……」

「朝には白く明るくなり、夜には暗くなる壁です。

ダンジョンの天井と同じような壁なんですよ」

「それって、ダンジョンには昼と夜があるってことなの?」

「フィールドダンジョンだけですが、ありますよ」

「へぇ~」


ダンジョンに潜る際は、野営の準備もいるってことか。

まあ、俺の場合は家の扉を出せば、泊りがけの依頼もダンジョンも大丈夫ってことだな。


「主様、朝食の準備ができております。

リビングへどうぞ」

「ありがとう、アニス」


すぐに着替えて、リビングに行くと、テーブルの上には昨日の夕食と同じカップラーメンが、俺の箸とともに置かれていた。

まあ、今はしょうがない。

そう割り切って、朝食をいただく……。



朝食を食べ終えると、少し休んで玄関に移動する。

アイテムボックスにある薬草を、冒険者ギルドへ納めなければならないからだ。

それで、報酬をえたら町の市場で食料を買い込もう。


それで、アニスの手料理が食べられる。


そう考えながら、登山靴を履き紐をしっかり占める。

これで、簡単に脱げることはない。


「それじゃあ、行ってくるよアニス」

「はい、行ってらっしゃいませ、主様。

ああ、それと一つ。

扉の前に、ゴブリンが何体かいます。

気をつけて、行ってらっしゃいませ」

「ああ、ありがとう……」


アニスにお礼を言い、腰のホルスターから銃を抜く。

そして、マガジンを一度外して弾を確認し、再びマガジンを装填する。


玄関扉の前まできたら、扉についている覗き穴から外の様子を覗いた。

すると、ゴブリンが三体、確認できた。


「三体のゴブリンか。

他にもいそうだけど、いつまでも閉じこもったままとはいかないからな……」


俺は、銃を構えてその場にしゃがむ。

そして、扉のドアノブをゆっくりと回して扉を勢いよく開けて、目にはいったゴブリンの頭を目掛けて撃った!


パンパンパンと乾いた音が、三発響くとその場にゴブリンが崩れ落ちた。

どうやら、命中してくれたようだ。

俺は、辺りを警戒しながら扉の外へ出ると、玄関扉はゆっくりと閉まり地面の魔法陣へと消えていった。


『ギャギャア!!』

「扉の後ろにいたのか!」


召喚した扉の後ろにいて、見えなかったゴブリンが襲いかかってきた!!








読んでくれてありがとう。

これからも頑張ります。

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