第6話 黒っぽい扉を開ける
挿絵とあるのかもしれませんが、ただの図です。今回かなり短いです
「一旦出ます〜?なんだかよく分かりませんし〜」
ファルガバードが壁を支えたまま顔を出して、唯に訊ねる。
「あの……ちょうど1個それっぽいのを思いついたところでなんで、それだけ試したいんですけどいいですか?」
「あら、ホントですか〜?じゃあやってみましょうか〜。どうやるんですか〜?」
「えーっとですね。まず――」
唯は、先程予測したこのゲームのルールと必勝法を説明した。
「――ってことです。分かりました?」
「う〜ん。なんだがよく分かりませんが、とにかく私はあいこになるようにボタンを押せばいいんですね?」
「そうです!智博にもよろしくお願いします」
「トモヒロさんは、喰らう側が2つになるように選べばいいんでしたっけ?」
「はい!」
「分かりました〜。伝えてきますね〜」
ファルガバードさんは元いた部屋に戻り、壁をゆっくりと下ろした。すごい形にひん曲がっていた壁も、元に戻る。
――すげぇな。この壁。あんなになっても元に戻るんだ。
唯は感心しつつ、壁の模様と手元のボタンを見る。壁には風と水の模様がある。
――あたしは喰らう側の元素が1つになるように選ぶ。だから水、と……。
水のボタンを押し、しばらく待機。数分後、他の2人が選択し終えたタイミングで「ピンポン!」と軽快な音が鳴った。
「おお!やったぁ!これはもう間違いないだろ!」
喜んでいると、床に炎の模様が浮かび上がり、壁には水と水の模様が。
――あれ?コレで終わりってわけでも無いのか。まぁそうか。ちょっと運が良ければこれぐらいできちゃうからな。多分、何回もやらないといけないってことだと思う。
唯が同じことをもう一度やろうと台を見ると、ボタンの上側に散らばった、ちょっとした装飾だと思っていた丸いものが1つ光る。
全部で6つ。6回クリアしなければならないということだろう。
――えーっと、今度は水水だから風を押して、っと。
「ピンポン!」
正解の音が鳴り、台の光も1つ増える。
「うし!やっぱり合ってた!後は同じことやるだけ!」
残り4回も同じようにして、一行は6つ目を光らせることができた。
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※結果をまとめた表です。唯の考えでうまくいくことが分かりますね。
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6つ目が光ると「ゴゴゴ……」という音と共に、部屋を3つに分けていた仕切りの壁とボタンのついた台が引っ込んだ。
「ゆいー!」
壁が引っ込んだ瞬間、唯に向かって智博が駆け寄ってそのまま抱きつく。
「はあ……!よかったあ!心配したよお!すりすりー」
智博は頬をスリスリしながら唯を愛でる。
「ふふん。そんなことより、この謎を解いたことを褒めていいんだぞ」
「天才!賢い!大好き!チュッチュッ」
「ふん」
鼻を鳴らしてご満悦な様子の唯。
「あらあら〜。ふたりとも可愛いんですから〜」
「俺が可愛いってのはちょっとよく分かんないですけど」
「いや、お前は割と可愛いぞ。智博」
「え?そう?えへへ〜」
顔が緩みまくる智博。唯に弱い。
「さて、おかげで次の道も開けたようですし、進みますか〜」
部屋が組み変わり、現れたのは立派な階段。
今までは茶色で統一されていたが、打って変わってマットな灰色。階段の奥には真っ黒で大きな扉が構えている。異質な雰囲気だ。
「なんか、新たなステージって感じがするな」
「これで最後であってほしいなあ。だいぶ危険よ、この塔」
ゆっくりと階段を登るファルガバードの後ろを、ふたりもトコトコとついて登る。
「これが最奥かも知れません。この塔が何なのか、分かると良いんですけどね〜」
「そうですね。あたしたちがこっちの世界に来たことと、何か関係があるのか……」
「こんな大層なものと関係してたらヤダなあ」
「よっぽど大層なことがないと異世界に来たりしないだろ」
「それもそうか」
そんなことを喋りながら、階段を登る3人。しばらく登って、黒い扉の前までやってきた。
「着きましたね〜」
「なんか、近くで見るとより異質な雰囲気だね」
「やだなぁ。またなんかヤバい魔物が出てきたりしないよなぁ?」
「行きましょうか」
ファルガバードは黒い扉を押し開いた。
ちなみに、エクセルはあんまり使いこなせないです