表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

 鬼畜皇子、こと『エイチ・アイリッシュ』は、彼を知っている人間からすれば、人使いが荒い、と言われている。


 しかし、世間一般的に彼は、表に全く出ていないので、第5皇子である、と言うことぐらいしか、知られていない。

 第4皇子の年齢が30歳なので、第5皇子の年齢は、25ぐらいだと言われている。

 私も、それくらいの年齢だと思っていた。それが、私と同い年なんて。

 信じられない、信じたくない。


 なぜなら、私が所属している小魔局自体の運営のトップがこの、鬼畜皇子こと、エイチ・アイリッシュが私と同い年と言うことになるのだ。そんなの、絶対に詐欺だ、詐欺に決まっている。

 5年前には小魔局ができていたのよ。その時から、トップは、変わっていないんだから、10歳の少年がしていたってことになるじゃない。それも、小魔局は、魔局とは違って

 実力主義の世界。トップだって、同じであると言われている。


 と、ウダウダと、現実逃避して、色々なことを考えてみる。まあ、どんなに現実逃避しても、現実は変わらないのだが。


「よう。今までは書類上での出会いしかなかったから、会うのは初めてだよなぁ、ミイナ嬢よ」


 エイチが、私に声をかけてきた。


 何でここにいるのよ。

 やっぱり、現実逃避しても、ここに、鬼畜皇子こと、エイチとサク・ムーンがいることには変わりがないみたいだ。


 確かに会うのは初めてですよ。

 でも、小魔局でのあなた様の噂が酷すぎて、できれば一生会いたくありませんでしたが、何か?。

 そして、その噂が、本当のことだと知っている身だからこそ、会いたくなかったんですよ。


 そしてここをどこだと思っているんですか? 女子寮の中の私の部屋ですよ。

 男子学生が、女子寮に堂々といるなんて犯罪行為、何で誰も止めないんですかね。女子寮のセキュリティ、どうなっているんですか?


 心の中で愚痴る。愚痴る。愚痴る。

 こういう男には、直接何か言ってもムダだ。

 私は、ムダなことはしない主義だ。

 心の中でなら、不敬なんて事はない。

 思いっきり愚痴ってやる。


 支離滅裂なことをうだうだと考えている自覚はある。

 実を言うと、それくらいパニックに陥っている。


「くくくっ、顔に出やすいなぁ。ミイナ嬢、お前に話があったからな。サクと一緒に来てやった。まあ、ミイナ嬢も気づいている通り・・・」


 来てやった、ではありません。勝手に女子寮なんて入ってこないで下さい、迷惑です。


「お前をこの学園に呼んだのは、俺だよ。と言うことで、おまえを俺の下僕に任じてやる。心して承れ」


 はいぃ~。何が下僕に任じてやる、ですか。何様ですか? ああ、ハイハイ。皇子様でしたね。


 私はと言えば、1人突っ込みを心の中で継続中だ。


 この鬼畜皇子と毎日顔を付き合わせるだけでも、嫌すぎるのにぃ~。

 さらに下僕になれだなんて、どんな無理難題を強いられるっていうのよぉ~。


 はあっ、憂鬱。


「一つ伺いたいのですが、」


 努めて冷静に言ってみる。


「何だ?」


 聞いても無駄なことは分かっているんだけど・・・、・・・でも一応は聞いておく。


「私に拒否権は?」


「ない」


 即答ですか? そうですよね、私に拒否権なんてないですよね? シクシク・・・。


「・・・分かりましたよ。引き受けますよ」


 やけである。


「だから、お前、表情がだだ漏れだぞ」


 そのニヤニヤ顔がムカつく。


「素直と言ってください。それに別に隠していませんから。そして、私に休暇を下さい」


 どさくさ紛れて、休暇を申請する。棚ぼた的な気持ちで。


「休暇なら、今回のことが終わった後なら、いくらでもくれてやるよ」


 え、本当に?

 一瞬、手放しで喜びそうになったが、すぐに我に返った。

 仕事で関わっているのを見る限り、この男は、約束は守るだろう。だが、それでは安心できない。

 なぜなら・・・、


「きちんと、私の考える休暇を下さいね?」


 これだけは、きちんと釘を刺しておく。

 過去に『休暇がほしい』と言った局員を皇子が温泉地へ招待した、ことがあった。

 そこまでなら美談だが、その温泉地に、皇子が同行した上で、近場(の山奥)にある魔草をとってきてほしいと頼まれ、その局員は、安請け合いをした。そして、皇子監督の下の魔草探しは困難を極めた、と言うことがあったと当の局員から、聞いている。


「ちっ、分かったよ」


 その舌打ちは何だ。

 やっぱり、自分都合の休暇を、渡すつもりでいたか。


 だが、次の瞬間、私は固まった。


「まあ、お前1人、いなくても、ほかに、仕事は別に割り振れるからな。特に問題はないか」


 へ? ちょっと待て。それ、どういう意味よ?


「休暇がほしいのは、ミイナ嬢、お前だけだろ? なら、その分、他のメンバーに仕事を回しても特に問題はないだろ?」


 ちょっと待ちなさいよ。それって、私が恨まれるだけでしょうが。


「俺は、どちらでもかまわないんだけどなぁ、」


 逆襲された。ズルい、でも私の負け。


「まあ、多少は時間がある、どちらにするか、考えておけ」


 猶予をくれるってわけ? でも、私に選択肢がないってわけで、あまり意味をなさないんですけどぉ。


「と、まあ、それは冗談だ。キチンと、休暇は、やる。これが起動に乗れば、色々と楽になるからな」


 ・・・降参、諦めた。なんか、色々と負けた気分。


「それで私に、何をさせたいんです? 私を下僕にまでして」


 そして私は、肝心要のことを聞いた。コレを聞いておかなければ始まらない。


「ああ、そうそう。・・・時間切れだ。それは、サクから聞いておけ。あとで迎えに来る」


 ? ああ、そう言えば彼、居たわね? 気配がなかったから、分からなかったわ。


「って、エイチ皇子、どこへ行くんですか?」


 ほんの少し、目を離した隙に、既に移動の魔方陣を布き、移動の準備をしていた、皇子へと声をかける。


「城へ戻るんだ。じゃあな」


 そう言い、皇子は、姿を消した。

 今さら過ぎて別に驚きはしない。空間移動したのだろう。

 だけど、一言言いたかったです。男子生徒を一人、女子寮に置いていかないで下さい。



「さて、エイチは居なくなったし、ゆっくり話そうか。ミイナ嬢」


 当の置いていかれた本人(サク)は、慌てることなく、皇子が居なくなったソファーに座りながら言う。


 おい、だから、ここは私の部屋。


「くくくっ、ミイナ嬢、ホント表情に出やすいな」


 また表情に出ていたのだろう。サクに指摘された。


「ほっといて下さい」


 それにそんなに私、表情読みやすいのかな? 昔はよく、何を考えているか分からない子って言われていたのに。


「まあ、どちらかと言えば、無表情の類いに入るんじゃねぇか? だけどお前、微妙にまぶたや、口元が動くんだよ。それに、仕草を合わせたパターンを見つければ、何考えているのか想像がつく」


 あっそ。


 心の中で思っていたことに普通に返答を返された。

 やっぱりこいつも、コワッ。

 人畜無害な顔をしていても、あの鬼畜皇子と類友ですね。


「取りあえず、座れ。状況を説明する」


 ギロリと睨まれた。

 思っていたことが、またしても分かったようだ。


 そ知らぬ顔をして、私は、サクの前の席へと座った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ