過激派お兄様
あ、終わったな。絶対不審者、それか幽霊。
百歩譲って幽霊仲間なら話通じるかも。幽霊あるある〜みたいな感じで。
いやよくよく考えたら幽霊は足音ならないわ。
不審者確定ガチャだった…。そうならせめてSSRの霊感の無い不審者にしてくれ。
あー足音が近づいてくる……。
終わった終わった。
足音はもう、すぐ近くになっている。
もうこの曲がり角を曲がってくるだろう。
「ん、女の子…?こんな時間に。」
いちばん最悪なパターン。UR、霊感のある不審者でした。
ってこの声…何だか聞き覚えが…
「は…?その姿、小さなレティアラ…??」
!!!!
バッと顔を上げるとそこに居たのは
「!!アロイスお兄様ーー!!!」
なんとアロイスお兄様でした!!
すっごく混乱してるお兄様。そりゃそうだよね。処刑されたはずの妹が生きてるんだもん…。
「えっ!ティア?なんで小さいんだい?」
あ、そっちなの?なんで生きているかじゃなく?
「えっと…死んだら幽霊になって、なんか小さくなって…。」
するとアロイスお兄様は目を見開き、
「死んだ?ティアが?どういうこと?」
はにゃ?
その後話しあいをした所。ある事実が分かった。
なんとあの王子は私、もといレティアラを確実に処刑するためにお兄様を指名し、ある任務を言い渡していた。そして今日帰ってきたお兄様は王子に報告をするためにここに来ていたらしい。
「…で、何故こんな時間までいたんですの…?」
問題はそこだよね。
今夜中の2時だよ?
こんな時間まで本当に何してたの?
「報告に来た後、折角だから王室の図書館とやらを見学しようと思って行ったんだが…そこで寝てしまったようだね。」
そう言って穏やかに笑ったアロイスお兄様。
うん、前と同じ安心する笑顔だね。
そして、その天然ボケな所も治ってなかったんだね。
そう、アロイスお兄様はなんと言っても天然だった。レティアラの小さな頃、とても甘やかしくれたお兄様だけど、レティアラも同じくらいフォローをしていたんだよね。
「じゃあ、サクッと王子殺っちゃいに行く?」
ノアの再来かと思った。