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最強(かぞく)紹介 【限界突破生物(とうさん) 樹山大木】


 ーーそんなわけで未知なる規格外世界【インフィニティグランデ】に突如召喚された僕達【樹山一家】だけど、この一年間の僕について、世界について、語れる事はこれくらいだ。

 何故ならこの規格外世界は本当に何もかも圧倒的で未だにわかる事が少ない。セリカにこの世界の文字を習って図書館で勉強してみてもスケールが大きすぎて僕の口から語れる世界はあまりに矮小だ。

 そして何より世界よりも圧倒的な僕の家族……もしもこの一年を物語として記すなら、物語の主人公は僕の家族だ。

 僕は単なるモブキャラに過ぎず、一年間でレベルを1上げるのが精一杯だった【樹山森】のあらすじは物語として成立するようなものじゃない。


 だからまずは規格外になってしまった僕の家族達から紹介しようーー


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◇【樹山 大木】


ーー家族を語るにおいて、最強を語るにおいて……やはりまずは一家の大黒柱であり、僕の父であり、強さにおいては何の説明もいらない【樹山 大木】がトップバッターである事は疑念を挟む余地もないだろう。


 まずは一年間、鍛えに鍛えていた父さんの基礎能力値を見てほしい。


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◇【樹山 大木】〈LEVEL 5300000000〉

 ・種族【※□◆】・年齢41

 ・クラス【◆□◇□□∇◇】

 ・HP32542553695696553269/32542553695696553269

MP/0/0

SSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS

----------------------------


 ステータスの表示については説明がいるかもしれないけれど、これを目にすれば強さの説明はいらないだろう。最早バグである……というか実際にバグっているらしく想定外の数値で計測できなくなるとこんな表示になるようだ。

 セリカ曰く、『計測不能』を見たことはあってもこんな壊れた数値を見るのは初めてらしい。

 これを測定した枢機卿は父さんを神を越えし唯一の人間【限界突破生物】と呼んだ。


「む、人間に限界などないと言うことか。つまりもっとトレーニングに励めと言いたいのだな!? 俺はまだまだと言うわけだ。だが安心しろシン! 父さんは家族を……シンを守るためならばどのような試練も乗り越えよう! うぉぉぉぉぉっ!!」


 こうしてこの基礎能力値を叩き出したのが半年前だというのだから恐ろしい。それから父さんは更にトレーニングをして半年前までは出来なかった上空25000メートルまでの垂直飛びを可能にしたんだ。

 父さんの最強さを敢えて説明するのならば、それは規格外の【限界を越え無限に成長する肉体の強さ】に限るだろう。

 どんな攻撃だろうと傷一つ負わず、魔法ですらはね退ける。溶岩を素手で掴み、落雷をマッサージと勘違いし、氷岩を熱冷まシート代わりにする。

 筋骨粒々な肉体の表面の話だけではない。肺や骨、眼球や心臓などの内部に至るまで鍛えてダメージを一切受けない。父さんの前では全ての攻撃が無に帰すーー家族を守る大黒柱に相応しい……まさしく守護神である。

 

(父さんはこれまで『攻撃』をした事すらない……いや、走るだけで衝撃を産んで攻撃にはなってるんだけど……自分の意思で誰かに手を出したことはない。そんな必要はないし……凄く優しいから)


 地球にいた時は父さんは世界的なボディービルダーであり、トレーニングジムの経営者だった。その頃からずっと言っていた、『筋肉が一番汚れるのは誰かを傷つけた時、一番輝くのは誰かを守っている時だ』って。正直ピンとは来なかったけど父さんはいつだって誰かを守ってた。


「俺の筋肉が一番輝くのは家族を守る時だ、だからシン。いつだって父を頼りなさい、守られることは何の恥でもない。それが一家の主の努めであり俺の幸せだ」

「……父さん」


 いつだってその大きな肉体(からだ)に守られて、いつだってその大きな背中を見てきた。僕が強くなりたいと思うその先ーーいつだって道標であって指標であって目標なのは父さんなんだ。

 僕もいつか父さんみたいになりたい、みんなを守れる男に。



「ーーだから俺の筋肉を信じるんだシン、飛行道具をつけずに降りるのは初めてだが想えば必ず成せるはずだ」

「いやっだから父さん! それとこれとは話がーーっ」


 そう言って、父さんは僕を抱いて天空の城から地上へダイブする。

 上空25000メートルの垂直飛びが可能になった父さんと僕は天空に浮かぶ城への調査依頼を受注した。地上からひとっ跳びで天空の城へたどり着いたのだ。

 今はその帰りーー調査を終え、無事に帰る手段も見つからなかったために同じ事をするしかなかった。ので父さんは僕を抱き締めながら標高25000メートルから飛んだ。


「ほぅはんっいひほひはっへひゃくひひはひょうへひはっ(父さんっ行きと違って落下には衝撃がっ)!!」

「心配するなシン。この程度のそよ風では筋肉は微動だにせん、絶対に離すことはない。安心だ」


 父さんは無事でいられるかもしれないけど僕は落下時の風だけでバラバラになりそうで全く安心ではなかった。結果的には無事に着地できたものの……しばらくはトラウマで高所恐怖症になった。

 

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 ・現在までに判明しているステータス

◇【樹山大木】〈LEVEL 5050009926666335〉

 ・HP 655325244251175669332555211466

 ・防御力【絶対】

〈攻撃無効〉〈垂直飛び25000メートル〉〈魔法無効〉〈深海10000メートルまでの巣潜り可能〉

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