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最強家族

新たな話を思いつくたびに書かずにはいられないので書いてみました。

色々話は考えていますが他作品も進めながらなので気楽に待ちながら読んでみてください。

ギャグやほのぼのした感じで大体一話完結にするつもりです。


 僕の名前は樹山 森【きやましん】

 至って普通の特に何も取り柄のない高校生だ。


 唐突だけど僕は一年前、異世界に召喚された。

 漫画やアニメでよく見ていた異世界召喚に最初こそ戸惑ったものの、そこはそういうものを心のどこかで待ち望んでいた多感だった時期の中学生時代。

 夢に見たファンタジーな世界に心を踊らせた。


 きっとこの世界では魔物や異能力を使う集団がそこら中にいて……僕はきっとチートスキルや万能スキル、一風変わった能力で無双するもんなんだと勝手に信じていた。


 前半部分は当たっていて…ファンタジーな世界観通りに【魔法】【スキル】【召喚術】【精霊術】【超能力】……この世界の人々はありとあらゆる異能力を使っていた。

 【モンスター】も存在しているし……【暗殺結社】【カルト狂団】【魔王軍】【魔女教団】【闇ギルド】【十二柱悪魔】……なんて中二病みたいな勢力が世界の実権を握ろうと勢力争いを繰り広げてもいる。


 そんな世界で血で血を洗うような死闘を繰り広げ、民衆を助けたり……敵だった人と仲間になったりして熱い冒険に繰り出したりするんだ、と、そう……夢を見ていた。


 しかし、夢は幻想(ゆめ)でしかなかった。


 結論から言うと……僕には何の力もなかった。

 正真正銘、ただの高校生。

 実は隠された力だとかダメなスキルでも進化して最強スキルだとかそんなものも一切存在しない。


 正真正銘、無能力。ただの高校生。僕YOEEEEE!だ。

 運動神経も普通、身体能力も普通。

 本当に何もない。

 運は多少あるのかもしれないけど……昔懐かし運を武器にするヒーローみたいにそれで戦えるほどのものでもない。


 そんなただの高校生になった僕が、そんな世界でどう生きてきたのかというと………


----------------------------



異世界に於いてごくありふれた中世仕様の街並み──ここは『ティタレント』という街。僕はギルドの依頼を終え、住居へと戻る最中だった。

やはり異世界だからか……地球ではありえないような突発的で予想外のイベントというものは幾らでも存在する。それこそ街を呑み込むかのような自然災害も()()では日常茶飯事だ。



「うわぁぁぁぁぁっ!? 竜だぁっ!? 竜の大群が……押し寄せてきたぁぁっ!!?」

「キャァァァッ!」

「うわぁぁぁぁぁっ!?」

「助けてぇぇっ!!」

「みんな逃げろぉぉっ!!


巨大な怪鳥が翼を上下するかのような羽音を何百倍にも拡張させた……鼓膜ごと引き裂く不快な音が町並みの上空を覆い尽くした。


「………古代の文献で見た事がある………そんな……あれは【災厄の竜イビルドレイク】!!」

「あ……あっちも……かつての支配者とされていた【支配の竜デスムンガルド】だ……!!」

「【星喰いの竜オロチイーター】まで…………お、終わりだ………」


町の人々の絶望の声に呼応するように、上空を支配した竜達は禍々しい口を開いて人語をも発する。


『フフフ……ワレラ……リュウゾクガフタタビ……スベテヲシハイスルトキガキタノダ……マズハ、コノチヲサラチ二シテクレヨウ」

『ヒトゾクドモヨ、ナガキ二ワタリ……セカイヲシハイシタツモリダッタノデアロウガ……ワレラ二リヨウサレテイタトモシラズ二……ナンタルコッケイナコトヨナ』

『ジンルイ……ホロボス……』

『クク……ヤキツクセ!』



 蒼天を埋め尽くした飛竜達がこれでもかと挑発するように飛び交い、咆哮をあげている。

地獄絵図。

町の住民は……悲鳴をあげて逃げ惑う人もいれば、少しでも自分の持つ能力で抵抗を試みようとする者や空を見上げ絶望し既に生を諦め立ち尽くしている者もいる。


(ちょうどこの町に滞在しててよかった……!)



 僕は町の中央広場に立ち、空を見上げた。


「お、おいキミ! 冒険者か!? 早く逃げなさ……っ!?………………あ、あんたは! まさか!」


 町人は逃げ惑いながら僕の顔を確認して立ち止まる。


『……ナンダアイツハ……? ワレラヲミテオビエモニゲモセン……オモシロイ……タチフサガルツモリカ……ドウホウドモヨ! アノニンゲンヲヤツザキニシロ!』


 無数の竜達を統率していると思われる一際(ひときわ)大型の竜が指示をする。

 周囲を飛んでいた竜達が一斉に僕を睨み付けた。


 冗談じゃない、僕は怯えてるし今すぐ逃げたいんだ。

 一頭でも一国を滅ぼせる大型の竜にかかれば僕なんて鼻息だけで即死してしまうんだから……

 脚は震え、手は汗だくで動悸(どうき)は激しくなる。

 だけど……逃げるわけにはいかない。


 僕の中の正義が、見過ごす事はできないと言っている。


しかし、そんな思考をも両断するかの如く、一切の容赦なく──竜達は隕石のように……僕を目掛けて降り注いだ。



「愛しの我が息子、どうやら筋肉が武者震いしているようだな。しかし危険だ! 私に隠れていなさい」



──その刹那。

野太い声と共に、それよりも更に(ふと)く、巨大としか形容できない人間の身体が……僕と隕石達の軌道上に割って入り──地震のような衝撃波と轟音を産み出した。


「ん? 羽虫がぶつかったようだな……息子よ、怪我はないか?」

「だ……大丈夫だよ父さん……」


僕に向けられた竜達の一斉攻撃を、一人の人間が体で受け止めたのだ。

 スキンヘッドに蓄えた髭、サングラス……そして、筋肉。まるっきりどこぞのマフィアみたいだけど、僕の父さん。


 名は【樹山 大木(タイボク)】。御年41歳。父さんは僕に覆い被さるようにして、降ってきた竜の前脚を頭に乗せながら平然としている。足元の地面は少し沈下し、ひび割れを創っていた。


『ナ、ナンダコイツハ! ワレノソウゲキ(爪擊)ハタシカ二アタッタハズナノニッ…………カッ!』


 父さんに攻撃を体で止められた竜はそう言って口を開き僕達に向かって炎を吐く──猛るような地獄の業火に一瞬で視界は包まれた。


『──ックハハ! カゲスラノコサヌシャクネツノゴウカヲアビタキブンハドウダッ!? クハハハッ! ワルイナ、ショウメツシテシマッテハコタエルコトハデキナイカ…………………………………………………ッ!!!???』

「息子よ、どうやら気温が上がってきたようだ。紫外線対策を(おこた)るな。筋肉をより美しく魅せるには正しい肌の焼き方が大切だ」


 だけど父さんと、父さんの巨体に包まれた僕は多少の暑さを感じるだけで何事もなくその場に立っていた。


『ソ、ソンナバカナ!? イッタイナンノマホウヲツカエバ……ワレノコウゲキヲフセゲルトイウノダッ!?』

「その方は魔法なんて使っておりませんよ、ただの筋肉どす」


 一人の女性がそう言いながらいつの間にか、舞う風の中、僕達の隣にいた。

 (くし)で結って(まと)めた黒髪、長い睫毛の下には泣きボクロ、日傘に和服。

 僕が言うのもなんだけど、誰もが見惚れる絶世の日本美人。


「母さん!」

「ああウチのシンはん、ご無事どすか? 我身を省みず悪竜達に立ち向かう勇気……さすがウチの愛しい息子……」

「む、華舞か。全くだ、シンは俺達の誇りだ」


【樹山 華舞(ハナマイ)】御年34歳。

 18歳という若さで僕を産んだれっきとした僕の実母。

母さんは差していた日傘を畳み、片手で()を真っ直ぐに引き抜く。

 そう、母さんの持つ日傘には刀が仕込んであるんだ。

 華麗なる花舞う中、輝く刀身が音すら立てずに姿を現した──けど、母さんは少しだけ刀身を見せたのちにすぐにそれを仕舞い、元に戻して再度日傘を差した。


『……? ハ? イキナリアラワレタトオモッタラ……ナニヲシテイル? ソノカタナデ……ムボウニモワレトタタカオウトイウノデハナイノカ……?』

「あら、そないな事はしまへん。戦うなんて野蛮な事……こら単なる料理用の刀どす。さ、帰りまひょか」


 (きびす)を返し、母さんは竜を背に僕らと向き合う。

 その後ろで──竜の(からだ)に閃光が迸った。

 だけどそれは錯覚──光が迸ったわけじゃないんだ、『躯に隙間が産まれ、その間を光が通った』だけなのだ。

 竜は自身の躯から漏れる光を見てようやく気づいた。


 既に斬り刻まれていたことを。

 

『……………………………ナ…………………ンダ………ト………』


バタバタと、かつて竜『だった』物が、竜を型造っていた物が……巨大なサイコロステーキとなってあちらこちらに転がっていく。


 そう、母さんの『料理』は既に終わっている。周囲にいた竜達と共に、目の前の竜は既に母さんの刀に斬り終えられていた。

 色々呼び名のある母さんだけど………一番有名な呼び名は【神速抜刀の華舞】、母さんの刀を振るう速さは普通に光速を越える。


 母さんは抜刀した瞬間、既に竜達を調理し終えていたのだ。


「父さん母さん……ありがとう……でも、まだ竜は町中に……っ!」

「ああシンはん、ウチの可愛いシンはん。心配はいりまへん。もう【殲風(せんぷう)】ちゃんと【妖精王(ティターニア)】ちゃんがなおして(片付けて)ますで」


 母さんがそう言うと遠くから──叫びと殴打するような音が聞こえた。普通に考えれば竜達が暴れ、逃げ惑う人々の悲鳴を想像するだろう。

 しかし、それは人間のものではなく──その逆でただの人間に、竜達がぼこぼこに殴られているものだった。

 

「おらおらーっ!! アタシの大事な弟に手ぇ出そうとした野郎はどいつだぁっ!? ぶっ殺す!!」

『ギャァァァァァッ!? ナンダコイツ!? スデデドウホウタチヲボコボコ二……ッ!!?』


 僕の姉である【樹山 殲風(せんぷう)】が竜達を殴りつけながら登場した。

 殴りつけられた竜達は一撃で再起不能となっていた──遠目でもはっきりとわかる……何故なら姉さんが殴りつけた部分は竜の体は穴だらけの蓮根(れんこん)を想起させる有り様だったし……明らかにもう動く気配も無い。


「ふふ、我が愛しの(あに)に手を出そうなどと愚かな事を……森羅万象の王に選ばれし我が力を以てそなたらを冥府へと送りつけてやろう……」


【絶対二シテ真実ノ(シン・エクスキューション)


『ナ、ナンダッコレハッ!?』


 残党の竜達の頭上と足元に巨大な闇の穴が現れ、そこから竜達を捕縛する程の大きな鎖が竜の首と脚に巻き付いた。

 呪文のようなものを呟きながら妙なポーズをして現れた僕の妹……【樹山 妖精王(ティターニア)】の力だ。


「冥王に断罪されよ、逝くのは地獄か……無間の狭間か……」

『グァァァァァァァッッ! クソォォォォォォォォォォォッーーーー…………』


 鎖に繋がれた竜達はその身体を引き裂く音と共に闇に呑み込まれた。


「「大丈夫()!? シン(お兄ちゃん)!!」」

「……ぁぁ……うん……」


辺り一帯は、一気に静かになった。

どうやら竜は家族みんなのおかげで全滅したようだ。

しかし、僕の家族は……そんな事些事であるかのように……まるで虫でも退治しただけといった感じで気にも留めていない様子だ。


「ふぅ、どうやら虫達は片付けいたようだな。良くやったぞシン」

「ふふ……町を守れたんはシンはんの勇気と正義。また一つ……シンはんのお力で世界は平和になったなぁ」

「あぁ、さすがアタシの弟だぜ。これからも何があってもアタシが守ってやるからな!」

「お姉ちゃんズルい! お兄ちゃんは私が守るんだから! お父さんもお母さんも手を出さないで!」


 ──そう、僕は、僕達は一年前……家族全員、一家まるごと異世界召喚された。


 僕はこの最強家族に守られながら、ヒロインのように、この全てが規格外の世界『インフィニティ・グランデ』を生き抜いているのだ。


「う……うぉぉぉぉっ! あれは『SSS(トリプルエス)ランクギルド』の【アース・オブ・ファミリー】だ! 助かったぞ俺達!!」

「ギルド員全員が神がかった能力の……家族(ファミリー)だけで構成された世界で唯一のSSSランクギルド!!」

「【限界突破生物のタイボク】【神速抜刀のハナマイ】【絶対不倒のセンプウ】【狂乱魔術のティターニア】……!本物だっ!」

「そして、家族を束ねる発足人にしてギルドマスター……あの方が」

「【不動の男……シン】様!!」


〈ワァァァァァァァァッ!! シン様ァッ!! キャーーッ!!〉


 町人達が騒ぎ始める、犠牲者もいないようだ。助ける事ができて本当に良かった。

 だけど……町人達は命が助かった事より、僕達家族を生で見れた事に興奮しているみたいだ。


「「「「さぁ、英雄シン(はん、お兄ちゃん)帰ろう」」」」


 だけど。

 ねえ。

 一つだけ言ってもいいかな?

 これが何で僕の功績に見えるのかな?

 明らかに僕は何もしてないよね!!?


(全部……全部あのドジっ子遊び神のせいだっ!!)


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 これは、全てが規格外の世界に召喚され……その世界の中でさえ規格外の力を得た『家族』と、何も与えられなかった普通の高校生が織り成す家族愛のお話。

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