睡眠薬・睡眠導入剤
それでは、前回の予告どおり睡眠薬に関して書いていこうと思う。
再度明言しておくが、ここに記載されている睡眠薬が全種類ではない。試したことのある睡眠薬のみ記入していくだけだ。
ついでに、今回は正規の方法でのみ入手できる睡眠薬のみ書いていくため、たとえ試したことがあっても、すでに製造が停止されているエリミンやベゲタミンの類いは書かないことにする。知っても役には立たないからだ。
最初に私の試したことのある睡眠薬(超短時間作用型を睡眠導入剤と言う場合もあるが、本記事ではすべて睡眠薬に統一させてもらう)は、マイスリー、ハルシオン、ルネスタ、リスミー、ロラメット、レンドルミン、サイレース、ベンザリン、ベルソムラ、デエビゴの10種類である。
厳密にはエリミンとベゲタミンAも試したことがあり、どちらも優秀な睡眠薬なのだが、残念ながら現在は処方できなくなっているため省略させてもらう。
もしもどうしても情報が知りたい場合は、拙作の砂風のヲタブログ出張版『向精神薬をゲーム風パラメーターで表してみた』を読むのを推奨する。ただし、あちらはやや乱用者視点が混じっているため、強くおすすめはできない。
それでは睡眠薬それぞれの所感を書いていこう。
○マイスリー(ゾルピデム酒石塩)
現在でも最初に処方される可能性が高い非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬だ。力価は中程度であり、超短時間作用型に分類される。
素早く効いて短時間で抜ける。心地の良い入眠感が特徴だと感じた。
素早い・短時間と聞いて、抗不安薬の章を読んだひとならハッとなるかもしれない。
想像のとおり、依存性はベンゾジアゼピン系より弱いとされているが、私はそうは思えなかった。謎の気持ちよさから連用してしまうのである。
本薬独自の特徴として、割合は低いものの副作用で多幸が現れる方もなかにはいる。これが現れるひとにとっては依存性は遥かに高まってしまうだろう。
余談だが、私が好きな睡眠薬第二位である。
○ルネスタ(エスゾピクロン)
作用の強さはマイスリーと似ており、感覚的にも同じ感覚で使用できる。超短時間作用型に分類されるが、超短時間作用型の中では一番半減期は長い。とはいえどちらにせよすぐ抜けることに代わりはないが……。
私は本薬が苦手だ。その理由は、この睡眠薬独自の特徴のせいである。
とにかく苦いのだ。それも、飲む際に苦いだけでは済まされない。翌日の昼辺りまで唾液に苦味が混じって味覚がおかしくなってしまう。さらにいえば、この副作用の発現率は極めて高い。大抵の方は体験するだろう。
逆にいえば、唾液の分泌量が気にならなかったり、苦味が大丈夫な方だったりには大丈夫だといえる。
○ハルシオン(トリアゾラム)
超短時間作用型のベンゾジアゼピン系の睡眠薬であり、超短時間作用型の中では一番強力な作用を持っている。
素早く効くのは他の超短時間作用型の睡眠薬と同じだが、こちらはマイスリーみたいな安心感とは違う。なにか、お酒に酔ったような酩酊感があるのだ。私はこの酩酊感があまり好きではない。一番効くし二錠まで処方が可能なので頼らざる得ないが、飲んだらなるべく素早く布団に入ったほうがいい。
これは一時期裏で青玉と呼ばれてメンヘラ達や覚醒剤の落とし薬として乱用されており人気があったらしいが、私からするといまいち人気な理由が理解しがたい。
ただ、強い不眠症に悩まされている方にはおすすめだ。
○レンドルミン(ブロチゾラム)
チエノジアゼピン系の短時間作用型の睡眠薬であり、一昔前は医者が最初に出す睡眠薬ナンバー1といっても過言ではないほどの睡眠薬だ。
平均的な強さ、長さで作用するため、最初に出しやすいのが理由だろう。
効き方はサイレースが弱まったような感覚だが、サイレースを知らない場合にはこの説明では伝わらないか。
とはいえ、これといった特徴がないのだ。特徴がないのが特徴ともいえる。それでも短時間作用型の睡眠薬では一番強い薬という時点で、短時間作用型の睡眠薬は平均的に弱いというのが伝わるだろう。
ちなみに、私が最初に処方された睡眠薬もレンドルミンだった。
○ロラメット/エバミール(ロルメタゼパム)
ベンゾジアゼピン系の短時間作用型睡眠薬で、強さは正直非常に弱い。二錠まで出せるが、二錠飲んでもレンドルミンに敵わないほど入眠作用は弱い。
しかし、私は本薬が睡眠薬で一番好きだったりする。
その理由は、睡眠薬だと忘れてしまいそうになるくらい強い抗不安作用を持つからだ。本来、睡眠薬と抗不安薬は程度に差はあれ、どちらも同じ作用ーー催眠作用・抗不安作用・抗痙攣作用・筋弛緩作用ーーを持っている。
そこで抗不安作用が優先的に発現する薬は抗不安薬、催眠作用が強い薬は睡眠薬に分類される。抗不安薬であるデパスが不眠症にも扱えるのはそういう理由だからだ。なのだが、ロラメットはなぜか飲むと無駄に元気になってしまう。
だからこそ、不眠症にはまったく適していないが一番好きな睡眠薬となってしまった。残念ながら現在処方してもらっている薬は別だが……。
○リスミー(リルマザホン)
ベンゾジアゼピン系の短時間作用型の睡眠薬であり、あまりおすすめはしないが個人輸入しても違法にはならない睡眠薬である。
その強さはロラメットにも劣る。抗不安作用もないに等しい。
正直、これで眠れる不眠症なら、薬がなくても寝れるようにいずれはなれるだろう。それほど貧弱なイメージが私の中で着いてしまっている。
そもそも短時間作用型なのに最高血中濃度到達時間が三時間とべらぼうに遅い。効果の発現も遅い。かといって他の短時間作用型睡眠薬より長く効くわけでもない。完全に個人的な意見だが、不眠症にリスミーはおすすめできない。すぐに変えることになるだろう。
○サイレース(フルニトラゼパム)
中時間作用型の睡眠薬でありながら入眠障害にも対応している。超短時間作用型には敵わないが速効性もそこそこ高いのだ。また、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で最も強く優秀だとされている。私が好きな睡眠薬第三位であり、現在処方していただいている睡眠薬の内のひとつだ。
ただし、強いということは悪用もされやすい。過去にはデートレイプドラッグとして、女性の飲料などに混入して昏睡したところを強姦するといった事件が多発したり、ヘロインやコカインといった麻薬の作用を増強するために悪用されたり、果てには単体でも気持ちよく酩酊するため乱用されたりしてきた。
そのせいで錠剤は青くなり水に触れると真っ青になるように対策がされ、さらには一部の国では違法薬物に指定されてしまった。旅行の際には気を付けるようにしよう。外国の違法薬物を見て、コカインや覚醒剤に並んでフルニトラゼパムの名前が記載されていたりして、まったく笑えないものである。
ちなみに過去にはサイレース以外にも同じ先発品としてロヒプノールという睡眠薬もあったが、現在はこちらは製造されていない。
ついでに毎晩飲み続けることにより血中濃度(強さ)が1.3倍に上昇するとされている。
○ベンザリン/ネルボン(ニトラゼパム)
ベンゾジアゼピン系の中時間作用型の睡眠薬であり、サイレースとは違い入眠障害にはあまり向いていない。速効性がないためである。
ただし作用時間は長く、翌日まで効果を引き摺りやすいのがメリットともデメリットともいえる。
入眠障害よりは熟眠障害で悩んでいる方に処方される睡眠薬といえよう。
ただし、抗不安作用だけならまだしも、翌日中も催眠作用が残留するため、超短時間作用型や短時間作用型で間に合う方ならそちらにしたほうがいい。
○ベルソムラ(スポレキサント)
オレキシン受容体拮抗薬に分類される睡眠薬である。
その特徴はベンゾジアゼピン系とは異なり催眠作用のみに特化しており、依存性もほとんどない点が挙げられる。無論、乱用などにも使えないため、最近ではこれを利用する、オレキシン以外出さないと決めている精神科・心療内科も存在するほどだ。
これだけ聞くと夢のような睡眠薬だが、その作用は正直に言うと弱い。リスミーと同格かそれより弱い程度の力価しかない。
さらにいうと、嫌な副作用として悪夢が記載されており、まあまあ発現する。
正直オレキシン受容体睡眠薬ではデエビゴのほうをおすすめしたい。
○デエビゴ(レンボレキサント)
ベルソムラと同じオレキシン受容体拮抗薬である。だが、ベルソムラと比べ、作用が強くなり(一説では非ベンゾジアゼピン系と同等と云われている)、悪夢の副作用が減り、作用時間も長くなった。ベルソムラが正統進化した睡眠薬といえよう。無論、メリットともいえるであろう、乱用には使われない点や、依存性がほとんどない点はそのままである。
また、毎晩飲み続けることにより作用が安定していく。
依存性が気になる不眠症の方には一番おすすめしたい睡眠薬である。
さて、睡眠薬および睡眠導入剤の紹介は以上だ。
ダルメートやソメリンといった長時間作用型は試した経験がないため記載できなくて申し訳ない。また、現在処方されている睡眠薬(ハルシオン×2T+サイレース)を変えたくないため、試す予定もいまのところはない。
また、エリミンやベゲタミンは最初に言及した理由から掲載しない。入手方法が裏で購入する以外にないためだ。今回は乱用者のために書いているわけではない。
少しでもお役に立てたなら幸いだ。
次回のテーマは何にしよう?
美少女系イラストが描かれている抱き枕カバーの素晴らしさでも書くか?
自分なりの小説の執筆方法でも記述するか?
どちらにせよ、次回の投稿は先になりそうだ。