抗不安薬(マイナートランキライザー)
さて、今回は前回のテーマとはまったく関係ない向精神薬の話題を扱おう。
タルパといえば砂風、ではなく、私はどちらかといえば薬物といえば砂風というふうに思われている節がある。
事実、『依存性薬物乱用人生転落砂風奇譚』を読んでくださっている方ならわかるとおり、薬物の乱用が私の代名詞といっても過言ではない。
とはいえ、今回はなるべく乱用に対する内容は極力省略することにする。
今回はこれから精神科ないし心療内科に通う人や、抗不安薬を変更しようか迷っている方に向けて書くためだ。
ただし、すべて実体験に基づく情報や体感のため、実際に私が試したことのある抗不安薬以外は記載しないことにする。未体験なのに書いては実態と情報に齟齬が発生する恐れが高いからだ。
とはいえ、抗不安薬にせよ睡眠薬にせよ、個人差というものが大きい。あくまで参考程度に捉えてもらえると助かる。
私が試したことのある抗不安薬はーーリーゼ、デパス、ワイパックス、ソラナックス、セルシン、レキソタン、リボトリール、レスタスの計8種類である。
残念ながらメイラックスやメレックスなどは試したことがない。
では、ひとつずつ体感した感想などを下記していこう。
○リーゼ(クロチアゼパム)
この抗不安薬の特徴は、なんと言っても弱いことだ。抗不安作用が私にはまるで実感できなかった。
ただし、他の強い抗不安薬では転倒の恐れがある老人の方などには役に立つなくてはならない抗不安薬だといえよう。
特筆する点は特にない。
○デパス(エチゾラム)
抗不安作用がかなり強く、即効性も高い。さらには短時間作用型ーー半減期が六時間しかないためキレ際がわかりやすいため、効果が素早く実感できる素晴らしい抗不安薬である。また、明るくなるような錯覚を抱ける。だが、前述した理由から依存性もすさまじく高い。抗不安薬で一番依存性が強いといっても過言ではないだろう。
即効性もあり強く効果がわかりやすいため、突発的な不安などに襲われる人などの頓服薬としては便利に思える。しかし常用するのはおすすめできない。
デパスの依存性は非常に高く、常用しつづけたあとに急に断薬した場合、かなりつらい離脱症状が発現するひとが大勢いるからだ。
日本で一番乱用されている抗不安薬であり、最近では処方してくれる医師は時と共に減少してきている。出さないと初めから決めているレベルでデパスを嫌っている医者も存在している。
○ワイパックス(ロラゼパム)
抗不安作用の強さは中レベルだが、こちらも即効性が早い。また、デパス同様水なしでも噛み砕いて使用できる。緊急時にはデパスと並んで有能だろう。
しかし、私の場合服用すると、酔っ払ったかのような謎の酩酊感まで覚えてしまった。おそらく鎮静作用が抗不安薬にしては強いほうなのだろう。
個人的には抗不安薬の中で三番目に好きな薬である。ちなみに一位はデパス、二位はソラナックスと、私の特徴に合った薬が上位を占めている。
○ソラナックス/コンスタン(アルプラゾラム)
抗不安作用はワイパックスと同程度だが、こちらは眠気がほとんど現れない。おそらく即効性は抗不安薬の内でも一番だと思われる。
そのため、パニック障害の患者などに処方されやすい抗不安薬だといえる。
こちらは日本では普通に処方されているが、外国ではザナックスという名称で抗不安薬のうち一番乱用されて問題になっている。
だから二番目に好きだと言えるのだが……いいや、乱用については今回は止そう。
○セルシン(ジアゼパム)
ジアゼパム等価換算表の基準となる抗不安薬でもあり、メジャーな薬だ。しかし、作用の強さも効果の発現の速さも平均といった感じであり、私にはあまり意味がなかった。
まずはこれから処方する医者も多いだろう。前述した三つの抗不安薬と比較すると、それらよりは長めに作用する。一日2錠でも十分効果が期待できる。
○レキソタン/セニラン(ブロマゼパム)
抗不安薬の強さでは最強の座をリボトリールと争うほど強力な抗不安作用が働く。しかし、抗不安作用は強いものの、デパスやソラナックスとは異なり、無理やり精神を鎮静させるような効き方をするため、明るい気分になれたりする薬ではない。どちらかというと感情が落ち着き平坦になる体感だった。
こちらも半減期が比較的長く、一日2錠で十分に働いてくれる。ただし、急な不安には対処できないため、あらかじめ不安が来るのを予期したときに前以て服用する感じになるだろう。とはいえ、レキソタンが頓服として出されることは少ないと思われる。
○リボトリール/ランドセン(クロナゼパム)
こちらもレキソタンと同じく抗不安作用が最強であり、半減期も長く丸々一日効果が持続する。また、効果の体感もレキソタンに似ており、不安感を無理やり力付くで押さえつけるような効き方をする。無感情に近くなるのだ。
ちなみに、乱用には向いていない。というより、抗不安薬は半減期が長ければ長いほど乱用には向かなくなっていく。乱用されやすい抗不安薬であるデパスやソラナックスは、どちらも即効性があり尚且つ作用時間も短い。
そのため、レキソタンやセルシン、レスタスや本薬はレクリエーションドラッグとしての価値は薄い。ただしどの抗不安薬でも依存性が大なり小なりあるのを忘れてはいけない。
○レスタス(フルトプラゼパム)
半減期が190時間という超長時間作用型の抗不安薬である。他の抗不安薬とは異なり、レスタスの場合は毎日必ず飲み続ける必要がある。血中濃度が有効域に到達してからが本薬の真価を発揮する。
力価はレキソタンより多少弱い程度には体感できる。ただし、最低でも一ヶ月は毎日一、二錠飲みつづけなければならない。ゆえに頓服で処方されることは皆無といえよう。
ちなみに飲みはじめは眠気が強く現れるため、それもネックといえるだろう。
以上、私の体感した抗不安薬それぞれの所感である。
まだ物足りない、詳しく知りたい、各作用の強さを知りたい方は、私の他の拙作、砂風のヲタブログ出張版『向精神薬の個人的評価をゲーム風のパラメーターで表してみた』に目を通すことをおすすめしたい。
そちらでは乱用にも着眼点が置かれているため、真面目に作用のみ知りたい人は今回の話を読むだけでも十分だろう。
次回のテーマは既に決まっている。
抗不安薬と来たら、次は睡眠薬・睡眠導入剤と相場は決まっている。
それでは、また。
次回も読んでいただけると、非常にありがたく思う。