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エッセイ『砂風のヲタ』  作者: 砂風(すなかぜ)
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オーソライズド・ジェネリック

 オーソライズドジェネリックという言葉を聞いたことはあるだろうか?

 ジェネリックとは、先発品と同じ成分の、先発品の後に発売された商品というのはご存知だろう。

 よく薬剤師や医師たちが『先発品と変わらない』と言いながらおすすめしてくるアレだ。

 ジェネリック医薬品に変えず先発品のほうが良いと言うと『先発品と何も変わりませんよ?』と主張されたこともある。

 私は、やたらと推してくる薬剤師に、こう質問したことがある。

『まったく同じとは言い切れませんよね?』

 返ってきた答えは……。

『いえ、まったく同じはずですよ?』

 唖然としてしまい答えに詰まる私を、薬剤師は『びっくりしているのだろう』と勘違いしたのか、笑顔で再びおすすめしてくるのであったーー。


 さて、オーソライズド・ジェネリック(AG)とは、いったい何か説明しよう。

 先発品と同じ成分・添加物・製法でつくった後発品が、オーソライズドジェネリックといわれている。

 オーソライズドジェネリックの売りはそこにある。

 そこで疑問が生じる。

 ジェネリックは同じじゃなかったの?

 と……。

 ジェネリックは、先発品と同じ『成分』

 オーソライズド・ジェネリックは、先発品と同じ『成分・添加物・製法』

 こう並べると違いがわかる。 

 これらが同じという事は、先発品と同じだと推測できるようになる。


 話をひとつ前に戻そう。

 まったく同じではないと言った意図は、別に名前が違うから云々錠剤の形がどうこう屁理屈ごねて論破してやる、などと幼稚な事を言いたかったからではない。

 私は当初、反論することなくジェネリック医薬品を受け取った。なぜなら『薬剤師もジェネリック医薬品を八割以上にするため、必死で宣伝しているんだもんな。ちょっとは我慢しよう』と自制したからだ。

 どこが先発品と違うか?

 それは前述した説明を読めばわかるだろう。

 なら、添加物が違うとなにが変わってくるのか?

 それは、薬効だ。


 薬剤の有する効果は変わらないが、薬剤血漿濃度の半減期などは変わってきてしまう。

 たとえばデパス(エチゾラム)のジェネリックを適当に見た場合、半減期は6時間弱しかなく、最高血中濃度到達時間は1時間ほどである。

 デパスの半減期は6.3±0.8(h)であり、半減期は3時……間……え?

 いや、なにかがおかしい。

 そこまで違ったら流石に変だから、私の頭が間違っている可能性のほうが高い。

 だが半減期はほぼ同じタイミングを指しているし、体感的には最高血漿濃度は服薬一時間後くらいだ。デパスの三時間というのは、体感的にはそろそろ効果が切れると感じていたタイミングだ。しかし、デパスもジェネリックも体感での差はあまり感じられなかった。


 ……ともかく、完全に同じではない事がわかってもらえただろう。 

 医師の半数以上はジェネリックは先発品よりも効果が弱いと思う、というアンケート結果を見たことがある。

 それを、まさか薬の専門家である薬剤師が、まったく同じなどと言うとは思わなかったのだ。

 たしかに、ほとんど違いを実感できる人間はいない。

 私も一部の医薬品を除き、違いを実感した経験などない。

 しかし、中には添加物のせいで変な症状が現れたり、体質に合わなかったりすることがあるのだ。

 無理なジェネリック推しはやめてほしい。


 フォローをしておくと、普通の薬剤師はジェネリックと先発品の違いについて知っている。この薬剤師も、おそらく成分がまったく同じだと言いたかったのだろう。

 また、いずれの後発品も先発品に劣ると言いたいわけではない。別にオーソライズドジェネリックも単なる売り文句であり、扱いは後発品と変わらない。先発品の製薬会社から製法や添加物を同一にしていい、と許可がもらえたからオーソライズド・ジェネリックとなるだけだ。

 後発品の製薬会社も、どのようにすれば先発品より好きだと言ってもらえるか、試行錯誤して製造に励んでいるのだから、もしかしたら先発品より後発品のほうが優れている薬剤もあるかもしれない。

 また、オーソライズドジェネリックが出た薬剤は、他の後発品より高くしても良いということから、他のジェネリック医薬品のある意味が薄れてしまい兼ねない。後発品が10社に及ぶ薬剤もあるのだから、ジェネリックに変えられる薬剤が処方されている方は、ジェネリックにし変えてみるのはいかがだろうか?

 私もジェネリックにできる薬剤は(また、命に関わらない薬剤は)、ジェネリックにしてみようと思っている。

 


 

 

 

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