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95 くさい

 「梓、お前の部屋の臭い、なんとかしろ。臭い」


 今年もこの季節がやってきてしまった…。

 “あたしの部屋”が“臭い”とか言うと、まるであたしの私室に体臭が籠もって臭いって言われてるみたいに聞こえるけど、決してそんなことはない。あたしはフローラルだ。…とまでは言わないけど。

 天さんが臭いって言ってるのは、あたしのコレクションルームのこと。

 2畳ないくらいの狭いスペースに、プラモやらフィギュアやらが所狭しと並んでいるカオティックスペースだ。一応、“ここはウルトラマンのスペース”“ここは仮面ライダー”“ここはガンダム”“ここはライディーン”“ここはガイキング”みたいな棲み分けはさせてるから、あたし的には全然カオスじゃないんだけど、天さんにとっては魔境らしい。あたしが頼まない限り、扉の内側に顔さえ入れない。

 翼は、逆に中に入らないように厳命してるので、扉のスキマから中を覗く程度だ。女の秘密の部屋を覗くのは感心しないぞ♡

 まぁ、あたしのガンプラコレクションが気になってるだけなのは知ってるけど。

 あたしのコレクションルームは、家を建てる時にあたしが要望したものの1つ。もう1つは、ソーラーパネル。やっぱり太陽電池は漢のロマンだと思うのよ。余剰電力を売ることで、年に二月くらいは電気料金が黒字になる。新潟だから、冬場は壊滅的だけどね。

 本当は、コレクションルームはもう少し広いはずだったんだけど、設計士が出してきた案で窓がついていたことに“日光が当たると劣化するから、窓はダメ”って言ったら、天さんが 「じゃあ、このスペースは俺が使おう」って取られちゃったのだ。いや、あたし、窓をなくせって言っただけなんだけど。

 文句を言ったら、半地下収納の一部を仕切ってあたしのスペースが作られた。そんな経緯で、あたしのコレクションルームは家のすみっこにちんまりとしている。つまり、空気の流通が少ない。




 とまぁ、ここまで説明すればわかると思うけど、“あたしの部屋が臭い”というのは、樹脂製のフィギュアやソフビが熱にやられて臭いを出しているということなの。

 いくら太陽光が入らないとはいえ、熱せられた外壁からの伝播とか、気温の上昇とかで、コレクションルーム内の室温はそれなりに上がる。

 ソフビは柔らかくなって足が曲がっちゃうし、結構な臭いもしちゃうのよねぇ。

 あたしが大きいソフビをコレクションルームに飾っていないのは、熱と臭いと変形の問題が大きい。決してスペースの確保だけでやってるわけじゃないのよ、天さん。それもないとは言わないけど。

 最近、ウルトラ系の改造で大きいソフビとか増やしてるから、この辺のせめぎ合いはまだまだ続きそう。

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