81 三つ子の魂百まで
小学生の頃、「ウルトラマン」の再放送があった。
ウルトラマンを写真と客演でしか知らなかったあたしにとって、ウルトラマンの印象はそんなに強くなかったから、すっごく新鮮だった。
新マン以降のシャープな格闘をするウルトラマンしか知らなかったあたしには、ウルトラマンの猫背の構えとかは印象的だったのよ。
当然というか、好きになっちゃったら真似したりするわけで。
ごく初期の、思いっきり背中を丸めて構えるスペシウム光線があたしのスタンダードだった。
今でもよくポーズを取って翼に呆れられるけど、あの独特の美しさは癖になるよ、うん。
そんな頃、近くの体育館でウルトラマンのショーがあった。
あたしは、当時保育園児だった弟を連れて体育館に見に行った。親は来ない。あたしが引率だ。
会場に行ったら、クラスメートが同じように妹を連れてきてたから、美波家が特殊だったわけじゃないと思う。
子供だけでそういうところに行かせても問題ない、おおらかな時代だったんだろう。
ショーの中身は、残念ながら覚えてない。目とカラータイマーが光ってないウルトラマンだったはずだから、あまりいい衣装じゃなかったんだろう。
あたしのバイト時代も、円谷直営のチームとかじゃないから、光るような衣装は回してもらえなかったし。
どういう経緯だったのかは覚えていない。
あたしは、客席の中で立って、「スペシウム光線のポーズは、こう!」と背中を丸めたポーズを披露していた。
あの頃のあたし、怖いものなしだな。
とはいえ、勝手にやったわけじゃなかった。ショーのスタッフに促されてやったのは間違いない。
もしかしたら、「スペシウム光線のポーズわかる人~?」とか言われて手を挙げたのかも。
とにかく、数十人の観客の前で臆面もなくスペシウム光線のポーズを決めたあたしは、ポスターを山ほどもらった。
ウルトラ系じゃなくて東映系のばかりだったから、きっと東映系のチームが来てたんだよね。
キョーダインのでっかいパネルとかは、今でも実家に残ってる。
その数年後、地元の遊園地で「バトルフィーバーJ」のショーを家族で見てた時、弟がステージに上げられた。
「バトルフィーバーのメンバーの名前、全部言えますかぁ?」って言われた弟が、緊張で1人も言えないでいるのを見て、「あたしに代われ! 1人ずつポーズ取りながら言ってやるから!」と歯がみしてたこともあったなぁ。
あたしは、人前で何かするのが平気な方だったからなぁ。
だから、同人誌即売会系のイベントで、変身ポーズとか名乗りポーズとかとるようになっちゃったんだろうなぁ。
翼も、人前でしゃべるのとか平気っぽいけど、あたしとは大分タイプが違うみたいで、ポーズとかには興味ないんだよね。
オタ芸とか嫌いなのも関係してるかも。
幼稚園の頃は、なにかというと「仮面ライダー電王」の「俺、参上!」のポーズをとってたのになぁ。
三つ子の魂百までじゃなかったの?