76 ウルトラマンが光るのって漢のロマンだよね(ジャンボソフビ・ウルトラマン編)
今年は「ウルトラマン」放送55周年です。
休日出勤して家に帰ったら、玄関にバカでかい箱が置いてあった。届いたんだ、と思った。
「ただいま~~」
「お母さん、その箱中身なに?」
翼が、呆れたような声で訊いてくる。
「ウルトラマンだよ」
「カレーって書いてあるけど」
うん、箱にはそう書いてあるね。
「流用でしょ」
箱を開けてみせると、中からは全長51cm(頭頂高45cm)のウルトラマンのジャンボソフビが顔を出した。
「うわ、こんなカレー、初めて見た!」
翼がふざけて言う。だからカレーじゃないっつってんでしょ!
「こんなでかいウルトラマン、どうすんだよ?」
天さんも呆れ顔で言う。
「飾るに決まってるじゃん。光らせてさ」
「・・・」
いや、言葉を失うくらいなら、訊かないでよ。
ん~? なんか油っこい。何か塗ってんのかな?
とりあえず、中性洗剤でキレイキレイしましょ♪
「何やってんだ?」
「見てのとおり、洗ってんの」
「洗わなきゃならないようなもん、買うなよ」
「でも、洗ってあった方が安心でしょ?」
「まあ、そうだけど」
てなわけで、キレイキレイしましょうね~。
さて、と。問題は、このウルトラマンに何を仕込むかね。
使える基板は3パターン。
サウンドコレクション・ウルトラマンと、ヒカルナルと、ダイナとかに使った点滅回路。
でっかいから、何を入れても狭いことはないと思うけど、いかんせん、こいつ、変身後の登場ポーズなのよねぇ。赤点滅は似合わないわ。京本コレクションだと赤点滅するらしいけど。
ここは、とりあえず目とカラータイマー(青)を光らせるだけに留めるのが正解かしらね。
そうすると、カラータイマーは、クリアブルーのレジンで作ってもいいね。赤くしないんだから。
カラータイマーを削ってみると、かなり肉厚だった。
大きいのをいいことに、カッターを突っ込んでぐりぐり削って、穴の中とかを銀色に塗った上で、レジンでカラータイマーを作ってくっつける。
次に、顔面を剥がす。
どうやってくっついてるのかイマイチわかんないから、カッターが入る方向に切っていったら、顔面の裏側を切り取っちゃった。どうやらカッターの角度が違ってたらしい。
仕方ないから、更に顔面を引き剥がして、外した顔面裏の壁を後頭部に接着する。
顔面を裏側から見ると、目の裏に色を塗ってある。この色を削り取るの、めんどくさいなぁ。
レジンの表面処理用に買ったヤスリを使ってみる。目が細かすぎて、全然色が剥げない。
目のカーブがあるから、カッターで削るのは無理があるし、溶剤の類で溶かす? それとも適当な紙ヤスリがいいかな。
あたしは、とりあえず、剥がした顔をウルトラマンに軽くはめ込んでおいた。
んで、仕事から帰ると…
「だから梓、気持ち悪いって言ってんだろ!」
天さんに怒られた。
見ると、ウルトラマンが倒れて、顔が外れていた。…うん、怒られるね、これは。
でも、なんで今まで倒れたことないのに急に倒れたんだろ?
とりあえず、倒れない&のっぺらぼうが見えないようにウルトラマンを壁に向けて立たせ、顔面はテーブルの上に置いておいた。顔なら、気持ち悪くないでしょ。
翌日、帰ってみると、ウルトラマンの顔は光の超戦士ウルトラマンの上に載ってた。
なんていうか、ウルトラマンの顔から手足が生えてるみたいで、違和感がすごい。
天さん、こういうのは許せるんだ?
さて、いよいよ顔…というか、目の処理だね。
目の裏側には塗料がべったり。ちょっとカッターで削ってみたけど、割と硬いし加減が難しい。
カッターが目を貫通でもした日には、取り返しがつかない。彫刻刀の丸刃ならもしかしたらと思ったんだけど。
「翼、あんた彫刻刀ってまだ持ってる?」
「あるはずだけど、どこかに埋まってる」
ということで、アテにはできなかった。
仕方ないから、紙ヤスリで地道に削ることにしたんだけど、なにせ目の裏側だから、小さすぎて指で紙ヤスリ抑えても、うまくいかない。
こんな時、リューターとかあると楽なんだろうけど。
ラジオペンチで紙ヤスリを挟んで紙ヤスリを巻き付け、目の裏をこする。
1時間作業して握力ガタガタになっても、まだ片目すら終わらない。
“先は長いぞ、ラーメンマン!”
そしてそして、地味~に目の裏を削りつつも、電子部品の方をどうするか考えている。
1つめは、電球色と青のLEDを並列に繋いで、スライドスイッチ1つで制御するやり方。
ソフビ・ガイアの時にやったやり方だね。
メンテとかを考えると、上半身、腰の辺りにスイッチを置く感じかな。目の方が準備できれば、すぐにも完成するね。
2つめは、スイッチを入れると変身音が出て、目とカラータイマーが点くというギミック。
1つめのパターンに、変身音の出る基板とスピーカーを繋ぐことになる。
スイッチは1つですむけど、問題が3つ。1つは、基板をどこから持ってくるか。2つ、スピーカーの分、出力が大きくなるから、少なくとも単四電池2本は入れる必要があること。3つ、スピーカーの固定と穴開け。
電池ボックスくらいは収納スペース確保できるよね。なんせ、でかいから。問題は、基板とスピーカーね。
特にネックになるのが基板。どっかから外してこなきゃならないんだけど、アテがないのよね。手っ取り早いのは、変身アイテムセット版ベーターカプセルだけど、せっかく懐中電灯に改造したしなぁ。
サウンドロップでも安く手に入れば、それでなんとかできそうだけど。
スピーカーの固定と音を出すための穴は必須だけど、結構な手間だよね。
3つめ、おなじみ太陽電池。
こんだけ大きいと、太陽電池パネルを背中に貼り付けることもできそう。
ガタイこそ大きいけど、光らせるのは所詮、電球色と青のLEDだけだから、必要な出力は、窓際のウルトラマン達と変わらない。
ただ、これには天さんという強大な敵が立ちはだかる。
窓際にこんな大きなウルトラマンを立たせておくことを許してくれるわけがないのだ。
一応訊いてはみたけど、「いいわけないだろ」とあっさり切り捨てられた。
で、4つめのパターンは、磁石スイッチを使ってみること。
リアルホビー・ウルトラマンや京本コレクションでやってたみたいに、磁石スイッチで目とカラータイマーのON・OFFができれば、外見をいじらなくてすむ。
スイッチになる磁石として、ウルトラの星計画のベーターカプセルが使えれば、“ベーターカプセルをかざすと、目とカラータイマーの光るウルトラマン”が作れる。
ここに更に変身音が加わると、ちょっとすごいよね。ただ、それやると、せっかくスイッチ付けなくてすむものに穴が開くことになるんだけど。
そんなわけで、磁石スイッチの入手方法を考えてみた。
いや、ま、磁石スイッチ自体は売ってるんだけどね。割とどこでも。
でも、10個入りとか買っても、持て余しそうだし。
てなわけで、思いついたのが、百均で売ってるドアセンサーライト。冷蔵庫のドアを開けると中が光るみたいに、部屋とかのドアを開けるとLEDが光るってのを売ってんのよね。何に使うのかはイマイチわかんないけど。
これは、ドアとドア脇の柱とかに、それぞれセンサーパーツを付けるって構造になってる。警備装置のドア開閉センサーの簡易版みたいなものだ。多分、LEDライトに繋がってる方に磁石スイッチが入ってて、センサー単体に見える方は磁石が入ってるはず。で、磁石がスイッチから遠ざかるとLEDが光るんだと思う。
てなわけで、試しに買ってみた。
早速バラしてみると、予想どおりライト側のセンサーには、磁石スイッチが入ってた。
スイッチの入手はOKだね。
ただ、このセンサーライトをそのまま使うと、磁石をかざしている時だけ光らないという変なことになっちゃうので、スイッチの部分だけを切り取って使う必要がある。
この磁石スイッチは、ガラス管の中に2本の鉄線が互い違いに入ってるって構造になっている。
触れられる長さだけど、敢えて触れない角度でついているから、普段は通電しない。
ここに磁石を近付けると、2本の鉄線が磁化して、ガラス管の中で触れずにいる先端部がそれぞれNとSになって、引き合って触れて通電するって仕組み。
磁石を離すと、鉄線の磁化が解けて、また離れる。
要するに、磁石を鉄線に近付けた時だけ電流が流れるスイッチってわけ。
この辺りは、HONDAのベーターカプセルライトでも使われていた、タクタイルスイッチ+フリップフロップ回路という使い方になるんじゃないかな。
タクタイルスイッチっていうのは、押している間だけ電流が流れるスイッチのこと。今回の磁石スイッチは、押しボタンじゃないけど、磁石が近くにある時だけ電流が流れるわけだから、仕組みとしては同じと考えていいと思う。
フリップフロップ回路っていうのは、スイッチが押された回数に応じて動作を制御できる回路のこと。
ベーターカプセルライトみたいに、1回押すとON、もう1回押すとOFFっていうパターンもあるし、あたしがソフビのダイナやイーヴィルティガに仕込んだ点滅回路みたいに、1回押すと点灯、もう1回押すと早点滅、もう1回押すと遅い点滅、、もう1回押すと消灯っていう複雑なパターンもある。
リアルホビー・ウルトラマンの場合は、磁石スイッチとフリップフロップ回路が2系統あって、片方はメインスイッチのON・OFF、片方はカラータイマーの緑点灯と赤点滅の切替になってる。
実は、この春にメビウスを改造した時、三極型LEDのテストがてらカラータイマーの緑を青に替えたのよね。
翼からは、「それ入れちゃえばいいんじゃないの?」なんて言われたけど、せっかくの赤点滅をここで無駄に使うのもどうかと思うからなぁ…。
今回の場合、磁石スイッチによる通電をタクタイルスイッチのON・OFFに置き換えて認識してくれる回路をどっかから見付けてこなきゃならないわけだ。
USBメモリ・スパークレンスの時に買ったLEDドームライトなら、そういう回路積んでたんだろうなぁ…。当時、あたしはスイッチのパーツが持っている機能でON・OFFしてるもんだと思い込んでて、スイッチだけ切り取って基板捨てちゃったんだよねぇ。
壊してなければ、今回使えたのに。無知って罪ね。
まぁ、今でも売ってるだろうから、買ってきてみよっか。
というわけで、買ってきました!
こいつのタクタイルスイッチの端子に、この前買ったライトから外した磁石スイッチをハンダ付けして、磁石を近付けてみる。点いた!
やっぱりね。で、このドームライトに元から付いてる白のチップ型LEDの端子部分に、青のLEDの足を当ててみると、これも点いた。
よし、後は、白のLEDを全部砕いて、青のLEDと電球色のLEDをハンダ付けする。3か所あるから、それぞれ別の場所にハンダ付けすればいいよね。
で、基板をドームライト本体から引っぺがして、と。
…まだ1か所あるよね。
基板に付いてたLEDは3つ。
そのうち2か所を青と電球色で使ったけど、もう1か所残ってる。
ここに、変身音の基板を繋げられたら…。
問題は2つ。スピーカーと、電力。
まずは、スピーカーの問題。
穴だけじゃなくて、磁石スイッチに影響がないかって問題が出てしまった。
うっかりスピーカーの磁力拾っちゃったら、常に電源オフとかありそう。スピーカーの磁石って、結構強力なんだよね。
もう1つ、電力の問題。
今回路に繋げてるのは、コイン電池だ。コイン電池は、電圧は3Vと強いけど、なんせ小っちゃいから、発生する電流は大したものじゃないのだ。
スピーカーに音なんか出させたら、あっと言う間に底を突く。
ヒカルナルユニットは、寿命を犠牲にしてボタン電池を使ってるみたいだ。
大抵の音の出るおもちゃで、単四電池を使うのは、それが理由。
ファイズフォンなんか、不格好になるのを覚悟で単四電池を使ってる。
誰だって、好き好んで不格好になんかしないよ。
サウンドコレクションの基板を繋いでみたら、思ったとおり、音は鳴らないわ、LEDは光らないわで、散々。圧倒的に出力が足りてない。
このウルトラマンは大きいから、単四2本入れるスペースくらい取れるけど、重さの点で、安定させるのが難しい。
やっぱ音は諦めるしかないか。
「ほらほら翼、磁石スイッチ作ったよ♡」
「眩しい。あと、あそこに立ってる変なオブジェなんとかして」
え!? 感想それだけ!?
「天さん、翼の反応が超つまんないんだけど」
「翼、ウルトラマンに拒否反応出てるんだろうなあ」
翼が言ってた“変なオブジェ”っていうのは、ハンダ付けの間邪魔だからリビングの隅に立てといたウルトラマンの下半身のことだ。だって、作業スペース狭いんだもの。
顔かぶせて、青のLEDを胸の中に固定して。
ベーターカプセルを近付けると目とカラータイマー(青)が光るウルトラマンの完成で~~~す!!
「ほらほら天さん、見て見て!」
「これで梓も安泰だな」
安泰ってなによ!? ほかに言いようないの!?
京本コレクション
俳優:京本政樹氏が原型製作しているバンダイのソフビシリーズ。30cm以上の大型のソフビになっているものがほとんど。
氏は美大出身で、ウルトラマン好きで知られるが、正直造形は微妙。
ここで触れているのは、登場ポーズのウルトラマンで、ベーターカプセル型の磁石スイッチにより
目とカラータイマー(青)が点灯して変身音が鳴る
カラータイマーが赤で点滅する
というギミックがあるらしい。どうも点滅音は鳴らないっぽい。
サウンドコレクション・ウルトラマン
2002年頃発売されていたと思われるウルトラマンのおもちゃ。
メインスイッチを入れると変身音が鳴ってカラータイマーが赤点滅して起動する。
目は不透明で、カラータイマー部分には半透明青のカバーが付いていて、両手は針金入りのゴム製で、自由に曲げられる。
頭部の内側に、傾き感知のスイッチが入っていて、仰向けにするとカラータイマーが赤点滅&点滅音が鳴り、うつ伏せにすると飛行音が鳴る。
梓は、ジャンクで手に入れたが、あまりにもボロボロだったので、電子部品だけ外して取っておいた。
ヒカルナル
2018年に登場したガシャポンシリーズ。
カラータイマーの外装と、そこにはめるヒカルナルユニットからなるアイテム。
ヒカルナルユニットは、ボタンを押すと青点灯し、その状態で放置すると1分30秒ほどで赤点滅して点滅音が鳴り、3分ほどで消灯する。
また、時間経過以外でも、ボタンを押すたびに、青点灯→赤点滅→消灯となる。
平成ウルトラについては、プレミアムバンダイ限定で、ティガ、ダイナ、ガイアが出ている。
光の超戦士
2013年からウルトラマン・タロウ・ティガ・ギンガなど8種が発売された子供向けフィギュアシリーズ。
約18cmと小さく、腕が回るだけでソフビより動かないが、3Dスキャンでスーツ(中味は当時とは別人)から型を取っているので、造形はハイレベル。
背中のボタンを押している間、目とカラータイマー(青)が光る。ティガなどスライドスイッチのものもある。
先は長いぞラーメンマン!
1988年放映のアニメ「闘将!!拉麺男」で、本編ラストに流れるナレーション。
原作は、フレッシュジャンプに連載されていたゆでたまご作のマンガであり、「キン肉マン」の人気キャラだったラーメンマンのスピンオフ。ただし、「キン肉マン」に登場するラーメンマンとは別人であり、外見と名前以外は全く別物。
人間であるラーメンマンが超人拳法を使って悪人と戦う拳法マンガである。
ファイズフォン
2003年放映「仮面ライダー555」の変身アイテム。
2つ折りの携帯電話型で、「555ENTER」で「Standing by」と変身モードに入り、ベルト:ファイズドライバーにファイズフォンを装填することで、「Complete」と声がして変身する。
変形させて銃にもなる。
必殺技の際は、ベルトにはまったままのファイズフォンからミッションメモリーを外して武器に挿入し、ファイズフォンを操作すると「Exceed charge」の声と共にエネルギーが武器に流れる。
一応、必殺キックには「クリムゾンスマッシュ」という名前があるが、本編中では使われず、専らファイズフォンが発する声が必殺技のシークエンスであり、それがウケた。
ファイズドライバーの商品は、当時男児玩具で歴代最高の売り上げを記録し、今でもかなり上位に位置する。
ただ、本文中で書いたとおり、単四電池2本を収めるため、グリップの裏側に不自然な出っ張りができていて、かなり不格好になっている。




